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ナンパした娘は今年からJKでした。-弱みを握られたので言うことを何でも聞きます-

作者: 高田アスモ

 カーテンの隙間から朝日が差し込む豪華な部屋の中で、青年天王寺(てんのうじ)春馬(はるま)はベットから起き上がった体勢のまま頭を抱えていた。


「あああ……どうしよう。俺は取り返しのつかないことをしてしまった……」


 春馬の横には銀髪の美女が首から下を隠すように布団を被りながら、心配そうに春馬の顔を下から覗き込んでいた。二人が横になっていたベットは水気で湿っており、また白いシーツには赤い斑点が滲んでいた。それは銀髪の美女の純血が喪われた証であった。


「ハルマ、そんなに気に病むことはありませんよ。ただ……この事を秘密にしてほしかったらワタシのオネガイを聞いてくれますよね?」


 銀髪の美女、アナスタシア・チェルノワは春馬を元気づけるように言うが、最後の質問にはノーとは言わせない迫力があった。そして春馬はアナスタシアが握った秘密を公開されれば、社会的に死んでしまうことは確定的であった。故に春馬はアナスタシアのお願いを問答無用で聞くしか無かった。

 二人が寝ているベットの横にはアナスタシアの鞄が置かれており、その中には化粧品や財布等が入っていたが春馬にとって最も重要であったのは、アナスタシアのスマホケースに入っていたICカード状の学生証だった。学生証には吉田大学高等部一年生と刻まれており、今年の四月より有効と記載されていた。


(どうしてこうなった……?)


 春馬は現状から現実逃避するように、なぜこうなったのか昨日の事を最初から思い出していくのであった。




 桜が舞い散る三月の季節、今年で二十歳を迎える春馬は白のワイシャツに黒のスラックスで身だしなみを軽く整えると、無心で都心をぶらついていた。

 春馬が都心を歩いている理由は程よい暖かさの春の陽気に誘われ、そして何か新たな出会いがないかと宛もなく歩き回っていた。

 そうして都心を歩いていると春馬の視界に一人の女性が目に入る。その女性は上半身は薄いセーターを着て体のラインを浮き彫りにさせ、下半身はホットパンツの下とサイハイブーツの上から覗かせる魅惑的な生足を見せ、美しい銀色の髪を肩に届かない程度に伸ばし、サファイアを思わせる青い目をした身長百六十センチ程の北欧系の人物であった。

 そんな人目を引く春馬と同い年程度の美人を見た春馬の視線は、無意識に彼女の後ろ姿に惹きつけられてしまう。そして春の陽気に酔ってしまった春馬はフラフラと女性に近づいていき、そのまま話しかけてしまう。


「あのすいません……今良いですか?」

「Ах、ワタシですか?」


 いきなり春馬に話しかけられた女性はサファイアカラーの目をパチクリとさせる。そして女性はロシア語を一言つぶやくと拙い日本語で返事するのであった。

 女性の声を聞いた春馬はまるで鈴のような声だなと思いながらも、笑顔で話しかけた要件を伝えるのであった。


「あの……いきなりなんですけど俺と食事に行きませんか?」


 まるでナンパの常套句だなと思いながらも春馬は、カミカミでなおかつ上づりながらキザなセリフをした自分に、恥ずかしくなり死にたくなる春馬であった。

 そんな春馬の誘いを聞いた女性は驚いたようにサファイアカラーの目をひときわ大きく開き、すぐに母性を感じさせるような微笑み見せると。拙い日本語で、「えっと……よろしく、オネガイしますね」と笑顔で春馬に向かって右手を差し伸べる。自分の誘いを受けてくれた事に春馬は喜び、差し出された彼女の手を両手で握り占めるのであった。


「はい! 頑張ってエスコートします!」

「アー名前を教えてくれますか?」

「あ、俺の名前は天王寺春馬っていいます」


 女性がゆっくりとした日本語で名前を聞くと、春馬は彼女に聞きやすいようにゆっくりと自分の名前を話すのであった。


「ハルマ、ハルマ。いい名前ですね。私の名前はアナスタシア・チェルノワといいます。今後ともヨロシク?」


 自分の名前を名乗ったアナスタシアは、これから二人が出歩く時に使う日本語が合っているのか分からずコテンと頭を傾げる。そんな彼女のさりげない動作でさえ、春馬の心は容易く奪われてしまうのであった。

 アナスタシアは春馬の手を繋ぐと、そのまま春馬の案内に従って歩いていくのであった。




 十五分程歩いた末に春馬がアナスタシアを連れて辿り着いたのは、小綺麗なイタリアンのレストランであった。レストランは混雑もせず閑古鳥が鳴かない程度に客がいた。

 春馬は店の中に入って手で二名だと店員に伝えると、すぐに空いている席に案内される。席は二人用の席で対面して座る席であった。

 そのまま春馬とアナスタシアは席に座ると、机に置かれていたメニュー表を開く。春馬は軽くメニュー表を見てすぐに注文する料理を決めた。だが、アナスタシアはメニュー表に書かれた料理が分からないのか、悩んだ様子であった。


