ひなドール事件3
「他にも人形が消えた民家があるか?」
……YES。
「けっこう大規模な人形消失事件っすね……。」
先程からニッパーはなんだか怯えていた。
ツマはそんなニッパーを横目で流し、思考にふけった。
「……同じメーカーの人形か?」
ツマは何にも質問が思いつかなかったのでてきとうに聞いた。
……YES。
「……え!」
返ってきた答えがイエスでツマは驚いた。同じメーカーの人形だとは思わなかったからだ。偶然にもこの周辺には同じメーカーの人形を購入した人間が沢山いたらしい。
「同じメーカーの人形……あやしいっすね!」
ニッパーはさらにオカルトな表情でツマに隠れると叫んだ。
「ま、まさか……同じ人形……だったり……。同じ人形か?」
……YES。
ツマの発言に木々は即座に答えを返した。
「イエス……なんだか気持ち悪い……。」
「同じメーカーの同じ人形をこの周辺の人達は買って飾ったって事っすか?末恐ろしい。」
「誰かがその人形を配ったとか売りまわったとかかもしれない……。これを飾ったら運気が上がります的な……。」
「ひな人形……っすよね?」
ニッパーがさらに震えながらツマに尋ねた。
「とりあえず聞いてみる……。それは誰かが配ったか?」
……NO。
「ノー……では営業で売りに来たか?」
……NO。
「では……ここの住人達が独自に買ったものか?」
……NO。
「ノー?全部ノーじゃないっすか!余計気持ち悪いっすよ!めっちゃ怖い!」
「ニッパー落ち着いて……。よく考えてみよう。」
今にも逃げ出してしまいそうなニッパーをツマは押さえつけ、深呼吸させた。
「考えるって何をっすか?これ完璧オカルトっすよ!」
「……落ち着いて。買ってもいなくて売りにも来てなくて配ったわけでもないなら……その人形は元々そのお宅にあったという事になる。……人形は元々人形保有者の家にあったものか?」
……NO。
木々はNOの答えを出した。元々家にもなかった人形……という事になる。
「じゃ、じゃあ人形はどっから来たんすか!」
「どっから来た……。どこから来たか……そうか!なんとなくわかったぞ!お手柄だ。ニッパー君。」
完全に怯えているニッパーにツマはどこぞの探偵のモノマネで輝かしい顔を向けた。




