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スーパー・ジャイアンツ  作者: 荒馬宗海
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sg6

こんな時間に失礼します。

興味をもっていただきありがとうございます。


 史実は以上であったが、碑文が伝える歴史はややこれとは異なる。

碑文によれば、この日のジキトウサンの対戦相手は、戦前戦中の大ヨコヅナ・ブタバナヤワであり、非アンコ型リキシに連勝記録をストップされる―しかもヨコヅナの―事態を恐れたオオスモウキョーカイに一服盛られために寄り切られたのだという。また、場外乱闘は、義憤に打ち震える精神が毒薬で痺れた肉体を超越してなされた正義の行為であり、凶器として用いられたのは割れたビール瓶などではなく軍配であり、これは武器としてよりも、オオスモウの象徴を叩き割ることによって権威を否定してみせるのが狙いであり、最後にマイクを握ったのは、オオスモウキョーカイの不正を糾弾するためであったという。 

 碑文には、ジキトウサンが語ったとされる言葉も刻まれている。理路整然とした即興性の欠片のないものであると同時に、極めて難解な漢字と漢語表現に満ちており、これが全てひらがなで書かれてあれば、ジャイアント・パパが演説の時に渡される原稿と酷似している。

 ジャイアント・パパは師匠の故事を知らなかった。記念碑がたてられた時に石像についての説明を聞かされたわけだが、この時ポツリとこう漏らした。

「あの師匠がケンイとかショウチョウとかケンポウみたいな難しいことを言うとは思えないけど」

 碑文になにが書いてあるかはジャイアントは知らない。読めないのだ。政治家に立候補することが決まった時に「読み書きそろばんくらいは国民の代表として出来ないと申しわけない」と、僅かなプライベートの時間を割いて勉強したのだが、結局はひらがなと若干のカタカナの読み書きまでで手一杯だった。

「偉大なる純情の破綻」後、ジキトウサンはプロレスラーに転じた。中途半端なアンコ型はプロレスラーになるのには向いていた。そして、ゼニニッポンプロレス設立。弟子を採り、スパルタ式に鍛えた。その後、愛弟子の一人、ジャイアント・パパのもとでプロレスは隆盛を極めるわけだが、一方のオオスモウは凋落の一途を辿り、ついには解散の憂き目にあった。敗戦とともに出現した世紀のスーパースターには到底太刀打ち出来なかったのである。

レッド・ベストはコクギカンと十数戸のヘヤの跡地に建設された殿堂である。“プロレスの父“の記念碑がたてられているのは例の伝説が完結したまさにその桝席のところであった。



御意見・御感想頂ければ、嬉しいですし、励みになりますし、今後の参考にさせていただけ、大変ありがたいです。


ではまた次回。

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