「大丈夫ですか、アナスタシアさん?」

「ええっとハルマ、ワタシここに書かれた料理が分からないので決めてくれませんか?」


 アナスタシアから注文する料理を決めることを頼まれた春馬は、悩みながらメニュー表とにらめっこする。そして一つの料理に目が留まるのであった。


「アナスタシアさんは辛いの大丈夫?」

「はい。わさびや唐辛子なら食べれます」


 それを聞いて安心した春馬は、店員を呼んで注文を伝えようとする。すぐに店員は二人の席に近づくと注文を聞いてくるのだった。


「えっと……パエリア一つとプッタネスカ一つ。アナスタシアさん飲み物はどうします?」

「あーワタシはウーロン茶で」

「じゃあウーロン茶二つでお願いします」


 注文を聞いた店員はそのまま復唱すると厨房へと消えていくのであった。

 注文を終えた春馬は緊張の糸が解けた様子で、机に置かれた水を手に取ると少量口に含む。そうしているとアナスタシアが興味深そうに春馬に話しかける。


「ハルマ、プッタネスカとはどういう料理なんですか?」


「えーと日本語風にいうと娼婦風スパゲティーっていう名前の料理でアンチョビやオリーブ、ケッパーや唐辛子を混ぜたパスタです。それで名前の由来は諸説あるんですけど俺は娼婦は昼食時にも忙しく、海のものも畑のものもごった混ぜにしてパスタと和えて食べた。っていう説が好きですね」


 春馬は記憶の中にあったプッタネスカについての説明を、緊張しつつもうんちくを交えながらアナスタシアに説明するのであった。


「オー、ハルマは博識ですね。ワタシはあまり料理を知らないです。自炊する時もネットで調べて真似をするレベルですから」

「まあ俺も料理の知識だけなんで、実際に作るとなると簡単なものしか作れないですよ」

「それでもこうやってスラスラ説明できるのは、ワタシ尊敬できます」


 微笑みながら春馬を褒めるアナスタシア。そんな彼女の言葉を聞いて春馬は恥ずかしくて頬を指で掻くのだった。

 そのまま注文した料理が来るまで、春馬とアナスタシアは他愛もない話をする。まず話を始めたのはアナスタシアであった。


「ワタシ、ロシア人の父と日本人のハーフで小学生まではロシアに、少し前までは小樽に住んでいたんですが、つい先日一人で大阪に引っ越してきました。大阪は小樽と違って高い建物も多くて、人も多いですね」

「あー北の方から来たのなら大阪の高層ビルの集団とか珍しいかもしれませんね」

「それもそうですが、友達から大阪は雪があまり降らないと聞いて、それに驚きました」

「確かにこっち(大阪)は雪が降るのは珍しいですし積もるなんて滅多に無いですよ」


 大阪に長年住んでいる春馬の言葉を聞いたアナスタシアは、信じられないような表情をして両手で口を隠すのであった。長年北国に住んでいたアナスタシアからすれば、雪が降るのが珍しいというだけでも驚きなのに、雪が積もらないなんて雪国に住んでいた彼女からするとカルチャーショックであった。

 そのまま二人は別の話をしようとすると店員がパエリアとプッタネスカ、そしてウーロン茶を二つ持ってきて机に置く。

 それを見た春馬とアナスタシアは話を一旦切り上げるとパエリアを春馬の前に、プッタネスカをアナスタシアの前に置き、そしてウーロン茶を一つずつ二人の前に置くのだった。


「それじゃあいただきます」

「Приятного аппетита。あーいただきます」


 そうして二人は手を合わせると遅めの昼食を食べ始める。春馬はタコやイカ、エビが乗ったパエリアをスプーンで掬うとそのまま口に入れる。するとパエリアのパラパラとした米、そして新鮮な魚介類の味が春馬の口の中に広がっていくのであった。

 出されたパエリアの味に満足した春馬はすぐに口の中にあったパエリアを食べきると、再びスプーンでパエリアを掬うのであった。

 パエリアを食べている春馬の向かい側では、初めて見たプッタネスカを観察するアナスタシアの姿があった。時にオリーブの実が乗ったプッタネスカの全体を見たり、フォークでプッタネスカに使われている具材を興味深そうに見ていたアナスタシアだったが、数十秒程観察した後にプッタネスカを一口食べるのであった。

 最初にアナスタシアの口の中に走ったのは唐辛子やケッパーの辛味であった。強い辛味に驚くアナスタシアであったが、すぐにウーロン茶を一口含んで飲み干すと、プッタネスカの味が分かるようになっていく。

