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第3話 相性占いと情報収集

 焚火を囲んで食事をしながら話をする。

 ちなみに食料はターヴィスがある程度持っていた。ついでに現地調達の仕方まで教わったくらいだ。本当に至れり尽くせりである。オレが男だと知り少し驚かれたけど……。

 でも、それは最初だけですぐ受け入れた様子で普通に話を続ける。


「なんか既に頼りっぱなしだね」

「ちょっと申し訳ないかも……」

「いえいえ、頼られて嬉しい限りです」


 心からそう思っているのが表情から伝わってきた。

 異世界の頼れるお兄さんを得られて安心する。旅慣れた雰囲気まであった。この世界の10歳って皆こうなのかな。どこかのゲームみたいに。

 何はともあれ、彼からいろいろなことが教われそうだ。非常に助かる。


「2人はどの程度まで知ってるのかな?」

「えっと……」


 オレが代表して説明した。整理する意味でゆっくり考えながら。

 ターヴィスは横やりを入れることなく静かに聞く。途中でどんなにまごついても、柔らかな表情で相槌を打ちながら待ってくれた。

 とはいっても、こちらが知り得ていることなんて僅かだ。全然知らないとも言える。


 話の途中で食べ終わったので一度中断して片づけをした。

 片づけ終わると「どこまで話したっけ」と続きを話す。でもこの頃には殆ど説明し終わっていて、彼による勉強会に引き継いだ。

 でも知りたいことは山とあるので質問形式にした。いっぺんには覚えられないからな。


「紋章の石ってどんな物なの?」

「少しは聞いてるんだったよね。まあ、そうだな。天高くで光り輝いてる石だよ。その光が降り注いでいると世界に平穏と繁栄がもたらされるんだ」

「子供にしか探せないって言われたけど、広い世界の中から一個の石を探すって大変だよね」

「うん。遠くまで行くの大変そう」


 石の正確な大きさは不明だが、世界中を探すとなると厳しい。

 途方もない探索活動を思い浮かべて気が滅入りそうになる。しかしターヴィスは低く唸った。


「遠くって言ってもなぁ。今の世界はだいぶ縮小してるから」

「縮小ってどういうこと?」

「言葉通り小さくなってるんだよ。闇の浸食のせいで端から崩壊が始まってる」


 今残っている場所なんてそんなにないんだ、と彼は言う。

 地図を広げて行ける場所を教えてくれた。すると殆ど王国の領土程度しか残っていないのが判明する。無事な所を線で繋ぐとひし形みたい。しかし行ける所が少ないと言っても、子供が歩くには十分過ぎるくらい広大な範囲だ。

 もしこの世界が地球くらい広かったのなら、今はまさに末期状態なのだろう。終末とでも言うのか?


「でも、これならまだなんとかなるかも」

「不幸中の幸いと言っていいのか疑問だけどね」


 しかし問題は紋章の石が世界諸とも消滅してないかってことだ。

 すぐにこの考えが思い浮かんで「やっぱり前言撤回」とつい独り言が零れてしまう。


「さて、勉強会は一度お開きにして占いする?」

「ごめん。忘れるところだったよ」

「お願いします」

「はいはい。ちょーっと待っててね」


 言いながらターヴィスが準備を始める。

 リュックの中から大きな水晶玉とカードの束を取り出す。更にオレ達が人間族だからと小袋を取り出した。袋の中には透明な丸い石がたくさん入っている。


「この石は何?」

源晶石(げんしょうせき)だよ。ちょっとしたサービスなんだけどね。人間族とか、一部の種族には占いの時に渡す物なんだ。終わった後だけど」

「なんかゲームで聞いたような名前の石だな」


 オレの発した言葉に彼は不思議そうに首を傾げた。

 気にしないでと伝えると再び作業に入る。水晶玉を三脚っぽい台座の上に置き、その左右に半円を描く感じでカードを3枚ずつ配置した。

 自分と向かい側に座る相手の前にカードを置かないようにしているのか?

