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未熟者

夏のイベントで大活躍してくれたオカヤドカリ君たちは今日も元気だ。すっかり寒くなった今では保温球とパネルヒーターのダブル暖房も手伝って環境的には問題ない。きっと快適だと喜んでいるに違いないと思う。そんな彼らを眺めたりお世話するのは非常に楽しい。空の貝殻も引っ越し用にちりばめてある。成長するにつれ宿となる貝殻のサイズを大きくしていく。宿を借りるので、ヤドカリというらしい。最近、巷で言われる、持ち家持たずに賃貸で過ごすライフスタイルをヤドカリは昔から実践しているのだ。だからヤドカリから言わせれば「なにを今さら」と言われてしまうだろう。

 ある日、私はヤドカリたちを観察していた。その時ふと思った「なんでヤドカリに生まれてきたんだろう」それを思わず口に出したのを妻が聞いていた。そしてこう言われた「人に生まれなくてかわいそうと思うのは、人間の傲りである」と。ハッとしましたよ。常日頃、人間の傲慢さを嘆いている私が、自分の傲慢さに気付いていなかったことに。知らず知らず人間が一番いいと思い込んでいたことに。他の動物になったこともないのに。私は未熟者である。この部分の考察が出来ていなかった。「人間が一番いいのか」

 おそらく、他の生物はハナからそのような疑問など持たず、堂々とありのままの自分として生きている。

人間は、確かに知能は高いかもしれない。しかし、その分悩んだり、自分に自信が持てなかったり、他と比べたりしてしまう。案外余計なことを真剣に考えているのだ。つまり堂々とありのままの自分に自信が持てず、常に他人の目を気にして、他と比べてしょんぼりしてしまうのだ。そう考えてみると、案外「人間が一番いい」とは言えないかもしれない。というか、そもそも良いも悪いもないのだ。ヤドカリに生まれたら人間にはなれないし、人間だって犬にはなれない。それを考える時間さえ無駄ってもんだ。つまり、比較するってのは、それくらい意味もなく、無意味と言うものなのだ。他と比べず、堂々とありのままの自分として生きていく。それだけだ。

しかし、こんな考察をしている私自身も未熟者である。人が悩むことを平気でやってのける動物たちはやはり只者ではない!


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