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クリスマス事件1

 クリスマスの時期がやってきた。外は雪がわずかに降っている状態だった。

 ツマとニッパーは相も変わらず神々の図書館である天記神の図書館でぬくぬくと過ごしていた。


 「もう……またお外に出ないの……」

 図書館の館長であり書庫の神である天記神は心は女だが外見はさわやかな男性。

 話し方はお母さんのようでもある。そんな天記神は呆れた顔で縮こまっているツマとニッパーを見つめた。


 「だって寒いっすもん」

 刀神ニッパーはもこもこのドテラを着て天記神が持ってきたお菓子をつまんでいた。


 「まあ、寒いからね」

 ニッパーの横にいた木種の神ツマツヒメ神ことツマも足元に毛布をかけてニッパーと同じようにお菓子に手を伸ばしていた。図書館の閲覧コーナーの机はいつの間にかお菓子でいっぱいになっていた。


 「今日は十二月二十四日ですよ!何の日かわかるわよね?」

 天記神は腕を組んでツマとニッパーの前に仁王立ちした。


 「ん?えー……あっ!クリスマスイブっす!」

 しばらく考え込んでいたニッパーが思い出したように立ち上がった。


 「そうなのよ!」

 「クリスマスイブか……もうそんな時期か……」

 天記神の声にツマがかぶせるようにつぶやいた。


 「町はクリスマス色に染まっているわよ!それなのにあなた達ときたらクリスマスも正月も過ぎた二月初めって感じの雰囲気……。いいかしら?クリスマスは外に出て楽しんでいらっしゃい!ほら、この雑誌見てみなさい!」

 天記神は早口にまくしたてると観光雑誌の一ページを見せてきた。雑誌はクリスマス一色で大きなモミの木がかわいくデコレーションされていた。


 「おお……。きれいっすね。クリスマスツリー」

 「そんな呑気に言ってる場合じゃないの。ほら、このページ。この地域は今年初めて本物のモミの木をツリーにしたんですって!飾り玉とか星とか町の人達が手作りした一品よ!夜はイルミネーションがあるわ」

 天記神は真剣な目でツマとニッパーを見つめた。


 「お、おお!」

 「……きれい。ツリー見に行きたい」

 ニッパーとツマの興味はすぐにクリスマスツリーにうつった。この少女達は興味が出るととことん行動にうつすタイプである。


 「しかも……夜はクリスマスパーティがあるわ。お外の屋台で無料の料理が食べられるそうよ。しかもバイキング!『オールゆーキャンいーと』よ!」

 「無料のお料理!よし、ニッパー君、ツリーを見に行こうじゃないか」

 「お料理っす!パーティっす!」

 天記神のたたみかけによりツマとニッパーはもう間違いなく行く気になった。


 「よし。じゃあいってらっしゃい」

 天記神は満足そうに頷くとツマとニッパーにほほ笑んだ。


 「イエーイっす!」

 「ニッパー君、早く行くぞ」

 ニッパーとツマはそそくさと立ち上がると寒さもそっちのけて図書館から飛び出していった。


 「ふう……やっとどっか行ったわ……。さてと、私はちょっとティーブレイクを……」

 天記神はどこか安心した顔で戸棚から高級クリスマスケーキを取り出し、高級茶葉で紅茶を優雅に注いだ。

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