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スーパー・ジャイアンツ  作者: 荒馬宗海
16/17

sg16

プロレス・コメディです。

今回も含めてあと2話で完結です。

次話ラストにて3人目の巨人が登場します。

プロレス・ブラック・コメディと化して終了します。



「そんな、完璧な手ごたえだったのに・・・」

 チョンボは感動のあまり泣き出しそうになった。

「すごい・・・・・・。

やっぱり、すごい・・・・・・」

 人民は沸騰する。

 チョンボは胸が一杯になった。拭っても、拭っても、止めどなく涙が溢れてきた。

「・・・すごすぎる・・・・・・」

 全人民も泣いていた。

 ジャイアントは立ち上がった。

滲む視界の向こうから、“あの方”がふらつきながらも、確実に近づいてくる。

ジャイアントはすがるようにして、チョンボを捕まえると、そのままロープに振った。残る力を振り絞り、ジャイアントも逆サイドに跳ぶ。

「いっしょだ」

 涙声で呟くチョンボ。

「あの時といっしょだ」

 十年前、ジャイアント・パパ対チョンボ・ヅルダ。この時もジャイアント、信じられないことに、必殺のバックドロップを喰らい、瀕死の重傷を負いながらも立ち上がった。そして、勝った。この試合を決めたのが、プロレスの神様の誇る超必殺技だった。

 三十二モンニンゲンロケットホウ。ジャイアント・パパ最大の超必殺技。ジャイアント以外のレスラーが撃てば、ただのドロップキックに過ぎないが、彼が放つ場合のみ、その足のサイズの巨大さとカリスマ、その威力故に、このような特別の名称を冠され、超必殺技として認知されているのである。

 ジャイアントがこの技を披露したのも十年ぶりのことであった。

 チョンボにこの技をかわす理由はない。むしろ、見入られたように三十二モンに引き寄せられてゆく。

 全盛期と比べれば、高さにも、角度にも、スピードにも欠ける。だが、それでも、あらゆる強豪レスラーをノックアウトするだけの破壊力はまだ十分に持ち合わせている。

 チョンボは見事にこの技を喰らった。感涙にむせびながら、大の字になって倒れる他にはなかった。

 マットに着地したジャイアントに、もはや体力は残っていなかった。が、それでも巨人は勝利に向かって邁進する。産卵に臨むウミガメのようにリングを這う。

 人民の誰もがジャイアントに声援を送っていた。

 やっとの思いで、ジャイアントはチョンボに覆いかぶさった。

 レフリーがすぐさまカウントにはいる。

「ワン、ツー、スリー」

 ゴングが打ち鳴らされ、歓声とともに、試合は終わった。

 レフリーが、元タッグパートナーを助け起こし、その手を高々と掲げた。ケン・ウスイの目にも光るものがあった。

 万雷の拍手。いつまでも鳴り止まない。こうして、九回目の師弟対決は決着した。公式記録は二十四分四十五秒、ザ・ウルトラ・スペシャル・グレート・スーパー・ジャイアント・パパが、超必殺技・三十二モンロケットホウからのカタエビガタメによって、チョンボ・ヅルダを降したのである。

 勝ち名乗りを受けたジャイアントは、まったく表情を変えないまま、その場に崩れ落ち、そのまま病院に担ぎ込まれた。



ではまた次回。

3人目の巨人・・・。予想通りかもしれませんが。

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