3.VS獣戦
前回。魔法を使いこなせない主人公!そんな主人公の前に現れる獣の群れ!レイジに人格交代して、戦いに臨む!
「せいっ!!」
剣から衝撃波を放ち、獣を倒す。回避をしてくる獣も居るが、それは周りの木々を利用し、三角跳びをして先回り。逃しはしない。
そうして、衝撃波を放ち、獣を1体倒す。やっぱりこの衝撃波は強い…シンプルな威力もそうだけど、遠くに居る獣まで攻撃を当てられるのがありがたい。
そんなことを思いながら向かってくる数体の獣を倒す。うん…レンのおかげで、断然戦いやすい。
さて、まだまだいくぜ!
獣はオレのことを脅威と見なしたのか、5体同時に襲い掛かってくる。それを躱して反撃していく。
そして、獣が一線上に並んだ所を狙い、剣から衝撃波を飛ばす。そうして襲いかかってきた獣をすべて斬り裂いた。
それからも、剣からの衝撃波で、次から次へと迫ってくる獣達を薙ぎ払う。
1体、また1体と獣が地に倒れ伏す。
「ようやく半分ってところだな…」
『まだ油断は禁物だな』
「あぁ、わかってる!」
そう返事をしつつ、剣を振るう。そして、放たれた衝撃波により再び獣が倒れ伏す。
そうして、後1体というところで、剣から衝撃波が出なくなった。
ついに、レンの余剰分の魔力がなくなったのか…というか、どんだけの魔力だよ…ほとんど衝撃波で倒しちゃったぞ。
…まぁ良い、後もう少しだ!
「よし!後1体!いくぜ!」
『1体だからって油断するなよ!手負いの獣を侮ると痛い目に遭うからな』
「何か、すごい戦い慣れている奴みたいな言い方だな…まぁ、元々油断するつもりはないけどな!」
そんなことを話しながら、最後の獣に近付き、斬りかかる。だが、獣は跳んでその攻撃を回避する。
よく躱したな…だけど、それだけじゃオレには届かない。
獣がオレの攻撃を回避した直後、すぐさま獣に近付き、追撃する。どんな相手でも空中では動きが鈍る…そんな敵がオレの追撃を躱すことはできない。
そうして、ついに最後の獣は倒れた。
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「レイジ、お疲れさま。とりあえずしばらく休んでくれ」
『あぁ、サンキュー。また戦闘になった時は任せてくれ』
「うん、その時は任せた」
襲い掛かってきた獣を蹴散らし、レイジと人格交代した。肉体的には疲労は少ないが、精神的には疲れていたようで、レイジはすぐに眠りに就いてしまった。
このままレイジにばかり戦闘を任せるのはよくないな…早いところ、魔法を使いこなせるようにならないと。
「貴方ね?新しい勇者は」
どう魔法を使いこなそうか思考を働かせていると、見知らぬ少女が声を掛けてきた。
俺に声を掛けてきたその少女は修道女の格好をしているショートの赤髪の美少女で、言葉遣いや雰囲気から気が強い女性という印象を受ける。
というか、ちゃんと日本語通じるんだ。ちょっと安心した。
「聞こえてる?一応、異世界から勇者が来た時の為に翻訳魔法を習得しているから、貴方の世界の言葉に聞こえてるはずだけど…」
「ちゃんと聞こえてるから大丈夫だ。ところで君は一体…?」
「私はレナ。この近くの教会でシスターをやっているわ」
「へぇ、そうなのか…あ、俺はレン。よろしくな!レナ」
「えぇ、よろしくね。さて、教会に行く前にまずは死骸を処理しちゃいましょ。手伝ってくれる?」
「構わないけど…俺は何をすれば?」
「あの獣の死骸を1箇所にまとめて」
「うげ…マジか……あぁ、でもここで死骸を処理しとかないと面倒なことになるのか…しょうがないか…やだなー、やりたくねーな、だけどやるしかないよなー」
「ほら、ボサッとしてないで早くやる!」
「了解……」
そう返事して、いやいやながら作業を始める。
もうここら辺を全部燃やした方が早いのではないかと考えたりもしたが、そうなると被害が凄いことになるのは考えるまでもないので、黙々と作業を進める。
レナの方をチラッと見ると、慣れた手付きで死骸を1箇所に集めていた。レナにとってはこういう事は割と頻繁にあるのかもしれない。
そんなことを思いながら作業を進めていると、ようやく全ての死骸を1箇所に集め終えることができた。
「ふぅ…ようやく終わった…出来れば二度とやりたくない」
「異世界から来たばかりだと、そういう反応になるのも無理はないわね。むしろ、よく最後まで出来たわね…貴方、結構根性あるわ」
「ありがとう…そういや、この後はどうするんだ?」
「私の魔法で燃やす。安心して、貴方みたいにとんでもない威力にはならないから」
「やっぱり、あれ見えてたのか」
「あれだけ派手に爆発してたら当然よ。もしかして、まだ魔法の使い方を理解してないの?」
「恥ずかしながら…」
「…わかった。なら、教会に戻ったら魔法の使い方を教えて上げる」
「本当に!?それはマジでありがたい!」
まさかこんな形で魔法を教えてもらうことが出来るとは…これでようやく魔法がまともに使えるかもしれない。
「どういたしまして。さぁ、さっさと燃やして帰りましょう」
そう言って、レナは死骸に向けて炎の魔法を放った。
そして、レナの炎の魔法により獣の死骸は骨も残らず塵となった。
「凄いな…そういえば詠唱なしで魔法使ってたけど、それってこの世界の人達、全員がそうなのか?」
「そうね、基本的には詠唱をして魔法を放つわ…ただ、詠唱はあくまで魔法の威力を上げるために行うから、元々魔法力が高い人は無理に詠唱する必要がないのよ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあ、レナは魔法力が高いんだな…どうりであんなことが出来るわけだ」
「あなたも魔法力がかなり高いけどね…その代わり、大分コントロールが難しそうだけど。まぁ、その辺りはしっかり私が特訓してあげるから安心して」
「ありがとう。お世話になります!師匠!」
「調子良いわね…ま、私に任せなさい」
そう言って、レナは満更でもなさそうな顔をする。
レナは何だかんだ面倒見が良いんだな…優しい師匠に巡り会えて俺はラッキーだ。
「そうだ!教会に着くまで、他にも色々と聞いて良いか?まだ来たばかりだから、わからないことが多いんだ」
「えぇ、構わないわ。何について聞きたいの?」
「そうだな…」
さて、何から聞いたものか。俺はレナに何を聞くべきか思考を働かせるのだった。
簡単プロフィール紹介!第2弾!
レイジ(年齢??)
身長と体重はレンの身体を使う以上、同じになる。
レンのもう1人の人格で、どこから来たのか、何者なのか、すべてが不明の謎の存在。突如としてレンの心の中に住み着き始め、今では互いにかけがえのない相棒となっている。
勇者としてレンと一緒に召喚され、戦闘では剣による戦闘を担当している。考えることが苦手な根っからの感覚派で、戦いにおいては主に自らの直感や感覚を信じて戦う。思考しながら戦うレンとは真逆のタイプ。
それ故、何か作戦を考える時はレンに任せている。