第85話 新たな明日
タタラ達のテーブルに時雨がやってきて、マシュに言った。
「マシュ、出来たよ。ほら。」
時雨は手に持った装飾品を披露した。それは、ピットの黄金の鍵がついたマシュ用のブレスレットであった。
「きぅ。」
「つけてあげるね。」
時雨はマシュの首回りにブレスレットを装着した。そして、鏡をマシュの正面に置いた。
「とても似合ってるよ、マシュ。」
「きぃ。」
タタラはマシュの背中を撫でた。
「良かったね、マシュ。」
海坊主がマシュに優しい口調で言った。
「マシュが良ければ、これから、ずっとここに居ていいんだぞ。」
それに対し、茶々丸がマシュの前に立って意見を述べた。
「にゃあ、にゃあ。」
茶々丸は前足でマシュの胴体を挟んで海坊主を見た。その後、マシュも同じことを茶々丸にした。
「茶々丸と一緒に行くのか。そうか、友達がいるほうが良いもんな。」
海坊主と時雨は寂しい気持ちで一杯になった。
「いつでも帰ってきて良いからな。忘れないでくれ。」
「きぃ。」
マシュは海坊主の前に出て訴えた。
「きいいぃぃ。」
「うん?タタラ、マシュは何て言ってる?」
タタラはマシュを抱えて膝に置いた。
「僕に名前を付けて、と言ってるよ。」
「名前って、マシュだろう?」
「ええと、僕は今まで、ずっとピットと一緒にいた。そして、ようやくピットの願いを成就することが出来た。ピットへの想いは一生消えることはない。これから、新たな明日に向かって、新たな自分となるために、新たな名前をつけて欲しい、だって。」
「そうか、マシュは本当にしっかりしてるな。偉いな、マシュ。」
海坊主は時雨に良い名前はあるかと聞いた。時雨は、マシュ以外に思いつかないねぇ、と言った。二人が考え込んでいると、タタラがきらきらした目で海坊主に訴えかけた。
「なんだ?良い名前があんのか?」
「うん。最高に良い名前があるよ。」
「そうか。マシュはこれから先、タタラと一緒にいることになるから、タタラが決めるのがいいのかもな。それで、何だ?」
タタラは笑顔で皆に発表した。
「真珠丸。」
おお、とツバキが思わず声を漏らした。
「どんな字を書くんだい?」
時雨の質問にタタラは答えた。
「真珠と書いてマシュと読むんだよ。白いマシュにぴったりだし、ピットがつけた名前も残る。真珠丸。どう?」
「確かに最高だね。私は賛成だよ。」
「良いんじゃねぇか。」
「やったぁ。」
タタラはマシュの目を見て言った。
「今日から君は真珠丸だ。」
真珠丸は両前足を口元にやり、嬉しそうに答えた。
「きぅ。」




