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Dear World  作者: 山波 孝麻
第1章 たたりもっけと餓者髑髏
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第76話 讐怨亭との戦い

 マグナが息を切らせながら返答した。


「ふざけんな。貴様に宝物を返せと言われる筋合いはねぇ。」


赤の女王とリョウコも讐怨亭(しゅうおんてい)の大型船へと降り立った。


「なんなんだ?お前ら、ぞろぞろと現れやがって。」


リョウコが前に出て口を開いた。


「マドリーナ王国の王様と、赤の女王と、私。あんた達に勝ち目はない。観念しな。」


「うるせぇぇ。」


マグナは叫ぶと共に水の魔法、水妖(すいよう)を発動した。マグナの背後の海面から、先端の(とが)った2つの水柱が立ち上ぼり、リョウコとタタラに向けて放たれた。


2人が身を(ひるがえ)して水妖(すいよう)(かわ)している間に、赤の女王が腕輪として固定していた血液を動かして、球体にして宙に浮かせ、それをマグナへと飛ばし、彼の腹回りをぐるりと血液で固めた。


「てめぇ、何しやがる?」


赤の女王は血液の輪を少しずつ小さくしていった。胴体を締め付けられたマグナは悲鳴を上げた。そこで、海坊主(うみぼうず)の船が到着し、讐怨亭(しゅうおんてい)の大型船の真横につけた。


 赤の女王は海坊主(うみほうず)の船を横目で見つつ、冷酷な口調(くちょう)でマグナに告げた。


「ちょうど、君達が奪った宝箱の持ち主がやって来たよ。黄金の宝箱はどこにあるの?言わないと、このまま君の胴体をぶつ切りにするから。」


赤の女王はマグナの腹を縛った血液の輪をさらに(ちぢ)めた。


「待て待て待て。分かった。今、取り出すから少し(ゆる)めてくれ。」


赤の女王が血液を操作しようとした時、その様子を見ていたタタラに讐怨亭(しゅうおんてい)の双子の戦闘員、ベルケとノイドが三日月刀(みかづきとう)でタタラを襲った。左右から攻撃されたタタラは結界術 羅生門(らしょうもん)によりそれを防いだ。


(かしら)(かたき)だ。クソ野郎。」


(かしら)ってフェイレイのこと?」


「そうだ。お前が()ったんだろう?ぶっ殺してやる。」


「フェイレイを(もり)で刺したのは僕じゃないよ。あいつだよ。」


タタラはマグナを指差した。


「あっ?」


「何言ってやがる?」


「あいつが背後からフェイレイを(もり)で刺したんだよ。だから、コロコが怒ってこの船を沈めようとしてたんだよ。」


ベルケとノイドはタタラの言ったことをよく考えてみた。2人は、何故(なぜ)、コロコが襲ってきたのか疑問だった。讐怨亭(しゅうおんてい)のほとんどの者達は、仲間とはいえ、巨大な(たこ)のコロコのことを不気味(ぶきみ)に思い、近付きすらしなかった。


しかし、双子のベルケとノイドは、(かしら)であるフェイレイの友であり、強いコロコのことを(うやま)い、話しかけることもあった。そのため、2人はフェイレイとコロコがいかに強い(きずな)で結ばれていたか理解していた。


「マグナ。こいつの言っていることは本当なのか?」


ノイドの問いかけにマグナが答えた。


「嘘に決まってんだろうが。とっととそいつを()っちまえ。」


「じゃあなんでコロコは俺達の船を襲い、奴らの船を襲わねぇんだ?」


「知るかそんなもん。あんな化けもんの考えていることなんて分かるわけねぇだろう。」


ベルケが水妖(すいよう)を発動させ、鉄拳(てっけん)の形をした水でマグナを(なぐ)り付けた。


「コロコは俺らの仲間だっつってんだろうが。何度も何度も言わせんな。」

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