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第6あ ああああ洞窟

 円卓を囲んで五人のああああが一堂に会した。その一人は、魔王ああああである。ならば、残りの四人はああああ四天王しか有り得ない。


「して、如何なる用件か。魔王ああああ」


 刃向う者は地獄の業火で骨片残らず焼尽くす! 獄炎のああああ!


「ふぅー……ここは暑くて敵わん……手短に話せ……」


 最高硬度の絶対零度で永久凍土に閉じ込める! 絶氷のああああ!


「がはははは! 久しいな! こうして顔を突き合わせるのは!」


 落雷よろしく神出鬼没な刹那を生きる戦闘狂! 瞬雷のああああ!


「…………」


 影が薄い! 暗影のああああ!


「そう急かすでない。相も変わらず不躾な配下共が。我を誰だと思うとる」


 絶望と恐怖の混沌に生まれし最凶最悪の存在! 魔王ああああ!


「今日は良いニュースを持って来たのだ。大人しくしておれ」


 そう言うと、ああああは魔力で一つのホログラム映像を浮かび上がらせる。流石は千の魔術を知ると謳われるああああである。


「お前達若い世代は、かつての勇者ああああと戦った経験はないだろう。だが、朗報だ。この者こそ、新たに勇者ああああの血統を受け継ぎし者。名を、勇者ああああ!」

「なるほど。コイツが」

「ふぅん……だが私の敵じゃあない……」

「がはは! ひょろっちいな!」

「…………」

「侮るなかれ。腐っても勇者の末裔だ。油断すれば寝首を掻かれるぞ」


 魔王ああああは、冗談のつもりであった。そして、ああああ四天王もまた、それを冗談として受け取った。つまり、今の彼らの脅威ですらないのだ。


「して、用件は?」


 獄炎のああああの問いに、魔王ああああが答える。


「以上だ。情報は伝えた。以降、我は動かぬ。好きにするが良い」

「つまり、早い者勝ちということか」

「わざわざ私から出向くなど……全くクールじゃあない……」

「がはっ! もっと育ってからでなきゃ満足できんわ!」

「…………」

「では、解散だ」


 その号令と同時に、ああああ四天王は瞬時に姿を消す。魔王ああああは、好きにしろと言った。つまり、自ら出向いてその命を刈り取るも良し、自身の配下を向かわせて襲わせるも良し、世界各地に散らばった魔族達に捕縛命令を出しても良し、罠に嵌めても呪い殺しても良し。


 さて、どうなるか。実に楽しみだ。魔王ああああは、腹の底から込み上げる笑いを抑えることができなかった。



   あ



 勇者ああああ一行は、無事にああああ洞窟の前まで辿り着いた。道中でああああやああああに襲われつつも、これといって大きな負傷はしていなかった。まぁ、ぶっちゃけると格闘家ああああに前衛をほぼ任せ切っているので、勇者ああああと騎士ああああはかなり楽をしていた。いや、そういう作戦なのだ。ボス戦に向けて体力を温存しているのである。


「ここが……ああああ洞窟……」

「巨大な鍾乳洞ですね」

「腹が減ったなぁ」

「ところで、一つ問題がある」

「何でしょう?」

「何だ? 腹でも減ったか?」

「ああああ、これでも食って黙ってろ」


 ああああは、ああああにああああを差し出す。ああああはそれを喜んで受け取り、貪り出す。


「このパーティについてよく考えて欲しい」

「はい。勇者ああああ、騎士ああああ、格闘家ああああ。何か問題でも?」

「物理に偏り過ぎ!!」

「確かに、物理攻撃が一切通らない相手に遭遇したら、全滅は免れませんね」

「いや、そこまでは言ってないよ? 俺は勇者だからね? 基礎攻撃魔法とか回復魔法くらいは出せるからね?」

「流石です」

「それ、褒めてるんだよね……? ああああは何か魔法は?」

「無理ですね。ですが、私には騎士団で培ったこの王国剣技があります!」

「でも物理攻撃が一切通らない相手だったら?」

「全滅は免れませんね」

「なんで全滅前提で話すの!? シャレにならないから!」


 しかし、ここまでパーティのバランスを考えて来なかったことが、致命的になるとは。魔法使いか、僧侶の一人でもいたら……。


「まぁ、ぐだぐだ言っても仕方ない。これからの作戦は、①攻撃が通る相手はガンガン攻撃、②攻撃が通らなかったら逃げる。これで行こう」

「了解しました。ところで、そのああああ洞窟の主が②に該当した場合は、如何なさいますか?」

「あっ」



   あ



 ジメジメとした空気が頬を撫でる。遂に三人はああああ洞窟へと突入を果たしたのだ。ここではああああ型のああああが出現する。それに、ああああに擬態したああああもああああを待ち構えている。油断はできない。ああああは、火炎魔法で火をつけたああああを前に掲げる。三人分の陰が壁面に揺らめく。


「やはり暗いな。ああああ一つでは心もとない。光ああああでも自生していれば良かったが」

「近年はああああ族が棲むああああ郷の方でしか見られませんよ。魔物による汚染が進んでいるためかもしれません」

「腹が減ったなぁ」

「さっき食ったばっかりだろ!」

「いや、違う。食ったから、腹が減ったんだ」

「偉そうに言うな。我慢しろ」


 あ! 野生のああああが飛び出してきた!

