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一年の約束

人を好きになったことがない高校生の明日香。

同じく異性に興味のない高校生の蒼太。


二人は友人の彼氏または彼女の友人、「知り合い」。

小さい頃から体が弱かった私、松井明日香まついあすかは入退院を繰り返していた。だからか友達は少なくその友達ともあまり話さなかった。

高校生になり体は落ち着き学校へも普通に通えるようになった。でも友達は少ないままだった。


ーーーーー


「おはよう明日香!」

一人目の友達、美香。斎藤美香さいとうみか

明るくて優しいしっかり者。

「おはよう!」

私はそう返して美香と共に教室へ向かう。

「おはようございまーす」

挨拶して席へ歩く。するとおさげの女の子が話しかけてくる。

「おはよう、美香ちゃん明日香ちゃん。」

二人目の友達、莉緒。佐倉莉緒さくらりお

優等生でクラスの学級長でもある。……この二人が私の友達。

少ないけど仲は深いよ。

美香には年上の先輩彼氏がいて、一年前から付き合ってるんだって。

そして1日が始まる。

授業を受けて昼休み。美香は彼氏の元へ。

私は莉緒と二人で話していた。私は窓から外の景色を見ていた。

「美香はいいよね、構ってくれる彼氏がいて。」

莉緒が頷く。その後申し訳なさそうな顔をして言った。

「ねぇ、明日香ちゃん聞いてくれる?美香ちゃんにはもう言ったんだけど。」

莉緒から話が始まるのは滅多にないことだったから驚いて私は顔を上げた。

「うん、何?」

「わ、私…昨日好きだった斗真くんに告白されて。」

私は莉緒から告白という言葉が出てくるとは思っていなかった。そして小さな声で言う。

「…私、お願いしますって言って。それで付き合ったんです、。」

「そうなんだ、おめでとう。お幸せに。」怒ったように聞こえたかもしれない。でも莉緒は笑顔でありがとう、と言った。………これで私はぼっち、と。

でも二人が幸せならそれで良かった。なんたって私には好きな人がいない。できたこともない。

タイプは?なんて聞かれても答えられたことはない。

私は悲しみと驚きでその後の授業に身が入らなかった。

放課後、三人で帰っていると美香が話を振ってきた。

「明日香はさ、彼氏ほしいの?」

唐突な質問だった。空気が少し凍った気がした。

「そ、そりゃあもちろん。」

「だったらさ…」

美香の顔がにやけた。

「紹介してあげよっか?明日香のこと。」

「「えっ?」」

私は莉緒と顔を見合わせた。

「嬉しいけど、その…どうやって?」

「あ〜…うちの彼氏の友達なんだけど。女子に興味ないらしいけど彼氏にとってはずっと暇で着いてくるから彼女を作ってほしいらしい。」莉緒が言う。

「紹介、って言っても彼氏からのお願いに答えてるだけじゃないですか?」

美香はぐっ、と言葉を詰まらせる。

「で、でも会うだけ会ってみたらいいじゃん。ね、明日香。」

悪くなかった。もし好みの人じゃなかったら帰ればいい。それに美香の彼氏の友達ならば悪い友達ではなさそうだった。そして何よりもお互い異性に興味がないということは知り合いで終わるケースが高い。

「うん、会うだけなら全然。」

「やった〜!じゃ、早速伝えとくね。あ、名前は稲葉蒼太いなばそうた。高3。」私は稲葉蒼太、と口で繰り返してから頷く。


その日はすぐに決まり、あっという間に来た。

私は特におしゃれをするということもなく、ごく普通な服で待ち合わせ場所に向かった。少し待っていると後ろから声をかけられた。

「松井明日香さんですか?」

振り向くとそこには私より背の高い男の人が立っていた。頷くと安堵の息と共に「稲葉です」と言った。

「先輩、でしたよね。よろしくお願いします。」

「全然気にしなくていいよ。」

先輩は爽やかな笑顔で笑った。その笑顔に明日香は惹かれた。

その日は書店に行って本を紹介し合ったり、ショッピングモールに行って買い物をしたり、公園で話したりして時間は過ぎた。

「今日は…ありがとうございました。」

私は家に帰った。だが先輩のあの笑顔はいつになっても忘れられなかった。


ーーーーー


俺は稲葉蒼太。

何回か女子に告白されたことがあるし、話したこともある。でも女子に惹かれたことはない。女子の良さがわからない。ただ喋って悲鳴をあげてうるさいだけだ。そう思っていた、松井に会うまでは。

友達とその彼女に勧められ、松井明日香とデートする羽目になった。

友達が少なく彼女もいない俺は構ってくれる人がその友達しかいない為断ることはできなかった。

待ち合わせ場所に向かった。

既に待ち合わせ場所女の人がいて誰かを待っている様子だった。時間が過ぎても来ないため女の人に声をかけた。

「松井明日香さんですか?」松井が頷く。

「稲葉です。」と言った。

その後友達に行けと言われた場所へ向かった。

初デートにしては結構な内容だったが松井とは知り合いとして接した。

公園で話している時松井が笑った。

その顔が一生忘れられなかった。

時間は過ぎた。

「今日は…ありがとうございました。」そう言って松井は帰って行った。


ーーーーー


明日香はどうしようと考えていた。

私は先輩のことが好きになってしまった、きっと。寝ても寝てもあの笑顔が忘れられない。私は先輩に初めての恋をした。

「ねぇ明日香、どうだったの?稲葉先輩とのデート。」莉緒が頷く。「聞きたいです!」

私は正直に思っていることを話した。

「めっちゃいいじゃん。よかったね、明日香。初恋だよ、は、つ、こ、い、!!」

「ちょ、ちょっとうるさい!周りの人に聞こえてたらどうするの?」

「でもどうするの?もうすぐで稲葉先輩も卒業しちゃいますよ。」莉緒が現実を突きつける。

今は冬。あと三ヶ月。

「卒業式に告白したら?」

「いいじゃないですか!応援してます」

卒業式、か。

まぁ一回のデートで先輩の性格が全てわかったわけじゃない。だからこそ三ヶ月話したり思い出を作ったりして性格がわかれば……!

