表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ


最近付き合い始めた彼女、佳奈美。


さらさらな茶髪の髪の毛と、少し強気な瞳がとても可愛らしい女だ。

俺よりひとつ上の21歳で、いわゆる夜の蝶…というか、すごく遊びなれているらしかった。

たしかに 何か男を褒めるのとか上手いし、街でもいろいろナンパとかされてるみたいだけど…俺はほんとに、佳奈美が好きだったんだ。


「佳奈美、今日は夜あいてんの?」

携帯越しに、自分の部屋へと誘ってみる。

佳奈美は「うーん…」と少し間を置いて、

『飛鳥、今日はあたしの家に来てくれる…?』

少し寂しそうな声で言った。

「…あぁ、いいけど…なんかあったの?」

『うん、話があるの。……じゃ、11時くらいに来てね。待ってる…』

そう言うと、電話を切られた。


…………まさか、振られたり…は、しないよね? 

…うぅぅん、しないしない。大丈夫。俺は大丈夫。





「…別れてほしいの」


はぁい、振られたぁ。ま、分かってたけどね!?だっておかしいと思ってたもん、佳奈美の態度。最近冷たいなーとか思ってたよ!!

悲しくないのかっていったらまぁちょっとは悲しい訳ですけど!!


「な、何で…?だって俺ら、最近付き合い始めたばっか…」

「……あたし…」


仕事帰りのおばちゃんが、マンションの廊下にたたずむ俺たちに目をやった。その瞬間だった。佳奈美が泣きながら叫んだのは。

やめてくれ。せめて 今叫ぶのはやめてくれ。


「セックステクゼロの人とは、やっていけないの!!!」



びっくりして目を見開くスーツ姿の太いおばちゃん。

佳奈美、泣くな。今は俺の方が泣きたい。

「…ごめんね、飛鳥…」

やめてー!このおばちゃんに名前公開までしないで!

おばちゃんの冷たい目。冷ややかな目線。

俺は号泣しながら、必死に佳奈美とおばちゃんの前から逃げ出した。





なんだよ佳奈美。なんだよあのおばちゃん。

とりあえず俺は、人生で何度目かわからない 絶望を味わった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