 台座の下に小皿を置き、その上にあの透明な石を1つ取り出して置く。人が座る場所に布を敷き座るよう促した。


「まずオレからお願いするな」

「いいよ。さ、手を水晶の上にそっと置いて」


 言われた通りに手を水晶の上に置く。その上にターヴィスが手を重ねた。


「精霊の聲を聞き、今答える。汝へ指し示されし素の色は」


 ターヴィスの瞳の奥で光がチカチカと弾ける。

 化学反応でも起きているみたく水晶玉は輝き出し、左右のカードがふたりと浮かび上がった。くるくると回るカードは何かを待っているようだ。

 水晶玉の中は泡立ち幾つもの色の光が瞬く。やがて赤を示し、カードの1枚が動きを止める。絵柄は炎が描かれていた。他は今も回っている。


「カオルは炎の元素と相性がいいね。もうちょっとそのままで」

「うん。わかった」


 手を水晶の上に置いたまま待つ。

 その間、小皿の上の石が水晶の光を受けて赤く染まった。綺麗な赤の宝石になる。


「おお、コレ色変わるのか」

「はい、君専用の魔法石の完成。どうする?」

「どうするって何」

「あ、そっか。ごめん今説明するね」


 彼は石を手に取って示しながら解説を始めた。

 源晶石が変化したものを魔法石とも呼ぶんだって。この石は人間族を含めた一部の種族の人が、魔法を使う時に補助してくれる役割があるみたい。

 今回は真っ赤に染まったけど、人によって色や配色具合が違うようだ。


「それで加工はどうするかって話。魔法具屋に頼んで杖や装身具に嵌め込む人とかいるけど」

「でもそれってお金がいるよね?」

「もちろん。だけど僕達に任せてペンダントにする人もいるよ」


 ただし無料だけどペンダントにしかならないから、と彼は忠告する。

 好みでお任せするか個人で加工するか選ぶのか。オレはもちろんお任せにした。身に着けるだけなら別にこだわらないし。了解した彼は「明日までに作るね」と告げ次を促す。


「よろしくお願いします」


 今度は紡ちゃんの番だ。座って同じ手順で占いが進む。

 彼女の場合は白銀色の輝きに月の描かれたカードが止まった。


「ツムグは月の元素だね。魔法石はどうする?」

「お任せでお願いします」

「了解。じゃあ、合わせて明日までに作っとくね」


 軽い調子でいうから慣れているのがわかる。

 同時にまた一つ疑問が浮かんだ。このくらいなら聞いても大丈夫かな。


「もしかして妖精って珍しいの?」

「別に。ここ以外にも妖精の村あるし、旅してるのもいるから」

「へぇ、あーでも今は……難しそう?」

「皆占いしたかな。無事だといいけど……」

「占いは確かにね。あ、でも最近一人会ったよ」

「会ったって妖精の人ってことだよね」

「うん、黒くて若い男の人。他の村の人だったと思う」


 黒い妖精、スプリガン的なヤツかなと想像した。

 本当にどこまでもファンタジーな世界だ。向こうで聞いたような設定が遠慮なく出てくる。

 でもこの世界の妖精は必ず羽根がある感じじゃなさそうだしな。どんな感じだろう。羽根はあるのか、背丈は普通にあるのか。想像が膨らんで仕方ない。

 そういえば他の種族について聞いてなかった。いずれ聞いてみようかな。


「じゃあ今日はそろそろ寝よっか」

「わたしも眠い」


 紡ちゃんの言葉に頷く。直後に1つ気づいた。


「見張りとか、したほうがいいよね?」

「こっちには魔物がいるもんね。あと獣とか」


 どうしようと迷っているとターヴィスが得意げに微笑む。


「また僕の出番だね。本来は見張りするんだけど、こっちには頼もしい秘策があるのだぁ」

「自信満々だけど何するんだ」

「ふふんっ、これさ!」


 上着の内側から覗くウエストポーチから小袋を取り出す。

 なんか一瞬灯りを反射する何かが見えた。それはさておき、袋の中身に意識を向ける。

 ターヴィスは袋の中から種を取り出して見せた。そら豆くらいある大きな種だ。それを野営地を囲むように等間隔で蒔く。続いてポーチから綺麗なオカリナを取り出す。


(さっき光ってたのはこれか)