「うん、そうする!」

私は決意した、卒業式に告白することを!!

なのに、なのに…。

その日の夜、家で階段を登っていると急なめまいに襲われた。私の体は倒れ階段を落ちて行く。

幸い、まだ五段ほどしか登っていなかったため死には至らなかったが頭を打ち、入院することになった。

久しぶりの入院生活はあまりにもつまらなくて退屈な日々だった。

思い出すのは先輩のあの笑顔。

先輩と早く思い出つくらないといけないのに…。

医者には「貧血でしょう」と言われた。それならすぐに退院できるはずだ、そう思った。

たまにお母さんがお見舞いに来る。小さい頃からのことだったから慣れていて来る日は少ないはずだった。

ある日を境にお母さんは毎日来るようになった。そして退院の日が遠のいていく。とっくに小さい頃の入院期間を過ぎる。お母さんは何かを隠しているようだった。でも私は聞かなかった、教えてくれない気がして。

二人がお見舞いに来た。

「元気?体調は?」

だが少し話してからお母さんと一緒に外へ出て数分後少し複雑な顔で帰ってきた。

私が聞いても「何もないよ」と誤魔化すばかりで何も教えてくれなかった。

私は段々気のせいだと思い始めて気にしないことにした。でも入院期間は増えていくばかり。意味がわからなかった。どんどん卒業式が近づいていく。私は先輩への告白を諦めようと考えていた。

私の体は理由もなく熱が上がったり治らなかったりでよくわからなかった。

卒業まで残り一ヶ月を切った日、なんと先輩がお見舞いに来た。

「元気、?」

私はお見舞いに来てくれたことに驚いて口が上手く動かなかったがなんとか言った。

「どうして、来てくれたんですか?」

先輩は驚いた表情の後、誤魔化すように言った。

「ま、まぁ一度デートした仲だから心配はするよ」

心配。私の心臓は久しぶりに大きい音を立てた。

「あ、ありがとうございます。頑張って治します。」

「俺さ、高校卒業したら外国に行く。それだけ。」

そして病室を出て行った。

脳内で先輩の言葉が再生される。

『卒業したら外国に行く。』つまり………会えない。

涙が出た。私が体調を壊してなければ、告白できたのかもしれない。でも告白しても外国には行くし、断られる可能性もある。これでよかったのかもしれない。

でも先輩はあの日から部活がない日はお見舞いに来てくれた。そして色々な話をした。

その度に先輩のことが好きということがわかって辛くなった。先輩が帰ってから涙を流す日もあった。

時が流れるのは早かった。

卒業式の前日、先輩は言った。

「松井って卒業式来れないんだっけ?」

頷く。認めたくなかった。でも事実だった。

そう。私は何故か退院出来なかった。

「俺さ、好きな子いて。その子に会いたいから1年経ったらまた帰ってくるよ。」

私は目を見開いた。

先輩、好きな子できたんだ………。

その相手が私だったらいいのに。先輩には幸せになってもらいたいけど願ってしまう。

時間が来て、先輩は病室のドアに手をかけて言った。

「じゃ、また1年後に。」

私の心臓が高鳴り、先輩は出て行った。

先輩、それって………!

今度は嬉しさで涙が溢れた。ただただ嬉しかった。

だが次の日、お母さんが来て私を診察室へ連れて行った。医者は思いがけない事実を発した。

「松井さんは白血病です。」

「…えっ?」白血、病…。


ーーーーー


あの日から松井のことを考えなかった日はなかった。

ある日突然松井が入院していることを友達から知った。病室へ向かうと松井のお母さんらしき人が病室から出てきた。

「明日香の、お友達ですか?」

急に問われてびっくりした。

「あ…まぁそうです」松井のお母さんは目を伏せて言った。

「がっかりしないでくださいね。あの子は白血病なんです。本人に、まだ言えてないんです。」

白血病…、

嘘だろ、なんで松井が。

「そう…ですか。」

松井のお母さんは微笑んだ。

「今のうちに仲良くしといてくださいね。いつ、何があるかわからないので。」

俺は唇を噛んだ。

「なんでそんな…。まだ死ぬって決まったわけじゃ………。ち、治療方法は?ないんですか?」

「ありますけど、でも今何かあってもおかしくないことは事実ですから。」

俺は願った、松井が助かることを。

そして俺は調整できる全ての時間を松井に使おう、そう思った。

だからこそ、俺は言った。「一年後に帰ってくる」と。生きていてくれという願いをのせて。


ーーーーー


「松井さんは白血病です。だいぶ前からわかっていました。言わなかったのは松井さんのお母様の意見です。」私はお母さんを振り向いた。それを気にすることもなく医者は続けた。

「そして…あと1年生きれて良い方でしょう。」

好意を蒼太に伝えられた明日香は嬉しさで涙を流す。

が、そこで医者に余命宣告されてしまう。

この恋の結末は⁈


次巻でお会いしましょう!

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