「アアアアァ!」


 ああああはどうする?


「くっ、飛行タイプのああああか。誰か、先制攻撃を!」

「えっ?」

「えっ?」


 忘れていた。騎士と格闘家。物理攻撃特化に加えて、近接攻撃しか不可能。


「誰も遠距離攻撃できない!!」


 ボス戦どころか、雑魚戦で詰んでしまった。


「ああああは、攻撃魔法が撃てるのでは?」

「いや、それはいざという時に温存しておきたい。それに、そもそもそこまでの飛距離は出せない!」

「つまり、無能と」

「全員な!!」


 ともすれば、攻撃の機を待つしかない。つまり、敵のああああが攻撃を仕掛けてきた瞬間に、こちらも攻撃する。ただし、それが物理近接攻撃であった場合。仮に、超音波のような遠距離の攻撃を仕掛けてきたとしたら……逃げるしかない。


――ビュン!


 瞬間、その背後から飛んできた謎の物体は、ああああの耳を掠めた。まさか、挟み撃ちか!? ああああにそんな知能が有ったのか! しかし、ああああの予想は外れた。それは、ああああによる攻撃だった! ああああが、ああああを拾って投げたのだ! そのああああは完璧にああああの顔面に命中し、墜落する。残り二体。


「って、危ねぇ!!」

「あー、すまんすまん。そこに立ってると危ないぞ」

「言うのが遅い!」


 ああああはああああと壁際へと避難する。すると、ああああはそこら辺に散らばったああああから、手頃なサイズのああああを拾い上げ、慣れた手つきで投擲する。百発百中。あっという間に全てのああああを撃退した。まさか、ああああは絶対命中の投擲スキルでも保持していたのか?


「まっ、こんなもんか。どうだ? 俺を見直したか?」

「あぁ……見直したよ。お前を仲間にして良かったって、初めて思ったよ」

「初めてかよぉ!! で、ああああも見てたろ? どうだった?」


 ああああとしては、ああああに素敵とか、カッコイイとか言って欲しかったのだろう。そんなことを言ってくれる訳がないというのに。


「まあまあですね」

「まあまあ!? 今の俺の勇姿が!?」


 なるほど。ああああは、まだああああのことをライバル視しているようだ。一筋縄では行かないパーティの力関係になりそうだが、互いに競い合って高め合うことは決して悪いことではない。暫くこのまま様子見でもいいだろう。


「それにしても、ああああにそんな才能があるとは知らなかったよ」

「あれっ? 知らなかったのか? ほら、俺って少年ああああチームに入ってたからさ」

「スポーツ!! ってことは、ポジションは……」

「もちろん、ああああだ!」



   あ



 ああああの脅威は無くなったとはいえ、ああああ洞窟が楽に踏破できると思ったら大間違いである。内部は迷宮のように複雑に入り組んでいる。道を一本間違えたら、二度と外には出られないかもしれない。その対策として、ああああにはああああ洞窟の地図を書いて貰っているし、床や壁にああああで印を付けながら進んでいる。


「おい、ああああ! 見ろよ!」


 突然ああああが駆け出す。何かを見付けたのか? いや、ここはああああ洞窟である。そして、そんな場所で見付けて喜ぶ物といえば……そう、ああああしかない!


「ああああだ! ああああが三個も並んでいるぞ!」

「いや、待て待て待て! 明らかに罠だろ! ああああに擬態したああああだって! って、もう開けてるー!!」

「なんだ? 錆びた剣か? 売れそうにもないなぁ……」

「はぁ、お二人とも、急に駆け出さないで下さい」

「あぁ、ゴメン」


 ああああも無事に追い付いた。そして、ああああが二つ目のああああを開けようとした、その時だった。


――ガコンッ!


「ガコン? なんか今、ガコンって言ったぞ?」


 ああああが言い終わらぬうちに、バッと地面が消失する。罠だ! 落とし穴の罠だった! やはりあれはトラップだったのだ!!


「お前を仲間にするんじゃなかったああああぁ!!」


 ああああの魂の叫びは、ああああ洞窟内を幾度となく反響した。


 そういえば、今回の話は「あ」が少なかったな。次回は増量しなきゃ。

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一般文芸デビューしました。(2020.09.01)

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