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数学オタクは魔法に憧れて  作者: 哲
1章 数学を愛する少年
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第2話 異世界人の行く末は

なんなんだろうかこの状況は…


あれから俺はしばらくマフィナさんと話をして、この世界についての情報を教えて貰った。


やはりというか、どこかのRPGのようなファンタジーな世界らしく、人間以外にも獣人族やら精霊やら魔物やらと様々な種族がいるようだ。

さらにこの場所は人間にとっての首都のような所で、人間の国はたったの一つしかないらしい。人間が絶滅寸前まで追い詰められているのかといえばそうではなく、むしろ最も多い人型の種族だと言っていた。


しかし俺にとって最も重要なのは魔法についての話だ。というかぶっちゃけこの話以外はついでだ。この俺が魔法を使えるかどうかを調べなくてはならないからな。


何を隠そう俺は中二病なのだ。科学では説明できない超常的な現象、俺はそういう神秘的な力に憧れていた。


思えば小学生のときにゲームで魔法という存在を知って以来、魔法という存在に興味を持ち、小学生とは言い難い生活を送っていた。魔法がもし現代で存在したとするなら、どんな構造をしていてどうやったら魔法が出来るんだろう、とかそんなことをずっと考えていた。


そして魔法を今ある力やエネルギーで説明しようと計算して理論を考えていたら、数学にたどり着き、周りにドン引かれるほどの数学オタクになってしまったって訳だ。


あ、ちなみに現代で魔法を理論的に説明しよう!っていう試みは中学ですでに完成している。そもそも魔法みたいなよくわからない力が存在すると仮定して勝手に作ってるだけなんだが。


……いつのまにか話が脱線していた、俺の悪い癖だ。


肝心の俺が魔法を使えるかという話なんだが、結論から言えばYESである。

どうやら昔の記録に魔力の痕跡がない異世界人がやってくる、という話は事実として既にあるらしく、その記録では異世界人に魔法を教えたら瞬く間に上達し、魔王にも匹敵するような存在になった、とあるらしい。だから俺のこと勇者候補とか言ってるんだろうね。



魔法についての話を詳しく聞いていると他のメイドさんがやって来た。この場所に転移した人達に今の状況とこれからについて話をしたいらしい。



~~~~~~~~~~


大広間へのドアを開けてもらうとテーブルと椅子が用意されてあり、すでに多くの人が座っていた。俺と同じ制服なので、同じ境遇にあっている人達だろう。見たところ同じクラスの人も何人かいる。


俺は適当に知っている人の隣に座った。


「大変な事になっちまったみたいだな。」


「宇佐美じゃん、お前もここにいたのか。

なあ、俺たちついさっきまで学校の教室にいたんだよな?全然ついていけないんだけど。」


「そのはずだけど俺もあんまり自信ないな…、でも佐倉は思ったより冷静だな?」


「ここまで現実感ないと逆に驚かないな~、俺達これからどうなるんだろうな。」


「なんとかなるって思っとくしかないな。ほら、何か始まるみたいだ。」


大広間の前方、俺たちの最も見える位置に立ったのは鎧を着た壮年の男性だ、立場の高い兵士なのか、重そうな鎧には金の模様がついており神々しさが違う。

その姿は俺達の現実感をさらに遠のかせていった。


「異世界からの旅人よ、よく聞くがいい。私はエドワード王国将軍のニクスだ。私は説明することはあまり得意ではないから手短に言おう。我らは今から6時間前、貴様らがこの城のいたるところに倒れている所を発見した。貴様らが異世界人であることを確認したため今は客として扱っているが、裏切った場合はいつ斬られてもおかしくない状況であることを理解してもらう。」


その物騒な言葉に場が一気に静まった。いかにも強そうな人に殺すかもと言われたらそりゃそうなる。


「つい先刻、王城内部からの通達が来た。内容は貴様らの処遇についてだ。

異世界人が城に突然現れた、という記録は約千年前に既に存在しており、このとき異世界人達は我が国で生きる術を学び、優秀な戦士として成長し我が国への多大な利益を生んだ、とある。

これを耳にした我らが偉大なる王は、千年前と同じように貴様らを教育し、優秀な戦士として育てることを決定なさった。

我らは王命に従い、貴様らを立派な戦士に育ててやる。何故なら異世界人が現れた、という記録の後には必ず災厄が降りてくる記録があるからだ。

貴様らがこの災厄の希望となり、この国を救う大きな一手となることを願っている。」


ようするにこの世界で生きたかったら戦士として国の役に立てと。そりゃあずっとお客様としてここに居座らせることはしないだろうよ。

ますますRPGだなこりゃ。


「この王命に拒否権はない。しかし、教育する間に貴様らが死ぬことは我らが断じて許さない。よって我らは教育する間の命の保障と満足な衣食住の提供を行う、一人に一人づつ専属の従者が付く上に、何か要望があれば検討する。質問があれば挙手をせよ。」


……だれも手を挙げない。こんな萎縮した状態で挙手なんてできないだろうよ。


「質問はないな。では夕食を食べて今日は休め。詳しくは明日説明する。」


見た目はすごく恐いけど思ったより優しいな、この将軍さん。




~~~~~~~~~~~~~


この後将軍さんの部下らしき人から部屋や礼儀などの簡単な説明を受け、俺達は食堂で夕食を食べた。


色々な料理が並べられたバイキング形式で、肉は今まで食べたことのなかったような味だったが決して悪くはなく、元の世界の肉だといっても簡単に信じられるくらいだ。野菜に至っては食べたことのあるようなものばかりで本当に異世界か?と驚いたほどである。


だけど俺には食事より大切なことがあるんだ。


他の皆が食事を楽しんでいる中、俺は一足先に食堂を離れ最初に起きた部屋に戻った。


部屋に戻ると、マフィナさんが迎えてくれる。


「お帰りなさいませ宇佐美様、早かったですね。」


当然のように迎えてくれる美人のメイドさんにドキッとしてしまった…。メイド喫茶ってこんな感じなのかな。


「ただいま、魔法の話を聞きたくて早く帰っちゃったよ。」


「本当に魔法が好きなんですね、では身支度が終わりましたらお声かけください。」


戻ったらマフィナさんに、魔法を教えてもらう。

俺の頭の中はまだ見ぬ領域にワクワクが止まらなかったのである。


お れ は は や く ま ほ う が つ か い た い ん だ ! ! ! !



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