18/23
【●●●side】
†missing†ソウシツ†
彼は、その場に座り込むようにして、素手で土を掘り返していた。
爪が割れて、血が滲む。
しかし、彼はその痛みに気付かない。
一心不乱に土を掘り返して行く。
桜の花弁が、はらはらと散る。
ネエ シッテル?
まるで、呪詛のように響く女の声。
彼は、ひたすら掘り続けて、
「……っ……」
手を止めた。
サクラ ガ
キレイ ナ ワケ
そこから覗くのは、ヒトだった肉塊。
あぁああぁああぁぁあぁぁぁあああぁ!!!!!
“居なくなった”
ではなく
最初から
“居なかった”
――ああ、そうだ――
彼女と出会えたのは
“奇跡”じゃない
俺の犯した
罪の“軌跡”