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ep.7

「誰だ!」

薫がそう言うと、黒い影はこちらを向いた。

「あ、あなたは。」

「薫君。どいて!」

薫が振り返ると、咲が走ってこっちに来ている。そして、勢いよく飛び

「トリャー!!!」

と飛び蹴りを黒い影に放った。

「うわっ。」

黒い影はそう言いながら、1mくらい後ろにふっとんだ。すると公平は

「咲様。幽霊相手に物理攻撃は効かない。ここは念仏だ。ナムアミダブツ!ハァッ!」

となにやら変な念仏を呟きだした。ハァッって・・・

「そ、そうだ。幽霊は明るい所は苦手なはず。電気をつけよう。」

ハルキはあたふたしながらも、電気をつけた。すると影の顔がはっきり見えた。

「あっ」

「えっ」

「なに」

「もうみんな!落ちついてよ。幽霊なんかじゃないよ」

「いてぇーな。何すんだ、お前ら。」

と言いながら影だった人は立ち上がった。

「ほら、ただの蔵田先生だよ。」

と薫は呆れながら言った。『な〜んだ。ただの蔵田先生か〜。』

みんなホッとしながら言った。

「何だじゃねぇよ!なんで飛び蹴り食らわすんだよ!」

蔵ティーはぶつけたらしい腰を擦りながら言った。

「いや、先生。飛び蹴りは咲様が勝手にやっただけなんで・・・」

「ちょっと、公平!あたしを見捨てるつもり!?」

「とにかく、先生相手に飛び蹴りとはな。どういう了見してんだ!」

「ホントすいません。」

咲が慌て謝る。

「お前らもだ。」

と残りの三人を見ながら言った。

「えー、オレ念仏唱えただけだし。」

「僕は電気付けただけだし。」

「僕は初めから何も。」

と言い訳してると、

「連帯責任だ!」

三人はしぶしぶ

『すんません。』

と謝った。

「はぁ、まったく。」

蔵ティーは腕組みをし、 「お前ら何考えてんだ。」

「いや、何ってプレハブを整理しようとしたら、中に怪しい黒い影が見えたから・・・・あれ?先生」

ハルキが気付いた。

「先生は、中で何してたんですか?」

ギクッ。明らかに先生が動揺している。

「そ、それはあれだ。お前らを手伝おうと思って。」

「あ、そうですか。」

ハルキが言った。すると公平が

「いや、待てよ。ハルキが鍵もらった時、先生は職員室に居たんだ。なら鍵は空いてないってわかんだろ。でも、先生は中に入っていた。なんでっスか?」

公平の鋭い推理に先生が慌てふためいている。

「そ、それは。たまたま鍵が空いて、」

「異議あり!」

咲が反論する

「あたしがここに昨日来た時は確かに閉まってました。」

昨日ってあの回し蹴りの。

「うぅ。」

もう蔵ティーの顔から汗が出ている。

「ねぇ、どうしてですか?」

ハルキが言った。

「そ、それは。」

蔵ティーが後退りした。

そして、

「うぉーー!!」

と叫んだ。そして、一瞬4人がひるんだ隙に全速力で逃げていった。

「あ、逃げた。」

「どうするよ?」

公平が尋ねた。

「別にもういいんじゃないの。説教は何気に回避できたし。」

と咲が言った。

「でも、やっぱり何してたんだろう。蔵田先生。」

「そんなことより、早く整理しないと、薫。」

とハルキが急かすように言った。

「それもそうだね。」

と薫。

4人はやっとさっきのいざこざで、さらに散らかったプレハブ内を整理し始めた。

「うわっ、ホコリくせぇ。」

「何これ?マネキンがある。」

「こっちはラーメン屋ののれんがあるよ。」

「・・・なんで布団があるんだ?」

次々と前軽音部の遺産ガラクタが出てくるなか、

「おい、お宝発見したぞ!」

と公平が叫んだ。

「どうせ、またくだらない物だろ。公平。」

「違う!ガラクタじゃねぇ。楽器だよ楽器!」

『えっ?楽器?』

3人とも声をあわせて聞き返した。

「あぁ、見てみろよ。」

と言う公平の手には、ソフトケースのギターが抱えられていた。

「うぉ、ホントかよ!」

ハルキのテンションが上がる。

「ねぇ、他にも探したら楽器出てくるんじゃないかな?」

と薫が言った。

その声を合図にみんな整理などほったらかして、宝探しを始めた。すると咲が

「ドラムあったーー!」

とドラムを見つけた。

「よっしゃーーっ!」

と公平もテンションが上がった。そして、その後も探し続け、なんとベース、キーボード、アンプ×3を見つけた。

「前のヤツらどんだけ放置してんだよ。」

「まぁまぁ、結果オーライだな!」

「でも、音ちゃんとなるのかな?」

「試してみる?」

と言うと咲が手慣れた手つきでギターとアンプをつないだ。赤いテレキャスが眠りから覚めたように光を放っている。そして、咲がピックをおろす。

...ジャーン

『おぉ!』

4人に感動が走る。

残りも試してみたが、全部壊れていなかった。

「あとは、弦とドラムのヘッドを代えれば大丈夫だね。」

と薫が安心したように言った。 

「ん?」

薫が段ボールを探りだした。

「どうした?薫。」

「うわー、見てよこれ。」薫が小さな紙のような物を手にとって差し出してきた。どうやら写真のようだが

「うわっ、何この人達。」

「めちゃくちゃ派手じゃねーかよ、これ。」

「完全ヘビメタね。」

写真に写っていたのは、顔にメイクをし服装は派手派手で、演奏をしている5人組だった。

「この人達って、ウチの前軽音部の人達じゃないのかな。」

「マジかよ、にしてもハンパねぇな。・・・ん、まだ中に入ってるぞ。」

公平が段ボールの中から、一つのビデオテープを取り出した。

「なになに、『文化祭演奏』だってよ。見てようぜ。ハルキ。」

「あぁ、面白そうだな。でも・・・・。」     「プレハブ整理はどうするのよ。」

「まぁ、いいじゃん。咲。」


「そうだよ、さっちゃん。見てみようよ。」

「薫君がそういうなら。」

「それじゃオレ、準備してくる。」

と言うと公平は疾風の如く走っていった。

まったく。調子いいヤツだな。


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