sg9
先週は申し訳ありません。ちょっと忙しく。
このパートは短いので・・・、
「青コーナー。百九十七センチメートル、百二十七キログラム。挑戦者、チョンボ・ヅルダ―」
いつもとうってかわってまばらな拍手しかなかった。
チョンボ・ヅルダはいつものように―普通ならわれんばかりの拍手と歓声を伴っている―黒いジャンパーを脱いで拍手に応えた。
黒いリングタイツと黒いリングシューズ。
「赤コーナー。二百九センチメートル、百二十キログラム。七冠統一ヘビー級チャンピオン。ザ・ウルトラ・スペシャル・グレート・スーパー・ジャイアント・パパー」
恐ろしいまでの拍手と喝采、フラッシュに会場が満たされた。
いつものように、軽くバンザイするように両手を挙げて声援に応え、ガウンを脱ぎ捨てるジャイアント。右ひざには赤いサポーター。リングシューズも赤。骨ばったアバラととってつけたような細い腕が印象深い、巨大な裸体が披露された。
最後にレフリーが紹介された。
「レフリー、ケン・ウスイ」
レフリーに転じてはや三十年。ゼニニッポンプロレス発足以来のジャイアント・パパの盟友にして、チョンボ・ヅルダ登場以前のタッグパートナー。タッグチーム、ゴールデン・ハンマーズは今日にあっても、伝説のデュオとされている。元・白い全身タイツのセックスシンボル。
(勝ってしまっていいんだろうか? 本当に勝ってしまっていいのだろうか?)
チョンボは結局、今、この場になっても、控え室と同じことで苦悩し続けていた。
続く。
今日のうちに。