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22)絶対に一目惚れとは認めない絶対にだ

 これだけは絶対にはっきりさせておかねばならない。

 一目惚れでは、断じてない。


 出会いはデビュタントの夜会。

 交わした挨拶も言葉も形式的で、互いに対する態度にとりたてて他と違うような含みがあったわけではない。

 だが、なんとなく、「何か」は確かにあった。


 もちろん、一目見て優れた容姿であるとは認めていた。


 とはいえ恋愛ごっこは幼いうちに済ませてある。夜会でなくとも貴族同士の交流会のようなものは何度かあったし、その際見目の良い子息や護衛騎士を遠目に見ては、友人令嬢たちときゃあきゃあはしゃぐくらいのことは。

 とはいえ貴族の子女に待つのは政略結婚。そのストッパーを心にしっかり置いていたキャロラインは、盲目になるような恋に陥ることもなく、遠くから見て愛でるばかりの疑似恋愛で満足しながら目を肥やしたのだ。

 多少顔立ちが綺麗だからと、本気の恋に堕ちる愚は犯さない。


 ……だが。

 一目見て、好感は確かに覚えた。

 二言三言、言葉をそつなく交わして、なんだか引っかかるものは胸にあって。

 ……離れがたいという気持ちは、確かにあって。


 夜会中、何度か見るともなく彼のほうへ視線を送ったのは、事実。

 網膜に刻みつけた面影を持ち帰って、何度も、何日も。短い時間にほんの数語ばかり交わした当たり障りない会話を、飽きもせず反芻したのもまた事実。

 幾度「あれは面倒な男だ」と自分自身に言い聞かせても、どうしても面影を払えない。


 だからこれは……絶対に一目惚れなどではないけれど。

 百歩譲って三目惚れくらいではあると認めるのもやぶさかではない……かもしれない。


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