「オカリナを吹くの?」

「そうだよ。広範囲に魔法を使う時とか便利なんだ」


 よく見れば宝石が混じっているのかキラキラ輝いている。


「あれ、でも戦ってる時は使わなかったよね」

「まあね。君達がいたし、ちょっと慌てちゃってて」

「意外。すごく冷静に見えたよ」


 素直な感想を言うと彼は少し照れたように顔を綻ばせた。

 静かにと合図してオカリナを構える。演奏の体勢だ。一呼吸を置いてから厳かに音が鳴り響く。最初は緊張感が漂っていたけど、高く澄んだ音色は軽快で楽しい気持ちになった。


 ポコポコと芽が出て、蔦が伸び、円を描くように手を繋いで可愛い花を咲かせる。おしべやめしべの先っぽに鈴みたいなものがついていた。だけど風に揺れても音はならない。


「音、鳴らないね」

「こんなんで大丈夫なのか?」

「なんでもかんでも鳴ったら困るでしょ。獣や魔物が近づいたら鳴るんだ」

「便利な植物があるんもんだな」

「違うよ。これは改良したものだから」

「えっ……君って何者?」

「何者もなにも、旅好きな妖精さ♪」


 結構凄いことを言っているのに全然威張らなかった。

 思っていた以上にオレ達は頼もしい仲間を得たようだ。任せて大丈夫だという彼の言葉に甘え、いろいろとあり過ぎて疲れていたのもあり有難く休むことにする。

 テントの外でしばし作業をしている気配を感じながら眠りに落ちた。



      ♦  ♦  ♦  ♦  ♦  ♦



 翌朝、夢でないのを痛感しながら目が覚めた。

 半分ショックで、半分ワクワクしている。世の主人公は皆この感覚を味わっているのか。

 頬をつねって現実を実感した。テントを出て、食事を済ませ、片づけをして3人並んで歩き出す。

 片づけの時、周りを囲む植物を改めて見た紡ちゃんが「フェアリーリングみたい」と言っていた。出発前にペンダントを受け取る。


「何から始める」

「冒険の基本はまず情報収集!」

「ならここから東に少し行くと村があるから行ってみる?」

「もちろんっ」


 ゲーム参照の知識だけど自信はあった。RPGの勇者達にならって行動しようと思う。もちろん常識の範疇で、だけど。さすがに民家に押し入って物色なんてしないぞ。

 でも真似して行けそうなところはいこうと思う。オレは紡ちゃんを不安にさせないよう明るく振るえるよう気をつけた。胸が高鳴るような好奇心も手伝ってイケる気がする。


(数多の勇者達よ、オレに元気を分けてくれ!)


 なーんて、さすがに厨二っぽ過ぎたか?

 いくらなんでも口には出さなかったけど、ちょっぴり恥ずかしくなった。


「平気ヘイキ。慎重に行けば心配ないから」

「うん。気をつける」


 不安そうに見えたのかな。励まされてしまった。

 百面相してたのかと思うとまた恥ずかしくなる。今度は気づかれないようにしないと。

 精霊使いの森から東に進み、運よく魔物と遭遇せず、二日とちょっとで村にたどり着く。いったいどの辺が少しなんだろうと内心文句を言いつつ初めての新天地だ。序盤の序だけど妙な達成感がある。


 王都と変わらず人々の雰囲気は暗かった。でも既に子供の訪問者が来ている様子で、話しかければ優しく接してくれる。彼らにとっては救世主なんだ。


(責任重大ってようやく実感湧いてきた)


