第四話 出合い……そして目覚め
「っ!!!!?」
俺達が王様らしき人の話を聞いていると突然鳥肌がたった
「ん?どした?話飽きたか?」
織が俺に話しかけてくる。飽きたのは紛れもなくお前だろう、無意識にツバキを撫でてるし。何よりさっきウトウトしてたのは見過ごしてないからな。
「………と、言うわけで頼む!世界を救ってくれ!」
と聞き飽きた魔王討伐演説を真面目に聞いているのは輝彦と周りの大臣とかだな。
「いや、何でもない多分気のせいだ」
寒気なんて異世界ならいくらでもするだろ、無理矢理納得させる。
「任せて下さい王様!僕達が必ず魔王を、倒します!」
そうか、じゃあ輝彦。お前だけで倒してくれ、俺は面倒過ぎてやる気が出ないから頼んだぞ。
「ん…そっか、まぁ無理はするなよ」
てか織が心配するのは珍しく無いよな、無い。うん問題ない。
「おぉ!そう申してくれると心強い、今日はたっぷり英気を養ってくれ」
「大きなお世話だ、心配するなら自分の心配しろよ運痴」
「はい、ありがとうございます。では失礼してもよろしいでしょうか」
「運痴言うなし、てか問題ない、何故かここに来てから体が軽いからな」
「おぉ、そうだな、ならばメイド長に案内させよう」
チリンチリーン
王様らしき人物は鈴?ベル?を鳴らした。
「あいにくだな、それは俺もだ」
「いかがなさいましたか?陛下」
何処からともなくメイド長が現れた。
「マジかよ、これなら勝てると思ったのに」
「メイド長よ勇者様を部屋まで案内てやってくれ」
「まぁ、お前なら何とかなるだろうな」
「かしこまりました、では、案内いたします。ついてきてください」
「なんだよそれ、適当だなぁ」
「だって、二人とも早くついていこう」
輝彦がいきなり話しかけてきた、話はもう終わったのか。
「ん?なんだ、もう話は終わったのか」
「終ったよ、話聞いてなかったの?」
「聞いてたさ、でも早く追い掛けないと見失うぞ」
「あ、いつの間に、早く行こう!」
「はぁ、面倒な事に巻き込まれたな」
「霧夜!」
いきなり織が大声で俺を呼び止める。
「ん?なんだ?」
「お前は天か…「二人とも早く!」…いや、何でもない、早く行こうぜ!今夜は多分ご馳走だ!」
なんだろうな、あいつが話を逸らすなんて珍しい。ツバキが静かだなぁと思ったら俺の頭の上で寝ていた。
「そういや、猫の飯はあるんだろうか……」
そんな、無駄な事ばかり考えていた。本当に考えるべき事は織が言い欠けた言葉の筈なのに。
「考えたら、猫用のトイレとかも無いんじゃないんだろうか」
こんな事ばかり考えていた……この無駄な思考が物語を変える事も知らずに……
~~その日の夜~~
「どうだったの?」
「いや、多分霧夜は天界に行ってない」
「そんな!?……じゃあ霧夜は……」
「まだ分からないだろ!忘れてるだけかも知れないだろ!」
「じゃあ明日、確かめるんだよ、もし覚えてなかったら……」
「あぁ分かってる、あいつとはここでお別れだ……」
~~~城の部屋~~~
「なあツバキ、お前覚えてるか?昔のこと……」
ミュー
「俺はな、全然覚えてないんだ、でも不思議な夢を見るんだ。悪夢っぽいがな。」
ミャー
「夢の中ではな皆幸せなんだ、でもいきなり辺りが暗くなってそれは崩れ去るっていう夢なんだよ。な?完全に悪夢だろ?」
ニャ
「お前にはわかんねえか、そんじゃお休みな、ツバキ」
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小鳥のさえずりが聞こえない、そんな久し振りの目覚めだった、修学旅行でも聞こえなかった。まあそんなのはどうでもいいんだよ。
「ぐぅわぁぁぁあ!!!」
そんな中、織と輝彦が叫びながら飛び起きた。
「なんだお前ら、朝っぱらからそんなに怯えて。悪夢でも見たのか?」
いきなり叫びながら飛び起きるんだからこっちまで完全に覚醒してしまった。二度寝しようとしたのに。
「あぁ、まったく勘弁してほしいぜ」
「おってくる 奴が追ってくる………ブツブツ」
なんか輝彦が重病なんだが………
「本当に大丈夫か?悪夢は人に話すと恐怖が和らぐと聞くぞ、さぁ話してみるんだ」
「あぁ、実は……」
そこでノックがなった。
コンコン
「輝彦さま、識さま、霧夜さま、王様が謁見の間に来て欲しいとのことです」
「っと、この話はまたあとでな」
なんだ、面白そうな話だったのに。残念だ。
「この世界の人はみんなこんな早朝から働いてるのかな?」
因みにいまは午前5時だ。俺は寝ているツバキを頭に乗せ謁見の間を目指す。
「ほら、さっさとしないと置いていくぞ」
「おぉ、悪い悪い」
そこで輝彦が真剣な顔で話し掛けてきた。
「………ねぇ霧夜。」
「ん?なんだ?」
まさかトイレか?
「おい、輝彦………」
そこで識が輝彦を止める。
「識は黙ってて。」
いつになく強気な輝彦だな。
「……ちっ!」
識は機嫌が悪くなったのか舌打ち…どうでもいいがお前は陽気なキャラじゃなかったか?
「霧夜、真面目に聞いて欲しい。」
「なんだ?」
「昨日魔方陣に巻き込まれたあと、変な夢を見なかった?」
なんか輝彦が言い出した、重病なのか?でも夢か……夢…夢ねぇ……ん~変な夢を見なかった?……ねぇ……
「よく不思議な夢を見るんだが生憎全然思い出せない、悪いな。」
「そうか、見たって言うのは本当なの?」
失礼な、こんなことで嘘をつく俺じゃないぞ!ったく……すこしからかってやるか。
「少し思い出したぞ!」
「本当か!?」
うお!なんか識が凄い食いついたぞ、お前も重病なのか?ファンタジー頭なのか?
俺は昨日魔方陣の上で寝てた二人の寝言を思い出す
「あぁ、はっきりと思い出したぞ……たしか……お前ら二人とも誰かに襲われてなかったか?そして俺に助けを求めt…………」
ん?なんか輝彦が怯えはじめて識が凄い苦しそうな顔をいる。大丈夫なのか?これから王様に会いに行くんだぞ?
「おい、大丈夫か?何なら俺だけ行ってお前は……」
「だ、大丈夫だよ……今日みた悪夢を思い出しただけだから」
「無問題、正しく発音したら…モゥマンタイ!」
よし、識は絶対安静だな。
「わかった、輝彦と俺だけで……」
「あー、駄目!ダメ!もう、若い人はすぐ焦る、そしてすぐ悩む、良いことよ~」
「…よし輝彦、行こうか。」
織はもう限界だったのだろう………なれない世界観だ、仕方無いことだ。大丈夫だ、暫くは王様が面倒見てくれるだろう。
「ごめん!ふざけてごめん!置いていかないでー!」
無視無視
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「王様、来たぞ。話ってなんだ?」
識? ちゃんと居るぞ。