宵で思考さえ奪って
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛です。R15です。
苦手な方はご注意下さい。
玄関の扉を開けると、女が座り込んでいた。頭上を跨る黒のヘッドホン、両手で肘を着いたまま、上目遣いに此方を見詰めてくる。手を伸ばし、髪に触れようとしたら、女はヘッドホンを首元までずらし、そのまま手ごと包んで頬擦りした。
「風邪引くぞ」
「引かないよ。もう熱いから」
確かに。頬は焼き餅のように熱を持っていた。思ったのも束の間、突然立ち上がり、ぐっと顔を近付けて来た。睫毛が触れ合いそうな距離感。甘ったるいカクテルの匂い。どうやら俺が居ない間に何本か空けたらしい。
「呑まれる程……」
苦言を呈し終わる前に唇を奪われた。アルコールで高められた体温を移すように、舌を差し入れ、何かを口腔に捩じ込んだ。丸こくて固いもの。キスに気を取られて遅れたが、どうやら飴のようだ。口移しで満足したのか、密着していた体が離れて行く。
「お酒呑んでたらね。この曲が聞きたくなったの。飴ちゃん食べたくなったの。熱くなったから、玄関に来たの。早く帰って来ないかなって」
なんの脈絡もない言葉の羅列。薄幸そうな顔に朱が帯びて、とろりと瞳孔が蕩ける。それが最後だった。電池が切れた様にその場で蹲り、微かな寝息を立て始めた。
何時から呑んで居たのかは分からない。けれども酔いながらもこうして俺の帰りを待っていた事に堪らない興奮を覚える。首筋を手の甲で体温を計ると更に熱を上げて、爛れるほどに熱かった。このまま布団の中に連れ込みたくなる程。
邪な思いを打ち消す様に頬を叩くと、女の体を抱え込んでリビングへ。ソファに降ろして、毛布を掛けてやる。首周りのヘッドホンを抜きると、重そうな瞼が持ち上がる。
「それ……」
「?」
「今の私の気分なの」
女は俺からヘッドホンを受け取ると、よろめきながら頭上にすっぽりと被せる。後は役目は終えたと言うように、また瞼を閉ざす。流れ込むのは揺らぐテクノと、ポコポコした音の羅列。艶のある男声に乗った歌詞は、蠱惑的な夜を誘う。
「襲うぞ」
「余計な事を言う前に、黙らせて欲しいな……」
双眸は蕩けていた。
223.3.31追記
深夜テンションなので、相変わらずアタオカな作者です。
たまたま、動画漁っていたら、名曲発掘しました。
影響は受けてますが、特定はほぼ不可能です!!
飴ちゃん食べさせたのは、最初のイントロがぽこぽこしていたから。なんとも飴ちゃん感があったから。
酔ったら何時もの二倍ほど甘えん坊になって欲しい。
猫にマタタビ与えるノリで。
そしてそれに身を任せて、行動が明確化されてました。
ベッタベタな歌詞を聞かせてます。
んな歌詞流されたらねー。
帰ってからの一連の動作からねー。
全てぽいですよ、ぽい。理性など要らぬ。
熱いからと言って、靴下脱いで欲しい。
勿論、気心知れた人の前だけで。(彼氏とか友人の前)
そのままもつれ込んで欲しい。