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第三話 ステータスって何?

「ダンジョン探索お疲れ様でした。こちら報酬でございます。」


 洞窟ダンジョンから帰還した俺、リーリア、エリザ、ノースの四人はギルドで収集品の納品と報酬の受け取りを行っていた。

 今回は呪詛のお試しがてら、事前にオークの牙十本の納品依頼を受けていた。

 報酬は銀貨十六枚とそこそこだ。宿に一泊するのに銀貨一枚ほどなので、冒険者としてもこのレベルを狩れるようになると余裕が出てくる。


「レベル20のダンジョンでしたが、皆さんは武器も持たずに素手で戦われているんですか?」


 ギルドの受付嬢が俺たちを眺めながら問いかける。

 俺たちは目を見合わせて誇らしく笑みを浮かべた。


「ああ、俺たちは拳法家パーティだからな。この体一つで勝負してる。それが誇りなんだ」


 流派は違えど心は同じ。剣や弓で戦うこの世界で、己の肉体と技を磨き上げることで敵に打ち勝つ。

 それこそが武器に頼らない、どんな状況にも依存しない強さであると考えているのだ。


「それは心意気としては素晴らしいと思いますけど、なんだか縛りプレイしているようにも見えるんですよね」


「ふがふふがふ?(縛りプレイ?)」


 用済みになった口枷をなぜか装着しているノースが珍しく目を輝かせている。その理由を俺は知らない。


「だってほかの冒険者は武器によるステータスの底上げや武器固有のスキルを使って戦っているわけですし、そこを素手だけで戦うというのは猛者過ぎると言いますか……」


 はて? 武器は武器であって熟練すれば有効な場面も多いだろうが、身体能力を底上げするわけではないし、いったい何を言っているのだろうか。


「正直なところ、武器を使わないにいしても何か短刀みたいな小さな武器を装備しておくだけでも、ステータスの上昇でもうワンランクツーランク上のダンジョンに行けると思うのですが」


 4人の頭の上には等しくはてなマークが浮かんでいる。


「あの、すみません、そもそもステータスってなんなんでしょうか……」


 リーリエがおそるおそる問い尋ねる。

 受付嬢はまさに信じられないという表情で口を半開きにしながら俺たちを見回している。


「えっ……まさかあなたたち、ステータスを開いたことが、無い?」


「ステータスって強さの事で、開くとか開かないとかじゃないだろ」


 エリザが半分苛立ちながら答える。


「もしかして自分たちのレベルもご存じない?」


「レベルなら、ダンジョンの推奨レベル値で大体把握してる。今の私たちは20半ばぐらいのはず」


 ノースも少しムッとしながら受付嬢を上目でにらみつけた。

 口をパクパクさせながら受付嬢はしばし時が止まったかのように目を白黒させたのちに、おもむろに俺たちの手を取った。


「いいですか!? ステータスっていうのはこうやって開くんです! 何処の山奥で育ってきたのかは知らないですが、これ常識ですからね!? いきますよ? ステータスオープン!」


 受付嬢が叫ぶと、みんなの前にそれぞれ透明がかった光のパネルが浮かび上がり、それぞれの値を示した。


名称:トウゴウ

レベル:62

職業:無職

体力:120

筋力:20

耐久:18

知力:12

敏捷:16

運:5

ステータスポイント:789

スキル:死霊術Lv1


名称:リーリア

レベル:58

職業:無職

体力:109

筋力:17

耐久:20

知力:22

敏捷:14

運:6

ステータスポイント:740

スキル:なし


名称:エリザ

レベル:56

職業:無職

体力:140

筋力:21

耐久:19

知力:10

敏捷:10

運:5

ステータスポイント:722

スキル:なし


名称:ノース

レベル:56

職業:無職

体力:98

筋力:12

耐久:29

知力:16

敏捷:18

運:8

ステータスポイント:724

スキル:なし


「な、なんじゃこりゃあ!」


「すごい、数字になって強さが表示されてる!」


「おー! これはおもしろいな! うんうん、体力には自信あるからな」


「レベル、案外高かった」


 表示された数字を見ながら、私の方が知力は高いでしょーとか、運って何なんだろうねなんて話をしているその裏で、受付嬢は身を震わせていた。


「あれ、受付さんどうしました?」


「どうもこうもないですよ……」


 プルプルと震わせていた体から噴火するかのように受付嬢は叫んだ。


「あんたらバカじゃないんですか!? 初期値初期値それ! レベル上がってもステータス割り振らないと能力上がらないんですよ! だからみてくださいステータスポイント700いくつって、それその分だけ無駄に貯金してるってことですからね!? っていうかやば過ぎですあなたたち! つまり実質レベル1でレベル20のダンジョンでオーク狩ってたってことですからね!? どんな身体能力してるんですか!?」


 自覚はなかったがうるさいってこういうことを言うんだな。仲間たちには迷惑をかけてきたことを改めて謝りたい。

 受付嬢はまだまだ収まらない。


「んでもって無職! 無職て! 俺たち拳法家ですから、みたいに言ってましたけど正式に職を得ないと無職のままですから! 今すぐにでも契約していってくださいね! それだけでステータスも変わるんですから!」


 あれ達は唖然としながらも事の重大性に段々焦りを覚え、ステータスの見方からポイントの割り振り方、職の変更の仕方とスキルの覚え方をメモしていくのだった。


お読みくださりありがとうございます!

ブックマークや、広告の下にある★星を頂けますと

恐らくあなた様がお考えの以上に歓び、そして今後の執筆の励みになります。

今後とも是非よろしくお願いします

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