第八話 覚醒……しかし浅慮
あの後多少ゴタゴタがあったが話すのも面倒だ、聞かないでくれ。
「それじゃ、始めるわよ」
やっと覚醒の儀式が始まるらしい、なお、覚醒すると[見習い]と名のついた称号がステータスに追加され、基礎ステータスにも変動があるらしい。
オカマ神が光り何やらオーラみたいなのが吹き出してブツブツと呟きそのオーラを凝縮し俺にぶつけてきた。しかし特に変化はなく痛みもない、強いて言うなら頭が少しクリアになったぐらいか。儀式は終わりらしいから、ステータスを確認してみた。
瑞梨 霧夜
Lv.1
HP 8/8
MP 3/8
ATK 8
DEF 8
AGI 8
INT 8
MAT 8
MDF 8
TEC 8
LUC 8
属性:家庭
技: 嘘をつく 騙す 偽装
スキル:なし
スロット:18
称号:[猫派][見習い変態][シスコン検定5級合格者]
所持W:0
………詳細をみてみよう。
見習い変態
幼女に欲情した立派な変たi…紳士に贈る称号。
同志とアイコンタクトが出来るようになる。
シスコン検定5級合格者
小さな女の子にお兄ちゃんと言われ気を良くし、優しくしてお礼を言われ更に喜んでしまい、兄バカみたいになってしまった者に贈られる称号。
自分が親しい妹キャラの感情を何となく分からないわけでもない感じになる。
…なるほどな、俺は越えてはいけないラインの中央に居るらしい。しかし、称号はこんなに増えても良いものなのか。まあどうでもいい。MPが減っているのはさっきタオルを家庭属性で取り出したからだな。
問題は称号以外なにも変わってない事だ。その事をオカマ神に言うと「あら失敗?たまに居るよね称号だけ貰う子」らしい。もう一回やってみたらステータスの8が震えながらボヤけ始めた。
「私もやってみる~!」
ーーとミルリーフが乱入して同じような事をやりはじめて、ステータスを確認してみたら、なんと8が横になりさっきの荒ぶり様が嘘のように全員倒れていた。このステータスは俺を馬鹿にしてるのだろうか。識がこれをみたらきっと「ちょww休憩すんなしwww」とか言い出すのだろう。
そんなことはどうでもいい、このふざけたステータスから解放される為にオカマ神とミルリーフの全開の力で儀式をして貰う事にした、これならあのふざけた8も堪らずに100くらいは増えてくれる筈だ。
ーーと思っていた時期が俺にもあったわけだが
瑞梨 霧夜
Lv.1
HP 1/ unknown
MP 3/ unknown
ATK unknown
DEF unknown
AGI unknown
INT unknown
MAT unknown
MDF unknown
TEC unknown
LUC unknown
属性:家庭
技: 嘘をつく 騙す 偽装
スキル:なし
スロット:18
称号:[猫派][見習い変態][シスコン検定5級合格者]
所持W:0
8は堪らずに増えるどころか逃げ出したらしい、ステータス欄から家出とは随分グローバルな家出なんだな、しかし馬鹿にされてる事は確実だ。ともかく俺のステータスから8が消えた、HPも何故か1になっているしさすがに俺も怒りを覚えた。その事をオカマ神に言うと……
「そんなわけないじゃない、きっと見間違えたのよ」
等と言われ俺は軽くため息を吐いて「俺が何故か謎のキャラになっていくな……」と思いながらステータスを確認してみたら……
unknown
Lv.???
HP ????/????
MP ????/????
ATK ????
DEF ????
AGI ????
INT ????
MAT ????
MDF ????
TEC ????
LUC ????