 唐辛子等の刺激に最初は驚いたアナスタシアであったが、徐々にその味に美味しさが分かっていく。プッタネスカを食べれば食べるほど、彼女の体温は上がっていき食欲を促していく。

 黙々とプッタネスカを食べている内にアナスタシアは、春馬が食べているパエリアに目が入りプッタネスカで促された食欲の結果、彼女は食べたそうな視線をパエリアに送ってしまう。

 ジッと送られる視線に気づいた春馬はパエリアを食べる手を止めて顔を上げると、物欲しそうなアナスタシアの顔を見てしまう。

 仕方なく春馬は机の上に置かれていた新品のスプーンを手に取ると、そのままパエリアを掬いスプーンをアナスタシアに向けるのであった。


「あーん」


 パエリアの乗ったスプーンを向けられたアナスタシアはスプーンに近づくと、そのまま口を開けてパクリとパエリアを一口で食べてしまう。

 スプーンいっぱいに載せられたパエリアをアナスタシアが一口で食べるのを見た春馬は、このまま自分のパエリアが全部食べられてしまうのではないかと危惧してしまった。しかし返って来たのはフォークに絡め取られたプッタネスカであった。


「このパエリア海鮮の味が効いていて美味しいですね。はいハルマ、ワタシのプッタネスカをどーぞ」

 口に含んだパエリアを味わいつつも、アナスタシアはフォークでプッタネスカを絡めると春馬にフォークを近づける。

 理解が追いつかない春馬はポカンと口を開けてしまうが、それを見たアナスタシアは催促するようにフォークを春馬に近づけた。


「あーんですハルマ」

「あ、あーん」


 そのまま口にプッタネスカを入れられた春馬はモグモグと味を噛みしめる。最初に口の中に広がったのは唐辛子等の辛味であったが、すぐにそれが味のスパイスとなってアンチョビの味を引き立てていく。

 そして口の中にあったプッタネスカを全て食べきった後に春馬は気づいてしまう。アナスタシアが春馬にプッタネスカを食べさせたフォークは、先程まで彼女が使っていたものだということに。


(これは実質間接キスなのでは!?)

(ハルマ、プッタネスカが辛くて顔が真っ赤になっています。まあ……言わないであげましょう)


 アナスタシアと間接キスをしたことに気づいた春馬は無意識に顔を赤くしていく。しかしアナスタシアは赤くなっていく春馬の顔を見て、プッタネスカを食べたせいで辛くて顔が赤くなっているのだろうと思ってしまう。

 二人の間に気まずい雰囲気が流れていく。だがそうしている内に二人はパエリアとプッタネスカを食べきってしまう。


「えっと……ごちそうさまでした」

「Спасибо за еду。ごちそうさまでした」


 食べ終わった二人は席を立つとレジに向かう。アナスタシアは持っている鞄から財布を取り出そうとするが、それを静止するように春馬が手を出して先に現金を払った。


「あー良いのですかハルマ?」

「これぐらい奢らせてください。この値段ならあんまり懐も痛くないんで」


 事実二人分の注文した料理の合計を合わせても、二千円前後であったために春馬の懐はそれほど痛むことはなかった。

 奢られて最初は不機嫌そうな表情をしていたアナスタシアであったが、春馬の言葉を聞いて仕方ないと言わんばかりの表情で納得した。

 会計を済ませた春馬とアナスタシアは店を出ると、そのまま腕を組んで真昼の太陽の光が降り注ぐ外を歩き始める。その道はあてのないものであったが二人共楽しげであった。



 二人があてもなく歩いて数分後、アナスタシアはある物を見つけると興奮した様子で早足で歩き出す。彼女が見つけたのは映画館に設置された映画のポスターであった。


「この映画ここの映画館で上映しているんですね! 家の近くの映画館では上映していないのですが、ハルマ見に行きましょう!」


 興奮した様子でアナスタシアは春馬の右腕を掴むと、映画館に向かってズルズルと引っ張っていく。

 アナスタシアが興味を持った映画のポスターを見た春馬はその映画について知識は無かったが、興奮したアナスタシアがまるで年下のように可愛らしかったので、つい映画館に足を伸ばしてしまうのであった。


「Будьте добры。すいません三番スクリーンでやっている映画のチケット大人二枚でください」

「あ、はい。少々お待ち下さい。今空いている席はこちらになっております」


 受付の人はアナスタシアのいきなりのロシア語に戸惑ってしまうが、すぐに受付の仕事に切り替える。受付がアナスタシアの見たい映画の空いている席を表示すると、アナスタシアは隣同士で座れる席かつ、中央寄りの席を探す。そして良い席を見つけたアナスタシアはそこを指差す。


