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Dear World  作者: 山波 孝麻
第1章 たたりもっけと餓者髑髏
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第70話 たたりもっけ 対 赤の女王

 赤の女王、海坊主(うみぼうず)時雨(しぐれ)の3人が船で船幽霊(ふなゆうれい)の島へと到着した時、讐怨亭(しゅうおんてい)の船が多数見られたことから、そこからやや離れた場所に船を接岸した。赤の女王が船から降りて上陸すると、タタラが待ち構えていた。


 赤の女王はタタラを見て驚愕(きょうがく)した。タタラから感じられる末那(まな)はまるで太陽のようであり、(まぶ)しくすら感じられた。そして、タタラの魂は世界中の生命が凝縮(ぎょうしゅく)し、小宇宙を形成しているかのような超絶さがあった。


赤の女王が一瞬にしてタタラに畏怖(いふ)の念を(いだ)く一方で、タタラは赤の女王を見るなり、両腕をカマキリの(かま)に改変し、赤の女王を急襲(きゅうしゅう)した。赤の女王は(あわ)てて両腕に()めていた血液を宙に浮かせて2本の剣に変形させ、タタラの(かま)を防いだ。


赤の女王は空中に上がって、1本の剣を5本のナイフにして、タタラに放った。タタラも空中に上がって回避したが、赤の女王はナイフを遠隔操作し、タタラを追跡させた。


タタラは結界術 羅生門(らしょうもん)を発動して防いだが、ナイフは結界の壁に(はば)まれたまま、(なお)もタタラを刺そうと動き続けたため、タタラは結界術を維持し続けなければならなかった。タタラは結界の中から、ナイフが当たっていない箇所より、火炎術を放ったが、赤の女王は(ぜん)鳴動(めいどう)による斥力(せきりょく)でそれを(はじ)いた。


赤の女王はもう1本の剣を槍に変形させ、強力な斥力(せきりょく)を槍に宿し、タタラに向けて放った。それに対し、地上付近に移動していたタタラはすんでの所で身を(ひるがえ)して(かわ)した。大地に落ちた槍は地面を大きく陥没(かんぼつ)させると同時に、激しい衝撃波を周囲に発生させた。


タタラは暗黒物質を改変して骨の槍を2本形成させ、秘術 餓者髑髏(がしゃどくろ)により遠隔操作し、赤の女王を襲った。赤の女王は再び(ぜん)鳴動(めいどう)による斥力(せきりょく)により防いだ。


 両者共に武器の遠隔操作による攻撃と、それを防ぐための防御壁の展開という構図となった。末那(まな)(けず)り合いは必然的に末那(まな)の総量が多い方が勝者となると考えた赤の女王は、底知れぬ末那(まな)を有するタタラに対し、このままでは勝算はないと推察した。そのため、戦法を変えることにした。


タタラを襲っていたナイフを手元に戻し、刀に変形させた。そして、全身に強大な(ぜん)鳴動(めいどう)(まと)い、近接戦闘を開始した。タタラは極限にまで硬質化させた骨の槍を形成し、赤の女王の攻撃に応戦した。両者の武器が触れ合う度に、2人の力場が衝突し、衝撃波を生んだ。音と物理的な空気の振動が周囲に広がり、それが戦闘の激しさを物語っていた。


「何やってるんだ。2人ともやめろ。」


テンマが近くまで来て大声で言った。テンマの声が2人に届き、赤の女王とタタラはテンマを(はさ)む形で地上へと降りた。


「俺達は仲間だ。敵じゃない。」


赤の女王はタタラを見た。テンマの声を聞いても、タタラの目は血走(ちばし)っていた。


「タタラ、この者は赤の女王と言って、俺達に協力してくれているんだ。それに、海蛇(うみへび)に喰われそうになったツバキを、身を(てい)して救ってくれた恩人でもある。」


「ツバキの恩人?」


タタラはようやく落ち着きを取り戻した。


「赤の女王、すまない。こちらはマドリーナ王国のタタラ王だ。あんたを海賊と間違えたらしい。」


「王様だったの。それにしてもひどいよ。いきなり襲ってくるんだもん。俺がそんなに強くなけりゃ、確実に殺されてたよ。死んだら、取り返しがつかないんだよ。」


タタラはしょんぼりした様子で謝罪した。


「ごめんなさい。」


こうして、2人の戦いは終了した。テンマはタタラと赤の女王、それに、船の甲板(かんぱん)で壮絶な戦闘を観察していた海坊主(うみぼうず)時雨(しぐれ)を連れて、ツバキが眠る、陸にある船幽霊(ふなゆうれい)の船へと戻ることにした。


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