ひなドール事件2
ツマとニッパーはヨモギ餅をきれいにたいらげるとすぐさま図書館を飛び出していった。
「ふーむ……。とりあえず目的の現世に来たがどう聞き込みをするか……。」
ツマとニッパーは現世に降り立ち、周辺の民家をのんびりと歩いていた。
けっこう子供がいるのか姿は見えないが楽しそうに騒ぐ声は聞こえる。
「木を使えばいいんじゃないっすか?」
「なるほど、子供がいるお宅周辺の木に聞いてみればいいか……。」
ニッパーの言葉にツマはふむふむと大きく頷いた。何か思わせぶりなのは探偵小説の影響だろう。
ツマには特殊な能力がある。ツマツヒメ神は木種の神であるが故、木々からYES、NOクエスチョンのみの答えを聞き出すことができるのだ。
「とりあえず、やってみるっす!」
ニッパーに促されツマは軽く頷くと近くにあった一軒家の植木に手を置いてみた。
「……この家では人形が消えたか?」
ツマの質問に植木はしばらく沈黙した後、
……YES。
と答えた。文字が直接頭に入って来る感じだ。
「では……隣の家の人形は消えたか?」
……YES。
「イエス……。と、いう事はこの民家と隣の民家は女の子がいることになる。」
「まあ、そうっすね。」
ツマの言葉にニッパーはうんうんと頷いた。
「それでこの民家も隣の民家も飾っていた人形が消えたと。……では、その人形は突然消えたのか?」
……NO。
ツマの質問に木々は即座に答えた。
「ノー?突然じゃない……。という事は……その人形は……盗まれたのか?」
……NO。
「ノーっすか……。盗まれてもいなくて突然消えたわけでもないって……なんなんすかね?」
ニッパーは気味悪そうに顔をしかめた。




