NO.3 可能性は主に3つ
声とともに、100本近くの矢が放たれる。俺らの周りの兵士たちは盾を構えるが、
「遅い!本営弓隊の矢はそんな速さじゃないぞ!」
ドドドドドドッという鈍い音。兵士たちはどんどん四散する。生き残りの兵士たちも撤退していく。
「欲を言えば、もう少し早く助けてほしかったものだな。カイト」
俺は、始まりの城の壁上に行った。
「ゴメンな。招集かけて集め、戦力にするには、このくらい時間が必要だったんだ」
「ま、礼は言っておくよ。ありがとな」
俺の例を受け頷くと、カイトは直ぐに厳しい顔を取り戻した。
「予想外のことが起きている。本営に来てくれ」
―――カイト。本営弓隊の隊長であり、俺と同じ、攻略本部の一員でもある。
「んで?何の用だ?」
本営の豪華なソファにドスッと腰を下ろす。
「さっきの敵なんだがな、どこから湧いて出たかわからないんだ」
「えっ?!さっきの、野営地あたりからやって来たんじゃないのか?」
「野営地周辺は偵察隊が見張っているが、動きはない。つまり、あの敵は、野営地・前線地帯の兵士で灰ということだ」
あんな大軍を隠しておける場所なんて、俺たちの知る中にはない。
「と、なるとだな、可能性は主に3つだ。一つ目が、俺たちの知らない野営地が周辺にあること」
「二つ目はアレだろ?この城を襲うための軍が、システム的にポップした可能性だろ?」
俺の言葉にカイトは頷く。
「最後の3個目。敵にも、”軍略”という概念が存在する可能性だ」
「1と2が、妥当なんじゃない?」
女性の声がした。コッコッとブーツで歩く音がする。暗いほうに目を凝らすと、背中に大剣を背負った、同い年くらいの女子の姿が見えた。
「あ、紹介してなかったね。彼女はリュミナ。本営の作戦司令だ」
「よろしくお願いします」
彼女は一礼すると、
「3は、ありえなくない?ただのAIが、作戦を立てて、手薄なこの城を狙ってくるなんて…」
「でも…このゲームは…いや、この牢獄では…何があっても不思議ではない」
「でも…!そんなことがあったら、この先…戦えなくなるよ!?」
「あらゆる可能性を考慮して、作戦を考えてほしいね?」
「あんたねぇ…!?」
俺と、彼女の目線の間で火花が散る。
「そこまで!リュミナも意見は聞き入れたほうがいいだろ?それと、ユウキも煽りすぎだ…」
カイトの言葉に、俺と、リュミナは気まずくなり、足早にその場を離れた。
どうも。LYONです。ここまで読んでいただきありがとうございます。
まだまだ初心者ですが温かい目で頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
それではまた次回でお会いしましょう。see you next time.