属性:家庭
技: 嘘をつく 騙す 偽装
スキル:なし
スロット:18
称号:[猫派][見習い変態][シスコン検定5級合格者]
所持W:0
流石の俺も泣きたくなった。
何故俺はこんな目にあわなければいけないんだ、巻き込まれたあげく地球には帰れず、挙げ句の果てには裏ボスみたいなふざけたステータス。名前すらも unknown になり絶望の淵に立たされているに違いない。
そしていつか俺のステータス全て unknown にされてきっといつか俺は俺自身が分からなくなるんだ。そして識と輝彦に「え?霧夜?あぁ、そんなやつも居たな、てか今や思い出の中だよなww」と言われるんだ。
そして俺はひっそりと死んでしまうんだろう、一人で。そう、独りで。
「俺は……嫌だな、俺は!俺は過去形にされるのはごめんだからな!」
そう言って俺はミルリーフの部屋から逃げ出した。別に前に識がやってたゲームのセリフを言いたかった訳じゃない。一応本心を少し加工して遠回しにした言葉を言っただけだ、俺は悪くない。
出ていった手前すぐ帰るのもあれだし廊下を思い付くままに走り去っていった。
_____
___
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暫く走り回ってると何故か気になる扉を見つけた、別に道に迷って通ったことあるとかそうゆう事ではなく何だろうな既視感とか言うものだろうけど、まあいい。取り合えず入ってみることにした。
ガチャっとな
なんと言うか普通の男の子の子供部屋みたいな部屋だな、小さいサイズの剣とか鎧とか置いてあって男のロマンで溢れている。
「ふむ……どこかで見たことがあるような…ん?」
勉強机っぽい机の上に写真と少し古ぼけたリュックサックが置いてあった。
写真を見てみると大人2人と子供3人が笑顔で写っていた、家族だろうか?大人の男は黒目黒髪のイケメンだ、女の方は碧色の綺麗な澄んだ目をしていてブロンド?金髪だ。そんで狐?っぽい耳が生えてる。
「なんかこの2人懐かしい感じがしないわけでもないが、しかし地球には狐?っぽい耳の女性はいないから気のせいだろうな」
そんで子供の男の子は…男だよな?髪も短いし短パン半袖の少年だよな。そしてどっかで見たことある顔立ちだな。
「うーむ、こいつはなんか地球で見たことあるな、お忍びで地球にでも来たのか?」
まあいい、もう一人の男の子はオドオドしてそうな気が弱そうな感じでさっきの男の子の後ろに半分くらい隠れている、しかしどっかで見たことあるな。
「さっきの奴の弟みたいだな、しかし兄にべったりだなもしかしたら識が前に言ってた[やんぶら]って奴かもしれないな」
そして女の子の方は……これまたどこかで見たことある顔立ちだ。俺は実は知り合い多いんじゃないんだろうか。
「ふむ、なんかミルリーフみたいだな、後で聞いてみるか」
まあ、写真は置いておこう、次は所々焦げてるみたいな古いリュックサックを物色してみた。
出てくるものは、麦わら帽子、虫あみ、虫かご、釣りざお、バケツ、お弁当、水筒、果物が多数、ブロンズソード、等々。あからさまに物量が違うが恐らく魔法は凄いって事だろう。
名前が書いてあった、えーと、ラトーヌ・オータムって名前らしい。これまた聞き覚えがあるな、この部屋怖いな。
いや、本当に怖いのは俺の後ろで剣を俺に向けている誰かだろうな。
そして謎の人物は口を開いた。
「貴様は誰だ。名を言え、仮に嘘を吐こうものなら切るぞ」
女の声か。
まぁ、勝手に入った俺が悪い、しかも仮だが決定神ミルリーフの兄の部屋だからな。
「勝手に入って悪かった。俺は瑞梨霧夜だ」
俺の名前を聞いたら後ろの人物は警戒をといた。しかし女にしては上出来な殺気だったな。
「た、大変失礼致しました霧夜様、どうぞ、ごゆっくりおくつろぎしてください」
俺が勝手に評価していると何故か凄く態度が変わった。オカマ神かミルリーフがなんか言ったのか?まあどうでもいいが敬語とか丁寧語とか嫌いだ。
「別に敬語とか嫌いだから呼び捨てで良いぞ」
そう言って振り返ったら真っ白な服で真っ白な髪で真っ白な剣を持った真っ白な翼を生やした女性が俺に跪いていた。
誰だこいつは…と思っていたらふと脳裏でミカエルと言う名の天使が思い浮かんだ。
「ミカエル?」
そう言うと天使はバッ!と驚いたような感じの表情をして顔を上げた、ん?間違ったか、あてずっぽうは失礼だよな。謝っておこう。
「悪い、違ったか」
そう言うと天使は何故か凄く悲しそうな表情をして言った。「いいえ、初めまして、私はミカエルと言います。以後お見知りおきを」と。しかしなんか引っ掛かる。
「なあミカエル。前に何処かで俺とあったことあるか?ん?…ナンパじゃないから安心しろ。確認だ」
するとミカエルは不思議そうな顔をして嬉しそうな顔をして真面目な顔をして「ありません」と言った。
しかしその真面目な顔をしたミカエルの表情はやっぱり何処かで見覚えがあった。