第70話 たたりもっけ 対 赤の女王
赤の女王、海坊主、時雨の3人が船で船幽霊の島へと到着した時、讐怨亭の船が多数見られたことから、そこからやや離れた場所に船を接岸した。赤の女王が船から降りて上陸すると、タタラが待ち構えていた。
赤の女王はタタラを見て驚愕した。タタラから感じられる末那はまるで太陽のようであり、眩しくすら感じられた。そして、タタラの魂は世界中の生命が凝縮し、小宇宙を形成しているかのような超絶さがあった。
赤の女王が一瞬にしてタタラに畏怖の念を抱く一方で、タタラは赤の女王を見るなり、両腕をカマキリの鎌に改変し、赤の女王を急襲した。赤の女王は慌てて両腕に嵌めていた血液を宙に浮かせて2本の剣に変形させ、タタラの鎌を防いだ。
赤の女王は空中に上がって、1本の剣を5本のナイフにして、タタラに放った。タタラも空中に上がって回避したが、赤の女王はナイフを遠隔操作し、タタラを追跡させた。
タタラは結界術 羅生門を発動して防いだが、ナイフは結界の壁に阻まれたまま、直もタタラを刺そうと動き続けたため、タタラは結界術を維持し続けなければならなかった。タタラは結界の中から、ナイフが当たっていない箇所より、火炎術を放ったが、赤の女王は全の鳴動による斥力でそれを弾いた。
赤の女王はもう1本の剣を槍に変形させ、強力な斥力を槍に宿し、タタラに向けて放った。それに対し、地上付近に移動していたタタラはすんでの所で身を翻して躱した。大地に落ちた槍は地面を大きく陥没させると同時に、激しい衝撃波を周囲に発生させた。
タタラは暗黒物質を改変して骨の槍を2本形成させ、秘術 餓者髑髏により遠隔操作し、赤の女王を襲った。赤の女王は再び全の鳴動による斥力により防いだ。
両者共に武器の遠隔操作による攻撃と、それを防ぐための防御壁の展開という構図となった。末那の削り合いは必然的に末那の総量が多い方が勝者となると考えた赤の女王は、底知れぬ末那を有するタタラに対し、このままでは勝算はないと推察した。そのため、戦法を変えることにした。
タタラを襲っていたナイフを手元に戻し、刀に変形させた。そして、全身に強大な全の鳴動を纏い、近接戦闘を開始した。タタラは極限にまで硬質化させた骨の槍を形成し、赤の女王の攻撃に応戦した。両者の武器が触れ合う度に、2人の力場が衝突し、衝撃波を生んだ。音と物理的な空気の振動が周囲に広がり、それが戦闘の激しさを物語っていた。
「何やってるんだ。2人ともやめろ。」
テンマが近くまで来て大声で言った。テンマの声が2人に届き、赤の女王とタタラはテンマを挟む形で地上へと降りた。
「俺達は仲間だ。敵じゃない。」
赤の女王はタタラを見た。テンマの声を聞いても、タタラの目は血走っていた。
「タタラ、この者は赤の女王と言って、俺達に協力してくれているんだ。それに、海蛇に喰われそうになったツバキを、身を挺して救ってくれた恩人でもある。」
「ツバキの恩人?」
タタラはようやく落ち着きを取り戻した。
「赤の女王、すまない。こちらはマドリーナ王国のタタラ王だ。あんたを海賊と間違えたらしい。」
「王様だったの。それにしてもひどいよ。いきなり襲ってくるんだもん。俺がそんなに強くなけりゃ、確実に殺されてたよ。死んだら、取り返しがつかないんだよ。」
タタラはしょんぼりした様子で謝罪した。
「ごめんなさい。」
こうして、2人の戦いは終了した。テンマはタタラと赤の女王、それに、船の甲板で壮絶な戦闘を観察していた海坊主と時雨を連れて、ツバキが眠る、陸にある船幽霊の船へと戻ることにした。




