ものがたり
クリスマス・イブ、それは悲劇の始まりだった。
12月24日、クリスマスの聖夜。それは何の前触れも無く、突如としてやって来た。街はすっかりクリスマス色で飾られていた。恋人達もデートの真っ最中だった……これから始まるのは悲劇を知らずに。午後7時過ぎ、首相官邸に一通の連絡が入った。それを聞いて大臣は顔を真っ青にした。報告によると地球に向かって隕石が落下中との連絡が展望台から緊急連絡が入ったのだ。しかも一つや二つどころでは無い、複数あるとの事。これには官邸の大臣達は大慌てで各地の都道府県に連絡を入れる。しかしそれと意味は無く、それは日本だけのものでは無かった。これは世界中を標的にしたものだった。これには人類全てが絶望の表情を浮かべる。
だが、それは予想外の展開へと転がる。
炎の尾ビレをつけた隕石の隣に何処からともなく現れた黒い光のだ。その黒い光が勢いよく隕石へと迫りぶつかった。既に大気圏突入で落下中とあった複数の隕石は細かくなり、小さい流星となって世界中に降り注いだ。幸い都市は無事だったが近郊はほぼ壊滅状態となっていた。だが人間達は『全員無事だった』。まるで『そうするよう仕向けたかのように…』。すると黒い星はゆっくりと姿を変えて、人間の形になった。
そして、『ソレ』は言った。
−−世界の破壊寸前ショーは楽しんで頂けたかな?人間諸君。これは地球最後の日をイメージしたものだ。…おっと失礼した、我は…そうだな『凶星』と名乗っておこう。
人間達は思う。この状況を楽しんでだと?ふざけるな!自分達を殺す気か!と。しかし黒い星…凶星は話す。
−−ハハハ、だろうな。だが人間達よ、これはあくまで序章なのだよ。つまり−−始まりだ。
凶星の三日月の様に笑う表情に人間達は戦慄した。
−−物語とは序章を始め、次章へと進み、『最終章』を目指す。最後はどんな形になるのか。ハッピーエンド、バッドエンド…もしかしたら予想の斜め上をいくかもしれない。だがそれはあくまで考えた物語に過ぎない……だから、いやだからこそ私は考えた!
凶星は世界へと高々に宣言する。
−−始めようではないか!君達と私とで始める『戦争』を!だれも見た事が無い、考えた事も無い物語をっ!クククク、ハハハハハハ!!
そして、凶星は笑い声とともに消え去った…。
これが序章であり、そして始まる『凶星遊戯』の合図だった。