「ここの隣り合う二席、座れますか?」

「はい、座れますよ。料金は二千四百円になります」


 受付から料金を聞いた春馬は財布からお金を出そうとするが、アナスタシアがストップと手でジェスチャーして止められる。


「ハルマ、この映画はワタシが見たい映画です。ワタシのワガママで見るのだからワタシに払わせてください」

「……じゃあここの料金は折半しようか」

「折半?」

「料金を二人で半分にするんだよ」

「ハイ! それならOKです!」


 春馬の提案を聞いたアナスタシアは、それなら良いですと言わんばかりに柔らかな微笑みを見せる。嬉しそうなアナスタシアのその頬笑みは春馬の記憶に深く刻まれるほどに衝撃的であった。

 そうして春馬達二人は二千四百円を払うと、指定した席のが記載されたチケットを二枚受け取ると、そのまま受付横の売店に並んで飲み物を購入しようとする。


「ハルマ何を買います?」

「ん……ウーロン茶のLサイズだけでいいかな。ポップコーンは食べる音がうるさいし、臭いで映画に集中出来ないかもしれないから」

「それもそうですね、じゃあLサイズのウーロン茶二つください!」


 春馬の意見を聞いたアナスタシアは同意すると、ウーロン茶を二つ注文するとそのまま代金をちょうど支払う。そしてウーロン茶の一つを春馬に渡すと、もう一つのウーロン茶を片手に春馬と手を組んで劇場にむかうのであった。

 劇場内に入る前に二人はスタッフに映画のチケットを手渡すと、チケットの半券を返却される。そうして春馬とアナスタシアの二人は劇場内に入っていく。

 劇場内の通路を歩いていくと、左右に一番スクリーン、二番スクリーンと表示された電光掲示板が見えるが、春馬達が見る映画が上映されるスクリーンではないのでそのまま奥に進んでいく。

 そして春馬達が奥へ奥へと進んでいき、チケットに記載された九番スクリーンの前に到達するのであった。


「ここですねハルマ」

「九番スクリーンで、上映タイトルもチケットと同じ此処だね」


 上映される映画とチケットの映画のタイトルを確認した春馬とアナスタシアは九番スクリーンの中に入って行く。中はまだ照明がついていて明るく、スクリーン内に存在する小さな段差に足を取られることはなく歩いていく。

 そのまま春馬とアナスタシアは取った席を目指して、スクリーン内を歩いていき一つ一つ席の番号を確認していく。そして一分程で二人が確保した席を見つけることができた。


「ハルマ、ここですよ」


 アナスタシアは自分の持っているチケットに書かれた席に座ると、その隣の席をポンポンと触り春馬を呼ぶのであった。


「お……この場所、座って見ると中央のほぼど真ん中で、前の人が邪魔にならない位置でいい席だな」

「でしょう。選んだワタシに感謝してください」


 席に座った春馬の感想を聞いたアナスタシアは誇らしげに胸を張る。するとアナスタシアの形の整った豊満な胸が、音もなく揺れるのであった。


「そういえばこれから見る映画、アニメは忙しくて見てないんだよな……」

 スクリーンに映し出された映画の予告を見ながら春馬はポツリと呟く。それを聞いたアナスタシアは信じられないといった表情をすると、春馬の顔に向かって素早く距離を近づける。


「ハルマ! この作品見ていないんですか! あれだけネットやSNSでも話題になったのに!?」

「いやぁ、他のことが忙しくて名前だけは知っていたけど、結局一度も見てないんです……」

「まあ忙しかったのなら仕方がないですね。この映画ワタシはまだ見てないですけど、ネットでは原作を知らない人でも高評価を得ているから大丈夫だと思いますよ」


 春馬の言い訳を聞いたアナスタシアは微笑みながら人差し指を一本立てると、これから見る映画の評価の高さを出して春馬を安心させようとした。春馬もアナスタシアの言葉を聞いて一呼吸つくと、座っている椅子の手すりに置いたウーロン茶を一口飲むのであった。

 そうして春馬とアナスタシアは今後上映される映画の予告を五分程見続けていると、スクリーン内の照明が消されて周囲が暗くなる。暗くなったスクリーン内で春馬がくっきりと見えるのは、スクリーンに映し出された映像と隣席でも美しく輝くアナスタシアの銀髪であった。


「ハルマ、始まりますよ」

「お……おう」


 映画が始まろうとするとアナスタシアは、春馬の耳元で楽しそうに小さくささやく。アナスタシアの声を耳元で聞いた春馬は、まるで脳に直接話しかけられた感覚がして、背中を震わせながら映画が上映されるスクリーンに注目する。

