重いサービスデイ
僕がシャワーを浴びている時に結愛が湯船に浸かって、結愛がシャワーを浴びる時はその逆で、結局お風呂場に一緒にいた。
ぼーっとしていると、結愛が立ち上がってお風呂場から出た。
「ちょっと待っててね」
と、洗面所からそんな声が聞こえる。
おとなしく待っていると、また声が聞こえた。
「下着は流石に無いけど、私が使ってる大きめの服ここに置いておくからこれ着てね」
結愛はそう言ってどこかに行った。
僕は、誰もいないことを確認して恐る恐る洗面所へ出る。
準備されていたバスタオルで体を拭く。
どんな服なのか確認すると、丈が長めのぶかぶかな服と、股のところがあるのか分からないようなサルエルパンツが置かれていた。
僕自身大きな方ではないので十分に服は着られるが、下着が無い事にかなりの抵抗があった。
少し悩んでいると、ノック音とともに結愛が入ってくる。
「希まだ?のぼせてないでしょうね――」
また裸を見られた……。
今日だけで何度恥を掻けばいいんだ!
即座にバスタオルを腰に巻き付けた。
「なにしてるの?」
「いや、服がね……」
「小さかった?これより大きいものとなると……もうすこし探さないと駄目だけど……」
「そうじゃなくて……」
「何よ、もじもじして。気持ち悪い」
「ただ、下着が無いと抵抗があるというか……」
横目に結愛を見ると頭を抱えていた。
「気にしないわよ、そんな事洗えばいいんだし、第一そんな事気にしたら服なんて貸さないわよ」
そう言い残し、またどこかへ行った。
仕方が無く、仕方が無く!服を着た。
僕の想像と妄想が暴走しかけている。
荷物をもってすぐに洗面台から廊下に出て、結愛を探す。
二階に結愛の部屋があった気がするので二階に上がっていると、リビングと思われるドアから誰かが出てきた。
結愛の家族には見られたくなかったので急いでしゃがむと、結愛本人だった。
「……何してんの?」
「結愛の家族か誰かかと思って……」
「ん?明日の夜まで家族誰も帰ってこないわよ?」
偶然、彼女の家に二人きり……。
そんな事って実際に起きるのかよ。
やっと服の事が頭から離れたと思ったら、次は一つ屋根の下で二人きりって今日はどんなサービスデイだよ。
このサービスは僕にとっては重すぎるよ――。
「そうだ。希が良ければ今日泊まっていかない?これでも料理には自信があるんだ」
気にするのは料理だけなんですか?
他に気にするところありますよね!
そんな僕の心の声が聞こえるわけでもなく、結愛は僕の返答を持っているようだ。
「……家族に電話してみる」
「うん。あと少しでお昼ご飯出来るから終わったら早く来てね」
結愛はリビングへ戻って行った。
僕はそのまま階段に座りスマホを取り出す。
実際に家族に電話するわけでは無く病院に電話する、
病院よりも坂本さんに電話をすると言った方が正しんだけど。
相手と繋がった事を確認してスマホを耳に当てる。
『浅木くん?どうしたの?』
「ごめんなさい、急用ってわけじゃないんですけど今日帰れないかもしれないです」
『何かあった?』
「いや、彼女の家に泊まろうかなって……」
言うだけで何か気恥ずかしいが、嘘をついてどうにかなるというわけでもない。
『そっかそっか、ビックリしたよ。いいよ、先生には私から伝えておきますね。楽しんでね~』
楽しむって何をですか!と聞こうとした時には電話は切れていた。
小さな溜息とともに胸をなでおろした。