 深呼吸してから手がかりになりそうな情報を求め尋ねて歩く。


「紋章の石がありそうな場所について何か知りませんか」

「さあ、知らないね。賢者様なら知ってるかもしれないけど」


 まず近くで洗濯物を干していたおばさんと話す。


「賢者様がいるんだ」

「ああ。紋章の石を守護してるって話を聞くね」

「石の守護者かぁ。カッコいいな」

「その賢者様ってどんな方なんですか?」


 紡ちゃんが問いかけるとおばさんは残念そうに首を振った。会ったことがないらしい。

 でも賢者の存在が判明した。石の関係者なら何か知っているかも。というか十中八九知っている気がする。物語の展開的に考えれば。

 石の所在と合わせて賢者についても聞いて回った。でも所在を知っている人は見つからない。


「ああでも、賢者様は虹のように綺麗な瞳をしてるらしいよ」

「本当ですか!?」

「真偽は保証できないけど私も聞いたことあるわ」


 横から入ってきた人も頷いて答える。

 虹色の瞳って凄い印象に残りそうだな。他に特徴はないんだろうか。

 でも残念ながら他の特徴までは情報を得られなかった。石のほうも検討すらつかないらしい。ただ最近奇妙なことが起きている場所の噂は聞けた。


「えっと確認していいですか」

「構わないよ」


 情報の提供者は若い男性だ。お兄さんって呼べる感じの。

 畑仕事をしていた途中だから服や手袋が土で汚れている。右手には農具を持っていた。


「奇妙なことが起きてるのは山なんですよね」

「ああ。北東に行った山だ。魔物が出るだけなら良かったんだが、最近亡霊騒ぎが相次いでね。呻き声がするだのなんだのって」

「ぼ、亡霊……」


 紡ちゃんが身震いする。オバケ、苦手なのかな。

 心配に思いつつも話の続きを聞く。


「更には宝が隠されたとかいう噂まで立って盗賊が出る始末さ」

「盗賊まで。宝っていうのもゲームっぽいや」

「ゲーム? まあ盗賊のほうは騎士様がどうにかするだろ。君達は行かない方がいい」

「えっ、騎士が山に行ったの?」

「そうなんだよ。いやぁ、あまり見ない面子だったなぁ」


 男性の話では子連れだったとか。そりゃ覚えられるよな。

 でも本当だとすると、クラスメイトの誰かが騎士を連れ歩いていることになるぞ。そんな強者いったいどこの誰だよ。凄過ぎる。よく仲間にできたなと感心してしまう。


 とにかく山に行ってみるのはアリかもしれない。危険に足を突っ込むようで嫌だけど、宝が石と関係のある物の可能性はゼロじゃないから。石そのものだともっと嬉しいけどね。

 オレ達は男性にお礼を言ってその場を離れる。道端に集まって相談した。


「あのさ。危険なのは承知で言うんだけど……」

「山に行くんだよね」

「うん。わかっちゃった?」

「話を聞いていたらなんとなく。宝物が気になるのわかるし」

「こんな近くに石があるとは思えないけど、行きたくなるよね」


 宝と聞くと夢を見ちゃうし、行くなと言われると逆に好奇心が湧く。

 ターヴィスが言う心境になんなく同意してしまった。気持ちはよくわかる。男のロマンだ、とまでは言わないけど宝探しとか憧れるよな。後騎士を連れた子供も気になる。

 でも危険だとわかっている場所に行く以上は準備が必要だ。なので、とりあえず魔法について教わることにした。紡ちゃんは特に気合いが入っているように見える。


「月の元素って治癒魔法が使えるって聞いたよ」


 意気込んで言う彼女にターヴィスは「町の人に聞いたんだね」と頷く。


「それだけじゃない。月の元素使いは浄化や援護でとても優秀なんだ」

「浄化って闇を払えるの?」

「うーん、ちょっと違う。解毒とか精神を落ち着けたりってトコかな。でも魔物の中には月の元素を嫌がるのがいて、武器に纏わせて殴るだけでも強いよ」

「はいはい。炎は? やっぱり攻撃特化?」


 オレは元気よく挙手して質問した。ここでも生徒だ。


「概ね当り。でも何事も応用は可能だよ。日常でも炎はよく使うでしょ」

「確かにな。焚火の点火とか便利そう」

「でも炎は攻撃力がかなり強いから扱いには気をつけて」


 加減を間違えて森を燃やさないように、ときつく忠告される。

 言われてみればゲームの魔法使いってよく町や仲間を燃やさず戦えるよな。感心するぜ。

 自分自身がサイコパスにならないよう気をつけないと。でも加減ってどうやるんだ。摘みをひねるみたいな感じかな。そもそも魔法の摘みって……。


(ああっ、想像できねぇ)


 魔法の摘みってなんだよ。触れないものをどうやって操作するんだ?

