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悪魔のささやき  作者: 雨音 翔
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神と悪魔

 



 僕は、神空光かみぞらひかり。今年から二年生になった現役、潮海ちょうかい高等学校に通う男子高校生だ。


 そういうと大人は決まって若いっていいね、羨ましいだとか

 まだまだ未来があるだとか、高校生だったあの頃に戻りたいだとか、口を揃えて言ってくる。


 しかし現実には僕は、毎日毎日変わりばえのしない毎日を只々生きているだけだ。ただそれだけだ。

 特別な事が起きるわけでもなく、かと言って特別な事を起こそうと思うわけでもなく、毎日が同じルーティーンなのだ。

 このまま歳を重ねても、あの頃に戻りたいなんて、まず全く考える事ないだろうと思う。


 別に不平不満が無いわけじゃないけれど、特別あるわけではないし、

 学校でも成績が特別良いわけでもなければ特別悪すぎるといった事もない。

 特別、大事な友達がいるわけでもなければ、特別、恨んでいる奴がいるわけでもない。


 強いて言えば特別が何一つない。


 そういうことで、早速なのだけれど端的に言ってしまうと、

 もうそんな人生に飽きてしまった。

 そう言うと何とも中二病をこじらせている奴だと思われそうなのだが、まあそれはいい。


 17歳のガキが何をほざいてるんだ、まだ人生のほんの一部しか生きていないくせに、なんて声も聞こえてきそうだが。

 しかし、スープを味見するのに

 別に鍋いっぱい飲まなくてもスプーン一杯でその味が分かるだろう?

 小説にしたって、始まりが駄文の羅列となれば、その小説の続きなんて読むに値しない只の紙屑だろう?


 と、いうように、なんだって始まりで

 ある程度その全てが分かるという事だ。

 その始まりを知るのなんて17年も生きれば十分過ぎるほどの年月だ。


 でも勘違いしないでほしいのは、別に死にたいと願っているわけじゃない。

 じゃあ何がどうなれば満足なのかだって?

 そんな事分かっていたらとっくの昔に実践している。


 机の引き出しを開けても

 タイムマシーンに変わっていないのも知っているし、

 その辺に植わっている木にゴムゴムの実がなっていないのも知っている。

 まあ、戻りたい過去も、見てみたい未来も今のところそんなにないし、海賊になるつもりもないから、それもいいんだけど。


 でも、もし、

 本当にもし、

 満足するように願いが叶うなら一体何を僕は願うんだろう。

 それすらも分からないんだからどうしようもないんだけれど。

 しかし今までに神頼みをして、上手くいったことなんてほとんど無かったもんな。


 なら悪魔にでも頼めないもんかな、なんてね。

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