第74話 宝物を取り戻すために
タタラはマシュの気持ちを色々と通訳した。その中で赤の女王は、この島にあるマシュの隠れ家で、讐怨亭に爆発された海底洞窟の話に興味を抱き、調べに行った。
茶々丸は、先程、マシュがタタラに抱っこされているのを見て、自分も抱っこして欲しいと、にゃあにゃあ言ってタタラにせがみ、抱っこして貰っていた。
タタラ達がテンマ達のいる船に戻った時、ツバキとフェイレイは変わらずにぐっすりと眠ったままだった。
テンマは鋭い眼光で、船幽霊であるマシュがツバキに何をしたのか、怒りを噛み殺して詰問した。タタラはツバキとマシュの双方の魂を知覚していたのでテンマの質問に答えた。
「ツバキは霧の魔法によってこの島へと連れてこられた。そして、船幽霊の微かな末那を感じ取ってこの船の最奥の船室へと入った。そこで、マシュがツバキに姿を見せたんだ。マシュもまたツバキの末那を感じ取り、ツバキが悪人じゃないと判断したみたいだね。でも、マシュがツバキに近付いた途端に、ツバキが鼻血を噴出させたみたい。それも、凄い勢いでね。まるで、温泉を掘り当てたみたいに。ツバキは倒れ、マシュは困惑した。どうして、急に血を流したのか分からなかったから。とりあえず、風通しの良い甲板にツバキを運んで、様子を見てたようだね。そこへ、テンマがやって来た。」
「ほ、ほう。」
テンマは目を丸くした。リョウコは目を細めてテンマを見た。テンマは再び、タタラに質問した。
「ツバキはどうして鼻血を?」
「さぁ。マシュの姿を見て、興奮したんじゃないかな?」
「ツバキはどうしてマシュの姿を見て興奮を?」
「それはだってほら、ツバキは密かに茶々丸や分福丸のことが大好きだから。マシュのくりくりした目や全身の柔らかな形を見て」
「分かった。もういい。」
テンマはタタラの発言を遮り、マシュの方へと視線を向けた。
「俺が悪かった。君を襲ったりしてすまなかった。」
マシュは首を横に振り、前足でタタラの手に触れた。タタラがマシュの言葉を代弁した。
「ええと、僕が霧の魔法で海賊じゃないツバキを巻き込んじゃったからごめんなさい、だってさ。」
その場にいる皆は、マシュの良い子さに感動した。
タタラは皆に宣言した。
「何があろうと、誰が相手だろうと、ピットとマシュの宝箱を取り返す。今から行ってくる。」
「待て。俺にも行かせてくれ。」
「もちろん、私も行くよ。」
海坊主と時雨の申し出にタタラは頷いた。
「きぃぃ。」
「マシュも行きたいの?でも、疲れてるんでしょ?」
マシュは首を横に振った。
「分かったよ。茶々丸は、ここに残って、テンマとツバキのそばにいて。海に落ちたら大変だし。」
「んにゃ。」
「今度は私も行きたい。」
リョウコがタタラに言った。
「君は、何故行きたいの?」
「この辺りの海賊共をぶっ飛ばしたいから。」
「ふむ。」
タタラはマシュ、海坊主、時雨、リョウコを連れて、海坊主の船で讐怨亭を追うことにした。沖に出た辺りで、赤の女王が飛んできた。
「もしかして、宝箱を取り返しに行くの?じゃあ俺も行く。」