 早くもオレは難関にぶち当たった。衝動に任せて髪を手でわしゃわしゃと掻き回す。


「なんか混乱してるみたい」

「みたいだね。ちょっと、順を追って説明するから。ねっ」

「ごめん。勝手に空回った」

「最初は皆そうだから気にしないで」


 優しく言われほっとする。妖精にとって魔法は得意分野らしく丁寧に教えてくれた。

 やっぱりこの世界の魔法もイメージは大事みたいだ。というのも精霊の力を借りるから、イメージが不十分だと曖昧な説明をされた感じに困ってしまうらしい。

 人間は特に精霊の力に魔法の大部分を支えられているから尚更だという。石は伝達や元素を集めるのに役立つ。それを聞いてオレはスマホみたいな物かと思った。


「後は心を込めて祈ること。これが一番大事」

「そうなの?」

「もちろん。魔法の力って感情にだいぶ左右されるからね」

「じゃあ焦って使ったら大爆発もあり得るのか」

「ん~その場合、不発に終わるかな。精霊をただ困らせただけって感じ」

「あはは……精霊からしたら迷惑」


 意外とその状況が想像できてしまい肝に銘じる。

 気持ちとイメージが大事、大事っと。後は説明ってどうするのかだな。言葉で伝えるのか、と聞く。

 すると彼は人に寄るかなと答えた。言葉で伝えるのも十分有効で、祈りの中に込めるだとか、絵や図で表現するとか、音に乗せて伝えるとかいろいろ。


 それから数日間、みっちり基礎を教えて貰った。

 修行中にふと気になったこともある。聞き忘れていたと言うのが正しいか。


「そういえばターヴィスの元素相性はどれ?」


 植物ってどの元素なのかと聞いてみたのだ。すると――。


「僕は水と地、あと僅かに太陽。植物は水と地の元素の合わせ業なんだよ。太陽は急成長させたりする時とかに使ってる」

「まさかの複数属性!? 身近にとんでもないヤツいたー!!」

「ぞくせいって君達の世界ではそう呼ぶの? おもしろいね」

「うわ~しかも何気ない感じだ。こっちじゃ複数って普通なの?」

「いや、そうでもないよ。大体の人は一つの場合が多いね」

「じゃあ三つは凄いんだね。しかも同時に使えちゃうなんて……」

「三つって言ってもねぇ。太陽は補助的に使うのがやっとで攻撃なんてとても」

「太陽の元素は攻撃力あるんだ。月はないのに」


 話を聞く限りだと月はサポート特化みたいだった。回復専門の法師みたいな感じ。

 オレが思ったことを口に出すと、彼は頷いてもう少し細かく教えてくれた。端的な感想を述べれば光の魔法って感じだ。光線が出せたりと結構強そう。アンデットら辺に効果抜群そうだな。

 こんな感じで時が過ぎ、出発の時がやってくる。


「まだ不安だな」


 現状だと少し炎が出せる程度で頼りない。

 急ごしらえにしては優秀だと言われたけど不安には変わりなかった。使えないよりはマシだけど。


「けど時間をかけすぎると賊に宝をとられちゃうよ」

「先達の勇者が入手したのを期待したい」

「うん。でも行くんだよね?」

「もちろん。怖いけど、やってみたい」


 未だ宝探しへの期待と興奮は冷めていない。

 これぞ冒険ってことを何かやって帰りたいと思うのはオレだけかな。ううん、きっと違う筈だ。

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