 スクリーンに映画配給会社のロゴが表示されると共に映画の上映が始める。まず始まったのは、映画より前のあらすじを五分で分かる作品紹介であった。

 五分で分かると銘打っている通りに作品の前日談を見ていなかった春馬でも、その作品に興味を持ちそして映像に目が離せなくなり心が奪われていく。

 そして始まる本編、まるで最初からクライマックスだと言わんばかりに映画館特有の爆音が春馬の耳を襲う。映し出された映像は美しく、また細かい描写が存在し春馬は一時も目が離せなかった。そして映画館の音響で流れるBGMは作品をより良く仕立て上げていく。

 映画の起承転結の承シーンになると一旦春馬の興奮は収まるが、スクリーンに映し出されている映像に釘付けになりながらも、春馬は喉を潤わせるためにウーロン茶の入った容器を手に取りストローに吸い付く。

 興奮で乾いた春馬の喉をウーロン茶で潤わせていると、映画は場面転換し盛り上がりは一気に上昇する。それを見た春馬は口をストローから離してぽっかり口を開けながらでも、一瞬も見逃さないようにスクリーンに釘付けであった。

 そして一気に映画は盛り上がるシーンの連続が続いていく。それを見た春馬は息をすることも忘れてスクリーンに釘付けになりながら映画を楽しむ。

 映画のラスト二十分は春馬にとってもはや名シーンの連続で、見逃すことが出来ないシーンばかりであった。映画を見ている春馬はまるで、ラスト二十分が実際よりも短く思うほどに興奮が止まらなかった。

 そして映画は終わりエンディング曲に合わせてスタッフロールが流れていく。周囲の席からはスタッフロールを全部見ずに帰る客がちらほらするが、春馬とアナスタシアは最後までスタッフロールを見ながら、残ったウーロン茶を飲み干していた。

 スタッフロールが全て流れ終わり、照明がついたことでスクリーン内が明るくなると、春馬は隣席に座っているアナスタシアの顔を見る。横から見たアナスタシアの顔は頬を若干赤く染めており、興奮と感動に満ちており言葉では表せないような声を出していた。


「ハルマこの映画いかがでしたか?」

「ああ最高だった!」


 アナスタシアの問いかけに、春馬はニッコリと笑顔を見せるのであった。それを見たアナスタシアは安心した様子で胸を撫で下ろす。映画が終わったことを確認した二人は、そのまま立ち上がり空になったウーロン茶を片手に劇場を後にするのであった。

 映画館を出た二人は長時間座っていたために固くなった体をほぐすために、立ったまま軽く柔軟をする。その間に春馬はこの後のことを考えていた。


「アナスタシアさん、この後どうしようか?」

「あー、ハルマこの後も時間ありますか? もしよかったらインターネットカフェに行ってこの映画の前日談を見ませんか?」

「え……いいのかい?」

「ハルマ、あんなに楽しそうに映画を見てくれたから、前のエピソードを見てほしいんです。それともダメですか?」


 アナスタシアは目を潤ませて下から春馬の顔を覗き込む。そんなあざとい動作を見た春馬は、NOとは言えずうなずいてしまった。それを見たアナスタシアは嬉しそうな笑顔を見せると、春馬の腕を絡ませて手を繋ぐと、空いた手でインターネットカフェの場所を検索するのであった。




 アナスタシアの案内に従って春馬は映画館から一番近いインターネットカフェに辿り着いた。インターネットカフェは大通りに面しており、派手な看板ではないが目に付きやすい大きさの看板を吊るしていた。

 二人がインターネットカフェの中に一歩入ると、そこは昼白色の照明に照らされ清潔感のあるフロアであった。そのままアナスタシアは受付に行くと、様々なコースが書かれたメニュー表を見る、そして店員に二人である事と個室を使いたい事を伝える。すると店員は二人が入れるルームを提示するのであった。


「эм……ではデラックスルームを二人で使用します。動画配信サービスは私のアカウントを使っても?」


 アナスタシアの質問に、店員は使用後に履歴を残さないのであれば大丈夫です、と答えるのであった。それを聞いたアナスタシアはデラックスルームの鍵を受け取ると、春馬の腕を掴んでデラックスルームに向かうのであった。


「ハルマは長時間アニメを見るのに抵抗は無いんですか?」

「あー昔ダチと一緒に夏休みで特撮十作品を一気見したことあるから大丈夫大丈夫」

「なら大丈夫ですね、十三話とOVAで大体七時間ぐらいですから問題ないと思います」


 春馬の経験を聞いたアナスタシアは、満面の笑みを浮かべて七時間程一緒にアニメを見ようと言う。それを聞いた春馬は長時間美人のアナスタシアと二人っきりで七時間も過ごすことで、彼女に手を出さないように我慢できるか……と一瞬であるが後悔しかけた。しかしアナスタシアに気づかせないように笑顔を返すのであった。

 デラックスルームに入室した二人はまず荷物を置くと、飲み物を取りに廊下に設置されたドリンクサーバーに向かう。春馬はソーダ水を、アナスタシアはオレンジジュースのソーダ割りをコップに入れる。そして二人はこれから鑑賞するアニメが楽しみで笑顔でデラックスルームに戻るのであった。

