この世界に救いなどない 第三話~知ってしまった真実~
いよいよわからなくなってきた
「ようこそ!私の城へ!」
そこにはどこかの神話にでも出てきそうな立派な城が建っていた。
「いやーここに来るまでひどい目にあった…いきなり殴られるし、なんかみんな冷たい目で見てくるし…」
「ごめんね、みんなおびえているの…それもそうだよね、敵であるはずの人間を連れているんだもの…ごめんなさい…」
「それもそうだよな…」
「さっ中に入ろっ」
「おう」
城に入ると、そこには元王と王女の像が建っていた
「そういえばルゼの両親は人間族に殺されたのか?」
「ええ…強力な魔法で相手もろとも道ずれに命を落としたわ」
「僕は一応人間だけど…一緒にいて辛くないの?」
「何も思わないなんては言えない…でも、あなたは勇者だもの!このくだらない戦いを終わらせれるなら私はなんだってする!!」
ルゼの声が城にこだまする、彼女は本気だ。
「ごめんなさい、ちょっと取り乱しちゃった…っと着いたよここが私の部屋、入って」
思えばたとえエルフとはいえ女子の部屋に入るのは初めてだった。部屋はとても広く、沢山の本が置いてある。
「そういえば、召喚されたのはわかったけど僕は何をしたらいいんだ?」
「そうだ!言い忘れてたね。春輝を呼んだのはほかでもない、人間族を皆殺しにしてほしいの。」
春輝は耳を疑った。
「今なんて言った!?」
「え?だからあの憎い人間族を根絶やしにしてほしいんだけど…」
完全に狂ってる…
「私、本で読んだの。この世界に争いがはびこりし時一人の勇者があらわると…だからエルフ族に太古から伝わる召喚術で春輝を呼んだんだ。」
「そっそうなんだ…」
「うん!今日はもう遅いから明日からでいいや、夕飯にしよっ」
春輝は夕飯を済ませ与えられた部屋のベッドに寝転んだ。
「僕はもう何が正しいんだかわからないや。でもこの世界では人間は悪いやつみたいだし、この世界で誰かの希望になるって決めたんだ!まずは様子を見ることにしよう。案外寝て起きてみたらいつもの日常に戻ってたりして。」
そうして春輝は目を閉じた。