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賢者の叡智なコレクション  作者: 永頼水ロキ
第四章 賢者の角灯
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33-1 日守聖域

 お互いに名前だけ伝えあって、聖印の虎というパーティーとの合流を目指し出発することに。冒険者はこの場に六人が生き残っていた。

 と、冒険者の一人、トールが地面を指さした。


「ドロップアイテムだな」


 魔物の死体はきれいに無くなっていて、そこにキラキラ光る赤い石ころがあった。それを魔法剣士のメリッサが拾い上げる。


「……魔石ね。物は結構良い」


 冒険者達はそれらを広い集め、それから出発した。

 ……そのメリッサが隣を歩いていた。


「エルフの里に二つ国があったなんて知らなかったわ」


 トールは不満そうだった。


「それにしても、トラブル真っ只中なら説明があってもよかったんじゃないか?」

「そうよね。ダンジョンの異常と戦争の兆しなんて。結局、あのエルフの長にとっては私達冒険者なんてどうでもよかったんでしょうけど」

「あまり感じもよくなかった」

「申し訳ありません」

「「え?」」


 そのやり取りを見ていたカガリが頭をかく。


「アイリ殿はその長の娘だ」

「あ、そうだったの。ごめんなさいね」

「いいえ。私は……」

「……エルフ族の御令嬢ともなるとさすが美人ね。トールもビックリしてさっき戸惑ってたでしょ」

「うるさい!……それなら、気を付けて護衛しないといけないな」

「私なんか。御姉様方のほうがずっと強くて美しいですから。下らない私のことなどお気になさらず」


 その場の全員がこちらを見てくるのでビックリした。


「そっか、アイリさんは残念美人なのね」

「え?」

「こら、メリッサ!」

「せっかくの魅力が半減しているもの。もっと自信を持たないと!」

「少なくとも『御姉様方』だったか?エルフの長の傍にいた女は好みじゃなかったな。性格の悪さが滲み出ているというか――」

「あんたねえ!」


 メリッサが突っ込むと冒険者達は小さく笑った。と、先行していた四人が立ち止まる。


「待て」


 一番先頭を行く斥候役の冒険者が小さな声だがはっきりと指示を飛ばしてきた。それを受けてすぐに全員が姿勢を低くする。


「あれ、『聖印の虎』ね」


 正面。先のほうでまた戦闘音が聞こえた。


 少し進む頃には音はなくなった。そっと近づくと、そこにとても大きな魔物の死骸と、隣に四人の冒険者が立っているのが見えた。


 彼らが?


「お前たち無事…いや。パーティが一つ欠けて、そちらの二人は初めて見る顔だな」


 四人の内で最も体格の大きく全身に鎧を着た男が声をかけてきた。


「そちらはやっぱり大丈夫だったみたいね。こっちは残念だけど脱落者が出ちゃった。で、この二人はエルフの里…月の国のカガリさんと太陽の国のアイリさん」

「月?太陽?」

「エルフの人ですよね?」

「説明してくれ」

「オーケー」


 ――聖印の虎。戦士ミカエル、魔法使いマリー、射士キッドと隠士リックの四人と合流することができた。


「状況は分かった」

「謎の石碑によるダンジョンの活性化……そんなことができるものなのか?」

「聞いたことがないです。そんなアイテムもないような……それにしても、いなくなったエマさんとお二人が知り合いになっていたなんて」

「あいつは島につくなり消えたから何事かと思っていたんだが。相変わらず行動原理がよくわかんねえな」

「おい、また出たぞ!」


 と、目の前から魔物の群れが現れた。


「さっさと片づけるか」

「長引くほど他のモンスターが寄ってきて大変なことになる。常に迅速な把握と排除を目指すぞ」


 ――冒険者達とカガリの活躍であっという間に魔物の群れは片づけられ、その間私はじっとしていた。首飾りの効果で私が狙われることはなかった。


「アイリさん、大丈夫ですか?」


 戦闘が終わるとマリーが駆けつけてくれた。


「あ、はい。あの、エマ様からこの魔法道具をお借りしているので大丈夫です」

「それ……ケルブの首飾り。やっぱりエマさんは唯者ではないですね」

「これはやっぱりすごい物なのか?」


 カガリも自分の首飾りを取り出して見せていた。


「ええ。レア度はエピックランクですが、とても人気があるために中々手に入れるのが難しいアイテムです」

「ぽんぽん人に貸せるような安物じゃねえよ」

「……」


 さて、とリックが息をつく。


「このメンバーなら何とか帰還はできそうだ」

「連携もとれてきた。世界樹のお陰で方向を見失うこともないし、大丈夫そうだな」

「ただ、やっぱ、それなりのドロップアイテムでもこの人数だと赤字になりそうだ」

「確かに。ボスでも倒せれば……」

「ここのボスエリアは未だに見つかっていない。現状、探す余裕は無くなったと判断すべきだ」

「そうです。帰還を優先しましょう」

「残念だけどそのとおりね」


 トールは諦めきれないのか、若干ふてくされて。


「なんか突然ぽんとボスエリア出てこないかな」

「下手なこと言わないで。そんなことになって困るの、あんたでしょ?」


 太陽の国に戻ることを決め、皆で歩き始めた。


「ボスエリアとはなんですか?」

「ん?えっと、ダンジョンの階層の境目に必ずある場所で、入るとボス、強いモンスターが守っている場所ね」

「ボスモンスターを倒すまで出られなくなる。だが、倒せば先に進めて必ず良い物が手に入るんだ」

「そうなのですね、それでトール様達は――」


 その時、ぐらりと足元が揺れた。


「な!なんだ?!」

「これ……転移トラップ?!」

「ばかな?!」


 ぐにゃっと景色が歪んだと思えば、そこには平坦な空間が広がっていた。樹海の中ではなく、地面はぬかるみ、歩きにくい。

 そして、見渡す限り周囲をぐるりと光の帯に囲まれていた。


「この光、通れないぞ!」

「ボスエリアだ!」

「なるほど……ここのボスエリアが今まで見つからなかったのはこういうことか!」

「トールのせいで!」

「俺のせいか?!」

*****

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