第76話 讐怨亭との戦い
マグナが息を切らせながら返答した。
「ふざけんな。貴様に宝物を返せと言われる筋合いはねぇ。」
赤の女王とリョウコも讐怨亭の大型船へと降り立った。
「なんなんだ?お前ら、ぞろぞろと現れやがって。」
リョウコが前に出て口を開いた。
「マドリーナ王国の王様と、赤の女王と、私。あんた達に勝ち目はない。観念しな。」
「うるせぇぇ。」
マグナは叫ぶと共に水の魔法、水妖を発動した。マグナの背後の海面から、先端の尖った2つの水柱が立ち上ぼり、リョウコとタタラに向けて放たれた。
2人が身を翻して水妖を躱している間に、赤の女王が腕輪として固定していた血液を動かして、球体にして宙に浮かせ、それをマグナへと飛ばし、彼の腹回りをぐるりと血液で固めた。
「てめぇ、何しやがる?」
赤の女王は血液の輪を少しずつ小さくしていった。胴体を締め付けられたマグナは悲鳴を上げた。そこで、海坊主の船が到着し、讐怨亭の大型船の真横につけた。
赤の女王は海坊主の船を横目で見つつ、冷酷な口調でマグナに告げた。
「ちょうど、君達が奪った宝箱の持ち主がやって来たよ。黄金の宝箱はどこにあるの?言わないと、このまま君の胴体をぶつ切りにするから。」
赤の女王はマグナの腹を縛った血液の輪をさらに縮めた。
「待て待て待て。分かった。今、取り出すから少し緩めてくれ。」
赤の女王が血液を操作しようとした時、その様子を見ていたタタラに讐怨亭の双子の戦闘員、ベルケとノイドが三日月刀でタタラを襲った。左右から攻撃されたタタラは結界術 羅生門によりそれを防いだ。
「頭の仇だ。クソ野郎。」
「頭ってフェイレイのこと?」
「そうだ。お前が殺ったんだろう?ぶっ殺してやる。」
「フェイレイを銛で刺したのは僕じゃないよ。あいつだよ。」
タタラはマグナを指差した。
「あっ?」
「何言ってやがる?」
「あいつが背後からフェイレイを銛で刺したんだよ。だから、コロコが怒ってこの船を沈めようとしてたんだよ。」
ベルケとノイドはタタラの言ったことをよく考えてみた。2人は、何故、コロコが襲ってきたのか疑問だった。讐怨亭のほとんどの者達は、仲間とはいえ、巨大な蛸のコロコのことを不気味に思い、近付きすらしなかった。
しかし、双子のベルケとノイドは、頭であるフェイレイの友であり、強いコロコのことを敬い、話しかけることもあった。そのため、2人はフェイレイとコロコがいかに強い絆で結ばれていたか理解していた。
「マグナ。こいつの言っていることは本当なのか?」
ノイドの問いかけにマグナが答えた。
「嘘に決まってんだろうが。とっととそいつを殺っちまえ。」
「じゃあなんでコロコは俺達の船を襲い、奴らの船を襲わねぇんだ?」
「知るかそんなもん。あんな化けもんの考えていることなんて分かるわけねぇだろう。」
ベルケが水妖を発動させ、鉄拳の形をした水でマグナを殴り付けた。
「コロコは俺らの仲間だっつってんだろうが。何度も何度も言わせんな。」




