お姫様?。王女様?。
廊下を、歩いていると、何やら気配を、感じて、後ろを、振り向く。
すると、沢山の取り巻き達を、引きつれた。
イングリット王女様が、私に向って、歩いて来ていた。
私はと言えば、驚くようでも無く、恐れるようでも無い。
だからと言って、敬服する仕草を、取るわけでもない。
今日こそが、イングリット王女様との、初対面なのだから、本来なら、その姿すら知らないのだ。
「あなたが、イリム・セルファーさんかしら」
そのような誰何に、私は、軽く握りった手を、口元に当てて、小首を、傾けて、意地悪そうに、微笑んで、見下すような視線を、送った。
「はい、そうですが、あなた様は、どちら様でしょうか」
知らないと言う事、自体が、失礼なのだが、設定上、知らないのだから、しょうがない。
私の、反応に、少しムッとしたようだが、そんな事は、気にしない。
その様子を、察した取り巻きの、一人が言う。
「あなた、失礼よ。こちらは、イングリット王女様に、在らせられるお方なのよ。その態度は、何なの」
最初から、こちらを、見下した、態度。
まあ、人の事は、言えないのだけど。
「まあ、そうでしたのね。ふーん、あなた様が、イングリット王女様で、在られたのですね」
微妙に、失礼な言い回しで、まるで、物珍しい物でも見るような視線のまま、品定めを、するように、王女様の、回りを、一周する。
ある意味、あまりにも、失礼な態度に、全員が、呆れて、物も言えなかった。
「あなた、何を、しているの」
取り巻きの、一人が、私を、たしなめる。
「あら、私、何か、したのですか」
でも、確かに、失礼なことしてるよね。
「分とを、わきまえる言いう事を、知らないの」
「あらあら、私ったら、何か、無作法な事を、してしまったのですか」
「そうよ」
「それは、大変、失礼いたしました。わたくし、田舎者ゆえに、その様な作法には、かなり疎いのです。申し訳ありませんでした」
一応、謝っては、見たものの、相変わらず見下すような、上から目線は、保ったままだった。
「あなたね、・・・」
取り巻きが、私を、叱責しようとした瞬間を、遮るように、言葉を、発した。
「ところで、王女様。御髪に、枝毛が、ひとつ、混じっていましてよ」
そりゃ、枝毛の一つぐらいあるだろう。
でも、イングリット王女様は、非常に、動揺したようで、表情に、それが出ていた。
その隙に、私は、逃げ出すことにした。
「それでは、失礼いたします。わたくしめの様な、粗忽者は、早々に、退散したいと思ういます。では」
少しの動揺に、付け込んで、私は、退散した。
今は、これでいい。
後は、次の事を考えればいい。