やたいフード事件1
「七夕まつり!?」
緑の髪の少女と黒髪魔女帽子の変な少女達は『神々の図書館』の館長である天記神に向かって叫んだ。
「ええ。」
体は男、心は女の図書の神、天記神は館内の本を片付けながら軽く頷いた。ここ、神々の図書館はもちろん神々しか入れないのでここに入り浸っている少女達は当然神である。
緑の髪の少女、ツマツヒメ神ツマはとてつもなく有名な神で木種の神だ。姉に大屋都姫神、兄にイソタケル神、そして父にスサノオ尊を持つ。
反対に黒髪の少女ニッパーはまだ神になって間もない。だが父はかの有名な天之御影神であり、刀神である。
この二神の少女達は友達のようでよく遊んでいると聞く。
「いいっすね!七夕まつり!ツマっちゃん!行くっす!」
黒髪の少女ニッパーが緑の髪の少女ツマに笑みを向けながら興奮気味に詰め寄った。
「七夕まつりか……なんだか事件のかおりがする。」
ツマは読んでいた探偵小説を閉じると目を光らせて立ち上がった。
「いや……事件ではないっすけど……。単純に楽しみたいっす……。」
「楽しむんならちょっと田舎だけど小さな港町で七夕祭りをやっている所がありますわよ。ただのお祭りじゃなくてけっこう有名な花火も見られるとの事よ。」
天記神は七夕まつり特集が載っている雑誌の楽しそうな記事を見せてきた。
この雑誌ももちろん、神々用の雑誌でかの有名なヱビス様こと蛭子神が社長の『天界通信本部』の雑誌である。
「お、おお……花火っすか!いいっすね!ツマっちゃん!」
「よし、行こう!ニッパー君!」
ニッパーの目線にツマは即答で行く事を決めた。
雑誌いっぱいに載っているのは鮮やかな美しい花火だった。それが海に反射してさらにキラキラと輝いている。
……お花みたい……。
ツマはそれに感動したようだった。
決まったらすぐ行動の少女達は探偵小説を片づける事もなく足早に図書館を去って行った。
天記神はツマが読み散らかした探偵小説をため息交じりに片づけ、紅茶とお菓子を装備、閲覧コーナーの椅子に座るとさっきから飲みたかったちょっとお高めの紅茶に口をつけた。
……ふぅ……。これで少しは静かになるわ……。
……さぁてとっ❤
天記神は安堵のため息をつくと頂き物のかなりお高いお茶菓子をいそいそと出し始めた。