 デラックスルームに戻った二人は各自の飲み物を机に置く。そしてアナスタシアはパソコンの電源を入れると、自分が登録している動画配信サイトにアクセスしてログインする。そして一話から再生を始めると春馬の横に座るのであった。

 そして始まるアニメの鑑賞会、アナスタシアは一度見ていたために春馬のリアクションが楽しみで、すきを見てはちょくちょく春馬の様子を見ていた。

 春馬がアニメの描写に驚けばアナスタシアも自分もそうだったと思い返し、春馬が悲しめば初見の反応に無意識にうなずいてしまうアナスタシアであった。


(やっぱり初見の反応を見ると何とも言えない感情が出てきますよね……)


 一時間の鑑賞したら十分の休憩を挟みつつ、二人はアニメを楽しんで見続ける。その間春馬は様々なリアクションを取るのであった。そしてアナスタシアはそれを見るのが少し楽しかった。

 そして二人は約七時間の間鑑賞を続け、全てのストーリーを見るとデラックスルームの鍵を持って、受付に戻るのであった。そして二人から鍵を受け取った店員は、鍵に付いていたバーコードを読み込むと料金を二人に告げた。


「はい、二人で二千七百円になります」

「ハルマ私が……」

「いや俺が……」


 同時に自分が支払うと言う春馬とアナスタシア、それがおかしかったのか二人は苦笑してしまう。それを見せられた店員は無言で催促をする。


「じゃあハルマ、此処も折半でいいですか?」

「長居すると店員さんの邪魔になるからね。それで」


 春馬とアナスタシアは折半することを決めると、二千七百円を半分ずつ支払うのであった。

 そして支払い終わった二人がインターネットカフェから出ると、外は真っ暗で星や月は見えない。春馬が急いで時間を確認すると時間は二十四時を少し過ぎていた。

 時間を確認した春馬は終電が近いことに気づいて、アナスタシアの手を掴むと駅に向かって急いで走り出すのだった。


「ハルマ!? どうしたんですか!?」

「急がないと終電を逃してしまう!」


 そう言って走る春馬とアナスタシアであったが、十分程すると最寄りの駅の電車は全て出発してしまった。


「あちゃー、どうしようかアナスタシアさん」

「あーそのハルマ、あそこはダメですか?」


 恥ずかしそうに声を小さくしながらもアナスタシアが指差ししたのは駅から少し離れたところにあった豪華な城のような建物であった、建物には看板が建てられており時間と値段が書かれていた。春馬も子供ではないのでそこがどういう場所か、意味が分かってしまう。


「ええっと……アナスタシアさんはいいのかい」

「はい、ハルマとの一日は楽しかったです。だから良いかなと思いました、後私のことはアナスタシアと呼び捨てにしてくれませんか?」


 アナスタシアは恥ずかしそうに呟くと、そのまま春馬の顔を真っ直ぐ見つめる。雪の妖精のよう儚い美人に見つめられた春馬は、すこし頬を赤らめながらも「アナスタシア」と呼び捨てにする。それを聞いたアナスタシアは笑顔で「はい!」と返事をするのであった。

 そして二人は手をつないで建物の中に入って行く。建物の中は豪華な装飾がされており受付に人はおらずタッチパネルで部屋を取る形式であった。

 初めて来た建物内での受付に四苦八苦する春馬とアナスタシア、それでもなんとか受付を済ませて部屋に向かうのであった。


「ой、すごい部屋ですねハルマ」

「いや下手なホテルより豪華なんじゃ……」


 部屋の中に入った二人は部屋の中の調度品や、ベットの豪華さに圧倒される。しかし入り口で止まっているわけにもいかず、二人は部屋の奥へと移動する。


「あのアナスタシア……」

「ハルマ、私は先にシャワーを浴びてきます……えっとこれからのことヨロシクお願いします。ううう……恥ずかしい」


 アナスタシアに話しかけようとする春馬であったが、先にアナスタシアに人差し指で口を止められる。そしてアナスタシアはそのままシャワールームに向かうと、春馬に背中を見せながら恥ずかしそうに呟くのであった。

 アナスタシアの呟きを聞いた春馬は顔を真っ赤にしてベットの上に座って、アナスタシアのシャワーが終わるのを待つ。次の瞬間、春馬の耳に服を脱いだ時に発生した衣擦れ音が聞こえる。その音を聞いた春馬は、否応なしに脳内でアナスタシアが裸になっているのを想像してしまう。

 そして一分も立たずに衣擦れ音は止まり、シャワーが流れる音が部屋中に響き渡る。どうしてもアナスタシアがシャワーを浴びているシーンを浮かぶのを止めようとする春馬であったが、脳内に鮮明なイメージが浮かんでは消え、再び浮かんでくる。

