第91話 茶々丸の火炎術
タタラは両手を広げて秘術 飛縁魔を発動し、鬼火をそれぞれ男達へと放った。男達は魔力を硬質化して顕現させた亀甲型の盾でタタラの攻撃を防ぎ、足元にも同じ盾を出現させて、その上に立った。
茶々丸は硬い地面の上に降り立ち、片方の男に火炎術 迦具矢を放った。男は前方に再び亀甲型の盾を顕現させて、光線状の迦具矢を防いだ。迦具矢は盾により軌道が変わり、幽世の民の遺体が横たわる湿源の水の中へと落ちて、筋状の大きな爆発が生じた。
その光景を見た幽世の民達は悲鳴を上げ、激昂した。茶々丸の迦具矢が止むと、幽世の民の男は怒りの表情で魔力を練って、闇の魔法、黒冥を発動した。
男と茶々丸の間に大きな暗黒球が出現した。それはまるで空間が欠損したかのような、夜の闇よりも深い、黒色であった。
暗黒球は素早く移動し、結界術 羅生門を発動した茶々丸をすっぽりと包んだ。闇に覆われた茶々丸は、結界がじわじわと侵食されていることに気付いた。
結界術 羅生門は一度発動すると、ほとんど末那を消費することなく存在し続けるが、外から攻撃が行われると末那を消耗して結界を維持する術であり、闇に侵食されることによって、茶々丸の末那は大きく減退していった。
茶々丸は全身に火の末那を練り、身体に炎を纏う火炎術、火帝を発動し、一気に爆発させた。それにより、暗黒球が消し飛ぶと同時に、闇に包まれた茶々丸を攻撃しようと近づいていた幽世の民は爆発に巻き込まれたが、亀甲型の盾で防御し、致命傷を避けた。しかし、腰布に火が付いたため、後退して湿地の水に浸かり、消火した。
「シャアァァァァ。」
幽世の民の男に牙を剥いて威嚇した茶々丸は、丸形の火球で相手の間際で激しく弾け、火と衝撃で敵を攻撃する火炎術、化花火を無数に放った。
それらは茶々丸の2本の尾から投擲されるかのように弧を描いて幽世の民の男を取り囲む位置に飛び、連続的にバチンバチンと大きな音を立てながら破裂した。
幽世の民の男は亀甲型の力場を2枚展開し、それらを高速で回転させ、四方八方からくる熱と衝撃を防御したが、頭上や足元でも爆ぜる化花火を防ぎきることが出来なかった。
男が地面に倒れるのを見計らい、茶々丸は化花火の発動を止めた。




