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サマーやすみ事件3

 「そこの鉢植えに聞いてみようか。外に出てしまったら解決してしまいそうだから。おまけに暑いし」

 ツマはベンチ横にちょこんとおいてあった観葉植物に手を置いた。

 ツマには特殊な能力がある。それは『YES』『NO』で答えられる質問ならば植物が『YES』『NO』で答えてくれるという能力だ。


 「よし……。まずは……さっき泣いていた女の子は迷子か?」

 「おお、確認から行くんすね?」

 ニッパーが頷いた刹那、観葉植物が「NO」という答えを出してきた。頭の中に直接ワープロの文字を打ち込まれている感じで答えが思い浮かぶ。


 「ノーか……。では……後に出てきた方の女性はその子の母親か?」

 ……YES。

 「イエスだ。えーと……じゃあ……なんで泣いてたんだろ……」

 ツマが首を傾げたがこれは『YES』『NO』で答えられないので観葉植物は答えない。


 「ゲーム大会に出場するつもりだったんすかね?それで参加申し込み用紙を失くしちゃったとか?」

 ニッパーの言葉に唸ったツマはどこか悔しそうに観葉植物に質問をした。


 「どちらが参加したかったかはわからないが……参加証を失くしたのか?」

 ……NO。

 「ノーだ!やはり事態はそんなに単純なものではない」

 ツマはどこか嬉しそうにニッパーを見た。ニッパーを完璧にライバル視している。


 「じゃあ、まずどっちが参加したかったのかって事っすね。母親の方だったら子供が呆れちゃって『ママは私の事見てくれない!』みたいな気持ちになっちゃったとか?」

 「なんだ。今日のニッパー君は冴えているじゃないか」

 「きゃりあうーまんっすから」

 ニッパーは胸を張って答えたがツマは軽く流して質問をした。


 「参加をしたのは母親の方か?」

 年齢的に母親の方を疑った。母親はまだ若い。ニッパーの仮説はなんとなく正しい気もした。

 ……NO。

 しかし、観葉植物の答えはノーだった。


 「じゃあ……子供の方……?」

 ……YES。

 「ニッパー君……これはどういう事だろう。ゲーム大会直前で怖気づいたのか?」


 「それは濃厚かもしれないっすね。ですけど……あの母親の顔はなんだかそんな感じには見えなかったっす。怖気づいたのかと思ったらもっと呆れた顔をして『あーもう。いつもこうなんだからっ!』みたいな感じになると思うんすよね」

 ニッパーは大人の女性のように母親のような誰かの真似をした。


 「確かに……。あの母親はどこか必死な顔をしていた」

 ツマとニッパーは考えを巡らせる。ツマは何となく会場内を見回してみた。何かヒントはないか……。

 そんなことを思っていたらツマの脳に閃きの電撃が走った。

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