NO.4 ファントムスチール
この世界に閉じ込められて、6日が経過した。今日も相変わらず、惰性の経験値稼ぎを続けている。でも、今日は午後から大規模攻勢をかける予定なのだ。レベルが12に達したので、城に戻ろうとしたその時だった。前から女子がやって来た。
「いたいた!探すのに苦労したんだよ!でさ、今日の作戦、正面から突破口開く係してくんない?」
いきなりの無茶を押し付けてきたのは、あのクソバb…いや、作戦司令のリュミナだった。
「あのな…!いきなりやってきて直前に、突破口係やれ?できないこと無いけど…ふざけんなよ!?」
「出来るんだったらよろしくねー」
ササッと出ていった彼女の背中を俺は茫然と見つめていた。
「最悪だ…!」
城に戻ると、とりあえず剣のメンテに行った。ギルド《エタ商会・鍛冶部》の知り合い。コルドーのところに向かう。
「今日もよろしくな!」
きなれた挨拶を交わし、アイツは砥石の前に向かう。3分後、俺の剣はピカピカになって帰ってきた。
「いつもサンキューな。次も頼むぜ!」
「ああ、こっちこそいつもサンキュ。今度、防具のメンテしてやるよ」
「よろしく頼むぜ」
3時。敵前線付近。
「いいか?今日俺たちがやることは、あの敵の壁を突破して、奥にある敵野営地を叩き潰すことだ!敵の数はおよそ5000。今回の50人の100倍だ!だが!俺たちは!勝たねばならない!始まりの城で開放を待つ仲間たちも、俺たちの意識が戻ることを、向こうの世界で待つ、俺たちの家族、友人も!そんな人たちのために、俺たちは勝たねばならない!行くぞ!各隊!突撃だ!」
カイトの檄を受け全員の士気は爆発した。俺も、その一人だ。
まず前列の敵の目が俺たちに向く。昨日出た、レアドロップの剣、《ファントムスチール》がうなりを上げる。まず、《ファイアラッシュ》という突撃技で、1体目を沈める。次に硬直時間を利用し、体術スキルの蹴りをお見舞いする。たちまち2体目が、四散する。次に《カオスリーパー》がさく裂し、一気に3体の敵を葬る。俺の剣の黒色の刀身がだんだんと赤に染まる。
「来た!」
俺の剣の必殺技、《ソウルブレイク》が輝き、敵を薙ぐ。一撃級の攻撃は、敵の前線を大きく突破する。
しかし、ここで止まらないのがこのゲーム。奥の重装歩兵隊が到着し、俺の左右から槍が迫る。《シャドウドリル》という名の、紫のライトエフェクトが特徴の槍系突進技は俺の両肩をえぐり、HPが3割ほど減る。しかも、この技、硬直時間0という驚異のスペックを誇るため、連発が可能だ。しかも、俺は今の技を避けようとし、失敗したため、硬直時間を強いられる。次にまともにあの技を2回食らえば、確実に俺は死ぬ。そして、奴らは再度を放ってきた。容赦ない槍が俺の体に触れた…と思ったとき、槍重装兵が倒れた。目の前には赤い大きな大剣を持った少女が立っている。
「変わっとくから、回復しといて!」
どうも。LYONです。ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ初心者ですが温かい目で頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それではまた次回でお会いしましょう。see you next time.