第64話 リョウコの危機
讐怨亭の戦闘員は、マーメイドを除き、数名を船に残して島へと上陸し、7割を船幽霊に、残りをテンマへの攻撃に割いた。讐怨亭の者達はテンマの前に立ち応戦したリョウコの近接戦闘に圧倒されたため、戦法を変えて周囲を取り囲み、距離をおいて弓矢や魔法で攻撃した。魔力が切れたテンマは双剣だけでの防御は難しく、太ももに1本の矢を受けてしまい、膝をついた。
リョウコはオーラを練って、雷の魔法、電界を発動し、手甲から電気を発生させて、それを放ち、前列にいた屈強な海賊達を倒した。そこへ、讐怨亭のマグナが現れた。
「お前らもよくやったが、終わりだよ。」
リョウコが眉間に皺を寄せた。
「あっ?まさか、貴様らのようなボンクラが私を殺せるとでも思ってんのか?」
「威勢が良いな。まぁ、それもいつまで持つか。」
マグナは水の魔法、水妖を発動し、大きな水の塊をテンマ達のいる船の甲板へと放った。それにより、テンマとリョウコは水浸しになった。
「これで電気の魔法はもう使えねぇ。下手すりゃ、お仲間が感電するぜ。」
へらへらとしていたマグナは一転して真面目な顔付きで言った。
「俺達はな、この時を辛抱強くずっと待ってたんだ。邪魔な船幽霊を消し去る日を。テチス海の至る所に監視を付け、機会を伺ってた。そして、ようやく巡ってきたんだ。今日、船幽霊はな、小規模なそこらの海賊共を始末して何隻か船をこの島に運び、その後、海蛇党の船も襲い、さらに、島に戻って間もなく、かの有名な双竜兄妹のお前と激しい戦闘をした。」
マグナはテンマを見た。
「お前の、島がぶっ飛ぶんじゃねぇかと思うほどの強大な風の魔法は、正直、びびったぜ。さすが双竜兄妹だ。船幽霊にとっても予想外だったろうよ。俺達はずっと見てた。船幽霊が消耗しきった今しかねぇと思ったんだ。お前らは、俺らにとって良い駒となったよ。」
マグナは豪快に笑った。周りの海賊達もテンマとリョウコを嘲笑した。
「確か、マドリーナ王国は国を平和にしたかったんだろ?船幽霊を始末して、俺達がテチス海を平和にしてやるからよ、お前らも大人しく死んでくれや。」
マグナは魔力を貯め、強力な水の魔法、水妖を放ち、叫んだ。
「俺の水妖は岩をも貫く。」
3頭のカジキの形を模した水がそれぞれ異なる角度から弧を描いてテンマとリョウコに向かっていった。リョウコはテンマの前に立った。
「何してる?どけっ。」
「お兄ちゃんが死んだら、ツバキが悲しむでしょ。」
「やめろぉぉぉ。」




