第一話 日常……そして反転 前編
雲ひとつない青い空、そこには幸せそうに笑っている見知らぬ家族達がいた。
そこは丘の上で、そこからはとても綺麗な景色が見たとれた。
その家族の子供達もはしゃぎ回っていた。
そして突然、辺りが暗くなり……
ピッ ピピピピ ……ピピピ カチッ
「……ふわぁ……朝か……」
おはよう、俺は 瑞梨霧夜 、学生だ、趣味は読書と料理だ。
独り暮らしだから一通りの家事はこなせる。
理由は親戚が全員3年前に他界したから、それだけだ。
兄弟も居ないし、のんびり学生生活を送っている。
ん? 兄弟? 居なかったよな? ……まあいい。
「さて、準備するか……」
二度寝したい欲求を抑え部屋から出る。
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歯をみがき、顔を洗い、朝飯を作り、お茶とコーヒーを煎れて一息つく、勿論まだ飯には手を付けてない。
ピンポーン
そんな中、チャイムの音が鳴った。
「ちっ、来たか」
さっき独り暮らしと言ったが、朝は騒々しくなる。
ドタタタタ
チャイムを押すだけ押して勝手に家に入り込みこっちに走ってくる音がする。
静かに歩くことも出来ないのか、あいつは。
ガチャ!
「よう霧夜! 寂しかったか? 」
こんなことを言いながら我が家に乱入してきたこいつの名前は咲原織、女みたいな名前だが一応男だ。
「煩い、さっさと飯食って早く出るぞ」
「また? 懲りないねぇ」
そういって朝食を口にする、やっと静かになったか
3年前から毎日あんなことを言いながら飯をたかりに来る。
「今日は和食か、当たりだな」
根はいい奴なんだが少し煩いのが欠点だな。
因みに今日は鮭と味噌汁と納豆漬物におひたしだ。
「人の作った料理に当たり外れを付けるな」
まあ、こいつ自体は嫌いじゃないから良いが……
「いや、だって洋食は好きじゃねぇんだよな」
少しワガママだな。
「ああそうか、ならもう食うなよ? ……ご馳走さま、先行くぞ」
俺は一足先に食い終わり学校に向かうことにした。
「え!? 食うの早っ! 」
「さて、学校に行くか」
俺は織を無視して早めに学校に向かう……奴に出くわさない為に。
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「ふぅ、寒くなってきたな……」
今は10月29日、秋だ……
ニャア
ん?……黒猫だ……
俺は吸い込まれるように黒猫に近づいていった……
俺は何をかくそう猫派だ。
大抵は無表情だが、猫と触れ合っている時だけ俺でも惚れる程の笑顔になると織が言っていた、気持ち悪いよな。
ゆっくりと撫でてやると………
ウニュウ~
ゴロゴロ
な? 可愛いだろ?
「よしよし、このまま学校に連れてくか」
そうして戯れていると……
ダダダダダ!!!
「霧夜ー!」
ビクッ
シタタタタ
ビックリしたのか、逃げてしまった。
「……あっ…………」
猫……逃げられた……
「なんだー、ココにいたのか~…ん?どうした?」
そんなこともお構いなしにペラペラと喋りはじめる馬鹿……正直イライラする。
「お前……絶交な…」
そして俺は致命的なミスを犯していた……
「なんで!?ってちょっと、待てって!」
俺は忘れていた、早く学校に向かう訳を………
「あ!やっと追い付いた!二人とも!いつも待っててって言ってるじゃないか!」
はぁ、馬鹿と話してる暇なんて無かったな。
「お、おお…すまん。」
チッ、猫を逃がし、あげくのはてには厄介者まで呼び寄せやがって。
「チッ、…先に行くからな。」
関わるのが危険なこいつとは話さない方が身のため、世のため人のため、よし、去るか。
俺は脱兎の如く逃げ出した。
「あっ!待ってよ!」
そして無駄なイケメンみたいな顔をした奴がついてくる。
「ちょっ、置いていかないで」
織が着いてくる、不愉快だな、爆発してくれ。
そうそう、奴は 丘崎輝彦、主人公でイケメンだ。
そんで 織は脇役でフツメンだ。
そして、俺は多分元モブだ……いわゆる落ちこぼれより人気がない部類だろうな。