 アナスタシアがシャワーを終えるまでの間、春馬は浮かび上がるイメージに悶々とし続けるのであった。



 ベットの端に座った春馬は部屋に設置された時計を見ることなく、アナスタシアのシャワーが終わるのを待っていた。五分……十分……それ以上だろうか、春馬の感覚では生涯で一番長い時間であった。

 ガチャリとシャワールームの扉が開く音が春馬の耳に届くと、春馬は咄嗟に音が聞こえた方向に振り返ってしまう。次の瞬間、春馬の視界に入ったのはタオルで体の大事な部分を隠している以外全裸のアナスタシアであった。

 春馬の視線に晒されたアナスタシアの雪のように色白の体は羞恥かそれともシャワーを浴びたせいか、ほんのりと赤く染まっていた。


「アー、ハルマ……ジッと見られると恥ずかしいです……」

「ごめん! アナスタシア」

「えっと……これからは私に恥をかかせないでくださいね?」


 アナスタシアはタオルを付けたままベットに近づくとそのまま横になる、そして恥ずかしそうにタオルを外すのであった。アナスタシアがタオルを外すのを見た春馬は、同時に自分の服を脱ぎ始めようとする。

 服を脱いでいく春馬であったが、最初は素早く上半身の服を脱いでいたが、下半身の服になると脱ぐのが遅くなっていく。なぜならジッと見るアナスタシアの視線に気づき、羞恥で手の動きが鈍くなっているのである。


「ハルマ! 私は脱ぎましたからハルマも脱がないと、それともハルマはジッパーから出してスるのが好みなのですか?」

「はい! すぐに脱ぎます。それに俺はむしろ自分が全裸で、アナスタシアが着衣でスるほうが好みです!」

「クスッ……ハルマは正直者ですね」


 アナスタシアの催促に春馬は急いで服を脱いでいく。その途中、春馬はアナスタシアの言葉を聞いて、つい咄嗟に自分の性癖を暴露してしまうのであった。それを聞いたアナスタシアは可笑しそうに小さく笑うのであった。

 互いに隠すものが無くなった二人はそのまま近づいていくと、触れるか触れないかの軽いキスをする。そしてそのまま二人は舌を相手の口内にねじ込ませ、相手の歯や歯茎、舌を蹂躙していく。

 二人がキスを一分程続けると、息が持たなくなったのか名残惜しそうに二人は離れる。その際に二人の間には、よだれによる細長い糸ができるのだった。

 キスを終えた春馬はそのままアナスタシアを抱きしめると、アナスタシアの雪のような白い肌へキスする。そしてアナスタシアの首、アナスタシアの胸、アナスタシアの太腿など、春馬は何箇所にもアナスタシアは自分のものであると証を付けた。

 春馬に全身をキスされたアナスタシアは最初は恥ずかしそうに反応していたが、快楽の波と徐々に春馬のモノになっていく事実によって春馬のキスを受け入れていく。そしてアナスタシアの体は部屋に入る前と比べて、全身に何箇所にも赤い斑点が付けられていた。


「ハルマったらいっぱいキスしましたね」

「嫌だった?」

「いいえ、でも赤ちゃんみたいに思えましたよ」


 アナスタシアは春馬にキスの痕を付けられた部分を見せつけ、春馬のモノになったような素振りをする。そして彼女は母性の溢れた笑みを見せるのであった。

 それを見た春馬は我慢ができなくなったのか、ゴムを付けるとそのままアナスタシアに覆いかぶさり。そして二人は繋がるのであった。

 繋がった当初春馬は魅惑的なアナスタシアの体に魅了されてしまい、そのまま獣のようにアナスタシアの体を貪る。アナスタシアは最初、獣のような様子の春馬に驚くが、そのまま春馬の体を抱きしめ貪られるのであった。




 春馬とアナスタシアの営みは夜中を過ぎてなお続き、午前三時過ぎまで続くのであった。三時頃の二人は行為で疲れ切り死んだかのように眠るのであった。

 そのまま二人は約七時間程、一度も起きることなく眠り続け。午前十時過ぎに太陽の光を浴びて目を覚ます。

 最初に起きた春馬は眠そうに目を指でこすりながら半身を起こすと、周囲を見渡して状況を確認する。横に眠る裸のアナスタシア、そして水分を大量に吸って肌触りの悪いベット、そして純白のシーツを染める赤いシミ。

 赤いシミを見た春馬は一気に目を覚ますと脳を一瞬で覚醒させる。そして自分が何をやったのかを思い出すのだった。


(やっちまった~! 初めてあった女性と一夜を過ごすなんてソレナンテ・エ・ロゲだよ!)


