やきポテト事件3最終話
「そうか!」
ツマが突然ポンと手を叩いた。
「ん?解決したっすか?」
「ニッパー君!これは私達が悪いのかもしれない」
「ん?」
ツマがどこかすっきりした顔をしているのでニッパーは眉をひそめた。
「ここはきっと芋を焼いちゃいけない場所なんだ。落ち葉があって気がつかなかったけどここは子供達の運動場なのかもしれない」
ツマは深い落ち葉を足でかき分けて地面を出した。地面にはよく見ると細かい砂利が敷かれていた。
「あ……サッカーとか野球とかそういうのをやる運動場みたいな……」
「そうそう。それで子供達が運動をしに来た時に燃えている落ち葉を見て驚いて大人を呼んで火消しをしたのかもしれない」
「なるほどっす……。まあ、それは仕方ないっすけど……芋がなんでなくなったんっすかね?」
ニッパーの不服そうな顔にツマはため息をついて答えた。
「運動に邪魔だったから大人が持って行ったんだろう。木々が『盗んだのか?』っていう質問に答えられなかったところから推測できる……」
「あーあー……焼き芋はやる場所を考えなきゃダメっすねー……」
ふたりがガックリ肩を落としていると空き地に子供達の声がした。
「あー、なんか火が出ててびっくりしたよなー」
「芋が入っているとは思わなかったけど大人呼んで良かった」
空き地に入ってきたのは数人の男の子グループだった。手にサッカーボールを持っている。
「誰が焼き芋やったかわからないからお前達食べなって芋もらったのは驚いたよな」
「確かに。おやつ焼き芋なんてなかなかないよなー。はあー食った食った」
「だけどよー、あそこで焼き芋やったやつはなんかかわいそうだよなー。俺達がもらっちゃったし……」
男の子達はサッカーボールを蹴り始めた。
「そりゃあ仕方ねぇよ。だってほら、あそこに注意書きしてあるし。しちゃいけないところでしていたんだから役場の大人達に持ってかれるのはしょうがないさ」
男の子の一人がボールを追いかけながら指だけ指した。指を指した方向はツマ達からは看板が裏だった。
男の子達の会話を聞いたツマとニッパーはさらに肩を落とした。
「なんだ……注意書きがあったのか……」
「大人が子供に私らの芋をおやつとしてあげていたっすか……。盗んでもないってこういう事だったっすね……トホホ……」
ニッパーは半泣きの状態だったが自分達が悪いので仕方がなかった。
「もう、天記神の図書館に戻ってキノコ汁作ってもらおう?焼きキノコも……サツマイモなくなっちゃったし……」
「そうっすね。幸いキノコはあるっす」
ツマとニッパーはお互い肩を落としつつ、天記神の図書館に向かってとぼとぼと歩き出した。
その後、図書館でのんびりしていた天記神は予想外に早く帰ってきた二神にため息をつきつつ、半分同情しつつ温かいキノコ汁を作ってやったのであった。




