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始まりの朝
俺はあの日見た景色を決して忘れない。
忘れる事など出来るはずがない。
こんな事になるはずじゃ無かった。
何処で間違えた? 何処で、何処で、何処で……
一体何処で……
ふと眼が覚めるとそこはいつもの見慣れた部屋の景色だった。
ベッドから上半身だけを起こし、辺りを見回す。
「…………いつも通りだ」
酷く悪い夢を見ていた気がする。 内容は覚えて無いけど、汗だらけの体が覚えている。
「なんだってんだよ……」
彼、玄野 真がそう呟くと、それに呼応する様に声が聞こえた。
「兄さん? どうかしたんですか!?」
「ぎゃ……な、なんでもねえよ!」
いきなり聞こえた声に思わず驚いてしまった。