異世界と言う名の故郷
「異世界生活は楽しめましたか?それでは貴方には元の世界に戻ってもらいます」
俺はいつも通り布団に入った。と思いたい。周りは真っ白な神聖的な空間だった。
俺は引きこもりだった。産まれた時から親が居なかった。親が居ない。死んだとかも知らない。
居ないんだ。昔はその事について疑問に思う時もあったが、今では親が居なくて良かったと思っている。
成人前にここまで落ちこぼれになるとは自分でも思ってなかった。
そんな俺が布団に入っただけで何で女神に会えるんだよ!
「一応能力でもつけましょうかね」
目の前にはよくある女神の服装をした美しい女神が...ん?
「あ、能力は自由に選べるとか都合のよい事はないんで、こっちで勝手に決めますね」
え...ん?
「おぉ!貴方の能力は1分時間を戻せる程度の能力ですね。よくあるチート..まではいかないか..中途半端な能力ですね」
お,...え?ん?
「ちょっとなんか反応してくださいよ」
「あっ、えーと..ん?」
よくわからないが女神的な女性が「あっ!」と何かを思い出したようだ。
「そうか!忘れたん...ですか?」
俺に聞くなや。
「でも異世界に行きたいと言ってきたのは貴方の方です」
異世界?
あ、女神が呆れた顔になった。最後までしっかりキャラ保てよ。
「だから!貴方が『科学が発展した夢の様な異世界に行きたいなぁ』とか言ってきたから、記憶消して期間限定で赤ちゃんから異世界生活やらしてやったんでしょ!」
「いや、記憶消してんなら覚えてるわけねぇだろ」
どうやら俺は元々異世界の人でそこで死んで、この世界に記憶消して来たけど期間が終わったから元の異世界に戻る、と言う所らしい。
わからない。
「あんまり深く考えないで、早く元の世界に戻ってください。」
「元の世界ってどっちだよ、こんがらがってわからねぇよ」
わからねぇよ。
「あぁ、めんどくさいなぁ。何で転生の時記憶消したかなぁ。」
知るか!
とりあえずこの女神が説明が下手いと言う事は分かった。
「もっと分かりやすく説明してくんないか?」
「つまり貴方は今まで日本に転生してたの。記憶消したから、日本が元の世界だと思ってるかもしれないけど今から行く世界が貴方の故郷。わかった!?」
なるほどわからん。俺が馬鹿だからか?人を自虐的にさせるとはなんて女神だ!
「とりあえず貴方は、転生して異世界に行ける!やったぜ!って思っとけばいいのよ!」
「雑だなぁ」
と小声で言った。
「能力の説明は能力使いたいと思ったら使えるから。じゃあ速く行った行った!」
「え、ちょま...」
俺はとりあえず深く考えずに異世界やったぜ!と思うようにした。