チェリーおにぎり事件3
毎度おなじみだがツマにはある能力がある。
木々にYES、NOクエスチョンを投げかけるとYES、NOで答えてくれるといったものだ。
ツマはさっそく質問を投げかけてみた。
「ここでおにぎりはなくなったのか?」
……YES。
頭の中でワープロの文字のようなものが浮かんだ。
「えー……それは休日のお昼か?」
……YES。
「イエスか。じゃあ、おにぎりを盗まれた人達がいた隣は子供連れか?」
……YES。
「おお、イエスっす!これはニッパーちゃんの推断が正しい感じっすね!」
ニッパーは当たるかもしれないと感じるとやたらと興味を出してきた。
「判断はまだできない。おにぎりを食べたのは子供か?」
……YES。
木々の返答はイエスだった。その瞬間、ツマががっくりとうなだれ、ニッパーはガッツポーズを取った。
「ほら!当たったっす!いたずらの坊主とかがおにぎりをつまんだんっすよ!」
「……いたずら……本当にそうなのか?私はもうちょっと柔軟に考えたい。……その子供はいたずらで盗んだのか?」
……NO。
「お?」
木々の返答にツマとニッパーは少しだけ固まった。
「ノーだ。ノーと言った。いたずらじゃないんだ。……じゃあどうして……?」
ツマの言葉には木々は返答しなかった。YES、NOクエスチョンではないからだ。
「よし、それを推理するっす。」
ニッパーはツマよりも先に結論を出そうと頭をひねり始めた。
「……。」
しばらくツマとニッパーは無言でいた。桜の花びらが風で舞っていく。目の前で行われているお年寄りたちの俳句大会は今も続いていた。
ツマがなんとなく俳句大会を眺めているとお年寄り達がお弁当を取り出しはじめた。
「はい、これが鮭、それでこれが昆布ですね。あ、おにぎりはどれも似ていますので具材を間違えないようにしてくださいね。」
優しそうなおばあさんが食事担当だったのか同じようなおにぎりを沢山出し始めた。
「あ……。」
その光景を眺め、ツマの目に光が宿った。




