【コント】厨二病
A:ボケ、自称人見知り。
B:ツッコミ、優しい友人。
A、俯きがちにため息をつく。
A「はー……人見知りすぎてつらい……」
B「くっらぁ! どうしたいきなり!」
B、オーバーに驚く。
A「人見知りすぎて死にたい……」
B「だ、大丈夫だって! 慣れればいいんだから!」
A「人見知りすぎて世界壊したい」
B「壮大だなぁ⁉︎ 人見知りの抱く夢デカすぎじゃない⁉︎」
Aはこれを受けて心から叫ぶ。
A「そうは言ってもなぁ! 洋服見に行く時とか辛いんだよ‼︎」
B「ちっちぇし地味‼︎ うーん……じゃあ練習しようよ。慣れるようにさ?」
A「わかった。じゃあオレが店員やるから、お前客な」
Aの発言にBは戸惑う。
B「えっ待って? 普通逆じゃない?」
A「いらっしゃいませー!」
B「始まっちゃったよ……」
A「お客様ー‼︎ 今日はいかがなさいましたかー⁉︎」
A目一杯声を張り上げて笑顔を貼り付ける。
B「いや元気いっぱいで明るっ‼︎」
A「反動で死にたい……」
B「逆効果じゃん⁉︎ もっと普通でいいよ⁉︎」
そこでAは笑顔を消して怠そうにしながら、Bをチラチラ見る。
A「……いらっしゃーせー……あ? なんすか? ちょっと俺に聞かれてもわかんねっす」
B「いや態度悪ー⁉︎ たまにいるコンビニのアルバイトかよ⁉︎」
A「この2パターンしかしらない」
B「お前の世界両極端だなっ⁉︎」
A「こうやって世界の人見知りは、日々殺されていくんだ……」
B「人見知り殺人事件⁉︎ だからスケール大きすぎるよ‼︎ もっと普通でいいから‼︎」
A「普通普通ってなぁ……人見知りだって生きてるんだよ‼︎」
A、腕を振りながら思いの丈を叫ぶ。
B「……キレるとこおかしくない?」
A「人見知りになりたくてなったんじゃねぇ! 気付いたら人見知りになってたんだ‼︎」
B「あー……そうだよなぁうん……」
A「この世界は……っ! オレが生きるには眩しすぎる……!」
B「えっと……」
A「そう、オレは追放されし者」
B「お?」
A「世界から追放された……堕天使なんだっ‼︎」
B「自称堕天使とか自己肯定感高いな?」
A「漆黒の炎に身を焦がしながら、地を這うように生きていくしか……!」
B「ねぇ厨二なの? そうなの? 人見知り関係ないんじゃないの?」
ここでAは厨二っぽいポーズをキメて、Bを見る。
A「それでも俺は、安息の地を求めている……」
B「全ての人見知りの人に謝った方がいいよ」
Bは冷静に返事をする。
B「というか、服買いに行く時に困るんだよね? じゃあ客として練習しないと意味ないじゃん」
A「一理あるな。褒めて遣わす」
B「何キャラなんだよ……じゃあ俺が店員やるから、お客さんやってみて」
A「ふん。お前の接客態度、しかと味わおうぞ」
B「その調子でくるの? ……まぁいいけど」
A切り替えて、笑顔で言う。
B「いらっしゃいませっ!」
A「あば、あばばばば……」
B「いやいや待って、落ち着いて⁉︎」
B、小刻みに震えるAの肩を押さえる。
B「どうした⁉︎ 通知の止まらないスマホ並みに震えてたけど⁉︎」
A「ふ……愚問だな。人見知りには通常運転よ……」
A、髪をかき上げてドヤる。
B「ドヤ、じゃねぇーんだよ! 全然自慢じゃない上話し方継続なのね⁉︎」
A「陽キャこわい」
B「まだ挨拶しかしてねーけど⁉︎」
A「陽キャ否定しない陽キャこわい」
B「俺ふつーだけど⁉︎」
A「普通とか言える自覚なし陽キャこわい」
B「人見知りかよっ⁉︎」
A「人見知りだよっ‼︎」
Aは盛大に逆ギレする。
B「あ、そうだったわごめん。ただの厨二じゃなかったわ」
A「なめるなよ……厨二の大半は仮初の仮面を纏し人見知りだ……」
A、キメ顔でポージング。
B「失礼だからお前の仲間にするなよ……」
A「厨二演じてないと人見知りになるんだよ」
B「……厨二も大変なんだな……?」
A「おうそうだぞ。全員お前みたいな陽キャと思うなよ」
B「なんで俺怒られてんの?」
A「全員お前みたいな、陰キャにも分け隔てなく優しくする陽キャ頂点だと思うなよ」
B「それは褒められてるの……?」
A「つまりお前はすごいんだぞ!」
B「なんで急に褒めだしたの? さてはお前、練習嫌になったな?」
Bが胡乱げにAを見ると、Aはゆっくり顔を逸らしながら口笛を吹く。
視線だけそっとBに戻すが、まだ見られていて慌ててそっぽを向く。
B「……いらっしゃいませー! 何をお探しですか?」
B、突然笑顔で元気にそう言う。
A「え、まだやるの……」
B「なにを、お探しですかぁー……?」
A「……」
嫌そうにBを見るも、笑顔で返される。
A「ひ……人見知りでも生きていける社会……」
B「んなもんねぇわ! ネットを駆使して生きていけ‼︎」
A「店員がみんなお前みたいならいいのに……」
B「そんな量産型は嫌だ‼︎」
A「もうネットとお前だけでいいのに」
B「重いよっ⁉︎ ヒモかよ⁉︎ 仕事しろよ‼︎」
A「そんな社会実現のために、クローン技術とITの融合会社を設立しました」
B「天才かよー‼︎」
終わり