ep.13
蔵田は目を覚ました。
するとそこには軽音部の3人とナナがいた。
「おぉ、目覚ましたか。」
山本が蔵田の顔を覗きこんだ。
「ここは・・・保健室?そうか、あの後気ぃ失って。」
そう言って何気なく殴られた頭を触ろうとの右手で、あたまに触れた瞬間、激痛が蔵田の右手に走った。
「ッ痛!!」
ふと右手をみると、腫れ上りおり包帯で巻かれていた。 その光景に蔵田は固まった。そう右手が腫れているということはギターのコードを押さえれない。つまりギターが弾けないことを意味していた。
「先輩・・・オレ・・。」
「あぁ、わかってる。・・・別にお前を責めるつもりはねぇよ。不良に襲われたんだってな。聞いたよ。今回は運が悪かっただけだ。」
「でも、本番は!」
「・・・辞退するしか。」
と山本が言い掛けた時
「ちょっと待ったー!!!」ナナがストップをかけた。まわりの4人は、何事かとナナに注目した。
「まだ諦めるには早いよ。蔵田くん。左でピック持てる?」
「あぁ、ピック持つくらいなら。」
と蔵田は答えた。
「それじゃあ、今こそ秘密の特訓の成果を見せる時だよ。」
ナナの思わぬ発言にあたりは驚きを隠せない。蔵田を除いて。
思わず三木が
「なに?その秘密の特訓って。」
と尋ねた。
「いや、オレホントは左利きなんスよ。でもギターが右利き用しかなくて、ギターのときは利き手じゃないほうでやってたんですよ。で、ナナに『利き手でやれば』って言われて最近左利き用で練習してたんですよ。」
と蔵田が説明した。
「でも、今まで簡単な基礎練習しかやってないだろ。明日までに出来るか。」
不安を隠せない蔵田に、
「できる!絶対できるよ!あたしを信じて。」
とナナが言った。
「正直、本番でやるとするならもうそれしか方法がない。一か八かやってろ。オレもお前なら出来る気がする。」
「オレも。」
「・・・コクリ」山本に続き他の2人も賛成のようだ。
蔵田はみんなの顔を見回し、そして
「よっしゃー、いっちょやりますか。」
蔵田は立ち上がった。
「そうと決れば、早速練習だ。」
蔵田は急いでナナのギターで練習した。その顔ツキは真剣そのもの。
そして、その日のうちになんと完全に弾けるようになってしまった。
「すげぇ、ホントにできちまった。」
蔵田自身一番驚いている。
「あたしは、信じてたよ。だって練習もちゃんとやってたし、もともと素質あるから蔵田くんなら出来ても不思議じゃないよ。」
とナナだけは自慢気にしていた。
・ ・ ・
「で?本番どうなったの?先生。」
「ん?そりゃ、練習のおかげで成功したさ。あの時の感覚は今でも忘れてねぇよ。」
と蔵ティーが自慢気に語った。
「っつかよー。先生。話長いよ。」
「なんだよ、それお前らが聞きたいって言うから話したのに。」
「いや、もう校長よりなげぇーよ。こちとら因数分解とサ行変格で忙しいのに。」
『あっ!』
ハルキ、薫、咲の3人は時計を見た。針はもう8時を差している。
『うわー、もうこんな時間!!』
3人は話に夢中で途中からまったくテスト勉強していなかった。
「先生。話長いよ!」
「あたしの時間かえせ!」
「うっかりしてた。」
3人の発言に蔵ティーは
「だからなんでオレのせいなんだよ!もう知らね!」とスネて帰ってしまった。
「あーあ、帰っちゃったよ。どうする?」
ハルキが尋ねた。
「もう遅いし帰ろ。」
と薫にみんな頷き、帰ることにした。
「あーあ、蔵ティーの話でほぼ勉強潰れた。」
というハルキに公平は
「オレはちゃんと勉強してたぜ。おかげで結構進んだ」
と言った。
「えっ、お前聞いてなかったの?」
「いや、聞いてたさ。聞きながらやってた。」
「2つ同時にか?」
「あぁ、オレ良くテレビとかゲームしながら勉強やってっから慣れてんだ。凄いだろ!」
「・・・だからお前成績悪いんじゃね?」
「・・・・・・」
「・・・な?」
「・・・だな。」
結局は公平もはかどらなかったのだろうと、ハルキは思った。
やっと、過去編終わりです。少し飽き飽きだったかもしれませんが、ごめんなさい。 あと、部長の名前が変わってしまっているというミスがありました。山本のほうが正しいほうです。ほんとすみません。




