カフェ事件3
「手詰まりだ。」
「早くないっすか?」
ツマが無表情で小さく頷くのでニッパーは思わず突っ込んだ。
「だって、木が答えてくれないと何にも解決できないし。」
「いや……推理してくださいっすよ!」
「男の外見と一緒にいた女の外見を聞いてみる。」
ツマがしゅんとした顔で植木に再び話しかけた。
「……男は麻木理高校の学生か?」
……。
「女は麻木理高校の学生か?」
……。
両方とも無言だった。つまり木々は今現在、お庭の席で勉強道具を広げている女生徒以外の人物を見ていない。
「……うーん。待てよ。さっきの質問を含めると木々が何も答えないって事は事件が起きたのは知っているけど実際『店内の客の誰と争ったか知らない』って事か。」
「なるほどっす!木々は最初に『男女のいざこざがあったか』という質問に『YES』を言っているっす。つまり……。」
「女生徒が何か言いながら出て行ったって事か。男女のいざこざだってわかるような言葉を。」
ツマの目がわずかに輝いた。あまり表情がないため、普段はあまり気がつかれないが。
「では、質問は……えーとあの女生徒が男女のいざこざについて何か言っていたか?」
……YES……
答えは当たっていた。しかし、何を言っていたかは『YES』、『NO』のクエスチョンではないので木は答えられない。
「これで色んな事がわかったっすね。あの女生徒が男女のいざこざだとわかる言葉をこの植木達に聞こえる部分で言ったか叫んだか。それで植木達はそのことを知っている。だけど店内で起こった事なので誰がもめたのかはわからないって事っす。」
ニッパーのまとめを聞きながらツマは探偵が部下からの報告を聞くように大げさに頷いた。
「……もしかしてあの女生徒が彼を連れてここに来たことがあるのかもしれない。それも聞いてみよう。……あの女生徒が男と二人でここに来たことはあるか?」
……YES……
「イエス。……では昨日その男はあの女生徒以外の女と一緒にここに来たか?」
「お!おお!その質問は考えつかなかったっす!」
ニッパーが感動している中、木は
……NO……
と答えた。
「ノー……。ではその男は昨日ここに来たか?」
……YES……
植木の返答を聞き、ツマとニッパーはお互い強い視線を交わし合った。
「すごいっす!男の外見がわからずとも女生徒の彼氏だと証明したっす!……でも、あの子以外の女とは昨日来てないって言ってたっすけど……。」
「まだまだ。カフェ内で待ち合わせしたかもしれない。もし待ち合わせしていたとして彼が早くとも遅くともカフェに着くこともあり得るから『その前後で誰か女が来たか?』という質問はかなり頼りない。」
「た、確かに……。」
ツマの言葉にニッパーは肩を落とした。
「彼が来た時間を割り出してみよう。逆に考えるんだ。……もし違ったとしても仮に彼が学生だったとしよう。今はテスト期間中だ。早く帰れるが早くても二時くらいだろう。事件が起こったのは三時頃だ。つまり女生徒がこのカフェに来たのが三時頃。つまり彼はもっと早くこのカフェにいてその時には彼は見知らぬ女と一緒にいた。」
「おお……!」
やたらと『つまり』を発言しているツマをニッパーは尊敬のまなざしで見つめる。
「つまり彼は二時から三時あたりにいたという事になる。そうすると女もそれくらいの時間に来たことになるね。学生かどうかを確かめるには二時頃に来たかどうかを確認すれば予想はつくかな。さすがに試験を休んで朝からカフェにいたとは考えにくいし。学生ならばだけど。」
「すごいっす!きれきれの頭っす!」
感動しているニッパーを満足そうに見つめたツマは再び植木に向き直った。




