第三話 日常……そして反転 後編
僅かな刺激がして目を覚ましたら、そこは部屋の中だった。
「ここは何処だ?」
横には「ガチはやめろ……やめてくれ……」とうなされている織が居る。そしてその後ろには「ピンクが……ムキムキのピンクが……」とうなされている輝彦が居た。そして指から血が出てる……何故だ?
ニャー
おお、お前も居たな。よし、あとで名前を考えておくか。
そして忘れてはいけないのが俺達の真下にある魔方陣とその俺達を取り囲んで何やら騒がしいいかにも魔法使いの格好をした奴等だ。
なにやら喜んでいる様だな、「成功したぞ」とか「これで勝てる」みたいな事を言っている。
なにはともあれ馬鹿二人を起こさなければ話は進まないようだな、多少面倒だが二人を起こしてやった。
バキィ!
「ゴフッ!?……ゲホッゴホッ……よぉ霧夜。お前にこの謎の腹痛の正体を小一時間ほど問い詰めたいんだが?」
やれやれ、うるさいやつを起こしちまった様だな、だがあと一人居るんだ、待ってくれ。後はこいつを……
バキィ!
……残念ながら俺の仕事は織に取られてしまった様だな、つまらん。
そして輝彦は起き上がりこう言った。
「酷いよ霧夜!寝てるのに蹴り飛ばすなんて!」
む、これは納得いかない。俺は蹴ってないのに蹴ったことにされ織は無罪だと? 許される所業ではない!
「はいよ霧夜」
織に何か渡される。そして
パァン!
「仕方無いから1発で我慢してやるよ。」
何故織が何処からともなくハリセンを出したのかは疑問しかないが、まあどうでも良いだろう? やっと話が進むんだからな。
そしてマントの集団の一人がフードを脱ぎこう言った。
「異世界オビュアリーにようこそ、勇者様 」
あからさまに王族ですよ、貴族ですよ臭がすごいよな。見事な金髪くるくるロールだ。
うむ、恐らく勇者は織と輝彦だけだろう。残念ながらテンプレな白い部屋も神様もチーと能力も俺には無いからな。恐らくとしか言いようがないがさっきの悪夢はガチムチの神様に襲われたんだろう。
どうやら謁見の間に行く間に城を案内したり色々説明してくれるらしい。まあありがたい限りだな。
ニャー
黒猫が俺の肩に乗っかってきた、可愛いやつだ。この世界にも猫缶はあるんだろうか? なんて考えながら道案内をしている姫様っぽい奴を馬鹿二人と追いかけた。