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やたいフード事件3

 ちなみにどうでもいいがニッパーは刀剣の神なので十手も霊的(幻想のようなもの)化して出せるのだった。

 「悪い子はお仕置きっす!」

 ニッパーは素早く十手を稲荷神の尻に打ち据えた。


 「ふぎゃあああ!」

 突然攻撃を受けた稲荷神は不思議な叫び声を上げてふらりとバランスを崩した。

 そこへ木種の神であるツマが髪の毛をツル化させ稲荷神を支えた。そしてそのまま縄をうつように稲荷神に巻き付けた。


 「ひぃぃぃ!ナニコレ?何?」

 稲荷神は目に涙を浮かべガクガクと震えていた。


 「捕まえたぞ。ちらし寿司泥棒。いや……屋台飯泥棒か。」

 ツマが鋭い視線を幼女の稲荷神に向け腕を組んだ。

 その横でニッパーが十手を稲荷神に突き付けている。


 「ど、泥棒?してないよ!」

 「どの口がほざく!貴様はその食べ物をどうやって手に入れたっ!」

 ツマはどこかの時代小説のように稲荷神に詰問を始めた。


 「うえええん。地味子に買ってもらったんだよぅ。」

 「地味子?」

 本格的に泣き始めた稲荷神にツマとニッパーは眉を寄せた。


 「あー、イナ!何やってるの……。」

 ふとツマとニッパーの後ろからかなり地味目な少女がこちらに向かって歩いてきた。


 「じみこぉ!わかんないよぉ!」

 イナと呼ばれた少女は麦わら帽子の地味な少女に必死な面持ちで訴えていた。

 ツマとニッパーはこの麦わら帽子の少女が地味子であると即座に思った。なんというか存在が地味だ。


 「……でも……この女も神だ。」

 「なるほどっす。」

 ツマとニッパーはさらに目を鋭くさせて麦わら帽子の少女、地味子を睨んだ。


 「うっ……ねえ、君達はイナをイジメてどうするつもりだったの?それから私はヤモリ。家之守龍神いえのもりりゅうのかみだから。決して地味子ではないから。」

 ヤモリと名乗った少女はツマ達を負けじと睨み返してきた。


 「お前も共犯か!屋台の物を盗んだな!」

 「盗んだっすね!お縄でぃ!」

 ツマとニッパーは時代劇の見せ場面っぽく叫んだ。


 「あー……なるほど……。あのね、私は民家を守る神なのよ。それでまあ、龍神なんだけど家々を守る方面に行ったわけ。それで人に溶け込んでいるの。つまり私は人間に見えるの。イナの食べ物は私が財布の中身カラッカラにして払ったの。」


 ヤモリはうんざりした顔でパニック状態のイナを落ち着かせるとため息をつきながら去って行った。


 ヤモリは人間に見えるというのは本当のようだ。人間がヤモリにぶつかりそうになり避けている。


 「……んん……犯神ではなかったのか……。」

 ツマはなんだか恥ずかしくなり頭を抱えた。


 「じゃあ、さっきの屋台の人はどうしたんっすかね……。」

 ニッパーは若干残念そうにツマを見ていた。本格的な捕り物がしたかったらしい。


 「もう一度見に行ってみよう。残念ながら今回は私の能力が使えない。ここは海だから……。」

 絶不調のツマは肩を落としつつニッパーを促して先程の屋台まで戻った。



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