 自分のやらかしたことを自覚した春馬は両手で頭を抱えてうなされていると、その声で眠っていたアナスタシアが目を覚ます。そして彼女はゆっくりと上半身を起こすと、そのまま春馬の頬にキスをするのであった。


「おはようございますハルマ」

「ああおはようアナスタシア、じゃなくてごめんなさい!」

「どうして謝るのですか?」

「いやだって俺……アナスタシアの初めて奪ったし……」

「でもハルマは優しくしてくれましたよ」


 アナスタシアはそう言うと、コテンと可愛らしく首をかしげるのであった。それを見た春馬は一時とはいえ癒やされるがすぐに正気に戻る。そしてどうするか悩みながら頭をかきむしるのであった。

 悩んでいる春馬とは対象的にアナスタシアは眠そうにしながらも、ベットから降りると大事な部分を手で隠しながら部屋の端に置いてあった鞄を取ってベットに戻る。そして鞄からスマートフォンを取り出して時間とメールを確認する。

 アナスタシアがスマートフォンを取り出した瞬間、春馬は見覚えのあるものを視界に入れるのであった。そしてすぐにアナスタシアの腕を掴んでそれを確認する。


「ごめん、アナスタシア!」

「ハルマ? どうしたんですか?」


 アナスタシアのスマートフォンにはカバーが付けられており、そこには定期券や学生証を入れるスペースがあった。そして春馬はスマートフォンのカバーに入ってるものを確認する。

 スマートフォンのカバーにはICカード状の学生証が入っており、機械にタッチすることで認証できるタイプであった。学生証には吉田大学高等部一年生と刻まれており、今年の四月より有効と記載されていた。

 春馬には吉田大学という名前に心当たりがあった。なぜなら春馬が通っている大学が吉田大学だからだ。吉田大学のキャンパス内には高等部や中等部が存在し、学内で交流することができる。


「ああ……アナスタシア君は……今年で高校生だったのか!?」

「あーハルマは分かっていてワタシにナンパしたのではないのですか?」

「いや……同年代か年上かとばかり……」


 同年代かと思ってナンパしたアナスタシアが、実は今年からJKになる少女だと気づかなかった春馬は、自分のしたことに気づいて血の気が引いたかのように顔を真っ青にする。

 そんな春馬を見てアナスタシアは春馬の耳元に顔を近づけると、蠱惑的で甘えるような声で小さく囁く。


「もしワタシが警察に行ったら大変なのはハルマですよね。つまりハルマはワタシの言うことを聞かないとイケないですよね……」

「え……」

「全部言いましょうか、ハルマに拒否権はなくワタシに従うしか選択肢は無い、分かりますか?」

「あの……このことは内密に……」

「この事を両親や警察に言われずに内緒にしてほしかったら、ワタシの要求を聞いてください。じゃないと警察に行きますよ」


 アナスタシアは後ろに下がると、そのまま春馬が脱いだ服からスマートフォンを取り出す。そしてアナスタシアは取り出したスマートフォンを春馬に手渡した。そしてアナスタシアは笑顔を見せる。


「まずはハルマ、ワタシと連絡先を交換しましょう。そしてワタシの連絡には必ず反応してください」

「は……はい……」

「そんな気弱にならないでください。別に取って食うわけじゃないんですよ」

(俺は彼女にずっと弱みを握られるんだ、そして彼女の言うことを聞き続けないといけないんだ……)


 この先真っ暗な未来を考えた春馬は、一人で将来の事を考えながらアナスタシアと連絡を交換する。連絡先の交換が終わるとアナスタシアは笑顔を見せながらスマートフォンを一分程見続けると、急いで服を着始めるのだった。


「ハルマ何をぼーっとしているんですか? 早く着替えてここを出ましょう」

「あ……うん。そうだね」


 心ここにあらずといった状態の春馬を見て、アナスタシアは心配そうに話しかける。アナスタシアの声を聞いた春馬はハッと正気を取り戻すと、自分も急いで服を着始めるのであった。そうして二人は服を着直すと部屋を出て鍵を返却した。

 建物を出た春馬は一晩で色々あったなと、建物を見上げながら感慨にふけていた。そんな春馬の頬をアナスタシアは指でツンと触る。


「ハルマ、そんな顔をしているとおじいさんみたいですよ」

「ああごめん」

「それじゃあ先輩、また始業式の日に会いましょう」


 そう言うとアナスタシアは春馬の頬に軽くチュっとキスをして走り去っていくのだった。

 アナスタシアにキスされたことに反応出来なかった春馬は、そのままキスされた箇所を手で触りながらボーッと突っ立てしまう。だが一分ほどで正気を取り戻した春馬は、三月ながら寒い風に体を震わせながら家に帰るのであった。

 春馬とアナスタシアの年齢違いの物語は、年度の変わる四月から新たに始まりを迎える。

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[一言] 続きは無いのですか
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