第67話 幻のアルデバラン
フェイレイは目にも止まらぬ速さで、片手で持った銛でタタラを突いたが、タタラは奥義 受肉改変で片腕をカマキリの鎌に変化させ、それをいなした。
「なんだそりゃ。変な魔法だな。」
フェイレイは身体を回転させて銛でなぎ払いを繰り出し、それを再びタタラが鎌で防御すると、もう片方の手から炎を放射した。タタラが空中に上がりそれを躱した。
「火なら、僕も負けてないよ。秘術 飛縁魔。」
タタラは船の半分程もある巨大な火の玉をフェイレイに向けて放った。それを見た讐怨亭の船員達は驚愕して海に飛び込んだ。フェイレイは両足から炎を噴射して空中に飛んで回避した。
船は大爆発して全壊し、フェイレイはその衝撃を背中に浴びて推進力とし、銛でタタラを攻撃した。タタラは鎌にしていない方の腕に風の魔法、風魔を宿し、下方から向かってくるフェイレイに振り下ろした。
空気の壁に叩かれたフェイレイは頭に衝撃を食らったが、海へと落ちる寸前で体勢を整え、海面すれすれで飛んだ。片手を海に浸して魔力を流し込み、弧を描いてタタラに向かって飛んだ。そして、銛に炎を宿して突撃すると同時に、海中から何本もの円錐状の水柱を発生させ、タタラを襲った。
タタラも空中を速い速度で飛んで、フェイレイから距離を取り、追いかけてくる鋭い水柱の先端から逃避した。タタラは無数の鬼火を出してフェイレイを攻撃し、彼が怯んだ隙に、末那を練った。
「秘術 隠神刑部。」
タタラは分福丸の技を発動し、前方の空間に大きな円形の魔方陣を描き、そこから太い角を持つ巨大牛、アルデバランの上半身を出現させた。
アルデバランはフェイレイを飲み込もうと、裂けるように顎を大きく開いた。
「馬鹿な。なんなんだこいつは?」
フェイレイはタタラの秘術に驚愕しつつ、先端の鋭い水柱でアルデバランを下方から貫いたが、水はアルデバランの胴体を透き通った。
アルデバランはフェイレイに迫り、口をばくんと閉じて彼を食べた。そこに、タタラは秘術 飛縁魔による迦具矢を打ち込んだ。幻術のアルデバランは一瞬で消え、迦具矢の直撃を食らったフェイレイは黒い煙をプスプスと発生させながら海へと落ちた。
タタラが海面に近づくと、突然、アッコロカムイの腕が現れ、タタラに巻き付き、海中へと引きずり込んだ。




