3メイドのカフィナ鏡の中
目が覚めたツフィナ、同室の二人は眠っている。
私を見つけてと言う声が聞こえる。
どこから聞こえるのか探しに向かうツフィナ。
ツフィナは屋敷の壁や床に時折浮かぶ足跡や人影を目撃する。また、壁に手形が黒く見えるがすぐに消える。
朝になると何も見えなくなるため気のせいだと思うツフィナ。
不安に思っているとアンがやって来てキャッ!と声を上げて驚くツフィナ。
「おはようツフィナ、そんなに驚いてどうしたのよ。」
「変なものが見えたのアンさん。ここお化けが出るの。」
「そんなこと聞いたことないわよツフィナ。」
「そうなの、私を見つけてって聞こえたり手形や足跡に人影まで見えたの。怖いのアンさん。」
「聞いたことないわよツフィナ。」
昼間に食堂で声が聞こえて扉を開けて階段を下りて地下へ行く。
地下にやって来たツフィナ。
昼間なのに夜の様に暗い、誰もいないはずの部屋なのに壁や床に足跡や人影が見えて助けてと声が聞こえる。
人影や声はカーテンに隠されている鏡、鏡には血まみれのアンが映っている。後ろを振り返っても誰もいない。
もう一度鏡を見るとツフィナ自身が映っている。
鏡に映るツフィナは手を振っているが鏡を見ているツフィナは見ているだけで手を振ったりしていない。
「見つけてくれてありがとう。これで私はあなたになれる。」
鏡に映るツフィナがそう言って血が付いた槍を鏡を見ているツフィナに向けて刺すと鏡が光り鏡の中にツフィナは入ってしまう。
「これで君になって外の世界を楽しめる、あなたのできない暗殺の望みは渡しが叶えてあげる。」
そういって鏡に映っていたはずのツフィナは現実世界に現れてにこやかに笑う。
鏡の中に映るツフィナは口を動かすがなにも言えない。
元鏡の中のツフィナは地下から地上へ上がって行くツフィナの目的を果たすために。
「おはよう。」
「おはようツフィナ。さっき怖いもの見るって言ってたけど大丈夫そうだけどどうしたのよ。さっきまで飲んでたから幻覚でもみてたのよね。そんなこと聞いたことないけどそうなのよねツフィナ。」
「なに言ってるのアン、いつも通りなの。」
ニコニコと笑顔のツフィナ、アンはそれを見て不審に思った。
いつもはやつれてることがあるのよ。
メイドとして掃除するように言われて掃除する鏡のツフィナ。
ナイフを入手し独裁者アハトに刺しに行く鏡のツフィナ。
・・・
誰か助けてなの、鏡の中真っ暗で怖いの。誰か助けてなの。
鏡を叩くツフィナは助けてと声を上げる。
しかし、鏡の外には鏡を叩く音も助けてと言う声も聞こえない。それにツフィナの姿は鏡には映らない。
助けてといいながらツフィナは鏡を叩き続ける。
コンコンとノックする音が聞こえるツフィナ。
「その中どうやって入れるか教えてツフィナ。」
「頭おかしい、それよりツフィナ助けないといけない。」
「ご子息様はどうしてここにいるのですか。」
「食堂に扉があったから秘密基地だと思って入って来たらツフィナを見つけた。」
「どうしてツフィナは鏡の中にいる。」
「そうなの、どうやって入ったかわからないの、ご子息様お願い助けてほしいの。」
話せてうれしそうな鏡の中のツフィナ。
「どうやって助ければいいツフィナ。」
「もう一人の私をここに連れてきてほしいお願いしますのご子息様。」
「もう一人ツフィナがいるってこと怖い。」
「もう一人の自分が生まれるの入れてツフィナ。」
「お願い連れて来てなの。」
「わかった連れて来る。」
「ここで待ってる。」
「わかった、エツはここに居ればいい。」
「べんよろしく。」
そういってエツは鏡の前で座る。
ベンは地上に鏡のツフィナを宝探しに行くようにウキウキで向かう。
もう一人のツフィナを見つけたか聞きに回るベン。
ツフィナを見たと言うメイド長はニコニコ笑顔で気持ち悪かったと言う。どこにいるか聞くご子息。
仕事の掃除を頼んだけどどこにいるかわからないのよ、と言うメイド長。
クワトロを見つけてどこかでツフィナを見なかったか聞くベン。
ツフィナ見てない、ごめんなさいと言うクワトロ。
次にリネイに会うベン。
ツフィナ、あああのニコニコ笑顔のツフィナなら独裁者の寝室に行ってたと言うリネイ。
パパである独裁者アハトの寝室にリネイと一緒に来たベン。
不安からメイド長とクワトロはご子息について行くがリネイに隠れてついて来ているのはバレている。
寝室についてツフィナを探すベン、扉を閉めると扉に隠れていたツフィナを見つける。
楽しそうにしていたご子息はツフィナを見つけて悲しそうにする。
「このツフィナは偽物のツフィナ。鏡に映ったツフィナが言ってた。」
「何言ってるの私が本物のツフィナなの。」
ニコッと笑うツフィナ。
「メイド長とクワトロはどう思う。」
隠れていた二人に聞くリネイ。
「ついて来てたってこと、ふざけないで自分の家だからついてこなくても大丈夫だから。」
「ツフィナが酷いことするかもしれないから心配でついてきたのよ。このニコニコ笑顔のツフィナは偽物だから信頼できないのよ。」
「捕まえて地下の鏡に戻したいいって鏡に閉じ込められたツフィナが言ってた。」
「わかったわよ、ツフィナおとなしくついてきなさいよ。」
「嫌なの、まだここにいるの。目的を果たしてないの。」
「ツフィナ、ふざけたこと言うんじゃない。あなた仕事してないじゃない。邪魔なことしかしてない人がふざけてないで帰りなさい。」
「嫌なの、まだいたいの。」
「外に出れただけいいじゃないのよ。十年は鏡の世界に閉じ込められてたんだから。」
「うるさいの、もう少しこっちにいたいのアン。」
「ダメに決まってるわよ。ツフィナを返しなさいよ。」
「仕方ないの鏡の中に戻るの。連れて行くの。」
地下へ向かう鏡のツフィナ達メイドとベン。
鏡に戻るツフィナ、鏡から出て来れたツフィナはよかったの、真っ暗な世界に閉じ込められてたの。と涙を流しながら言う。
エツは入りたかったと悲しそうにする。