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一月の手紙  作者: 紗厘
第1章 ~隠し事~
5/28

ボーリング

 今日は家族がみんなお見舞いに来てくれた。

 やっぱり、普段は何も感じないけどさ、今の状況だと顔を見るだけで安心する。

 家族って偉大だよね。

 そういえば、弟が高校の面接に行ったって聞いた。

 がんばれ。我が弟。


      ∵


 窓から静かな外を眺めていた。


 ドアからノックオンが聞こえた。


「はーい」


 大きめの声で返事をする。


(のぞみ)~元気か~」


 親父が呑気に入ってくる。


「おう、将来に問題はあるが現段階に問題は無い」


「生意気な言い方をするようになりやがって。結愛(ゆあ)ちゃんの影響か?」


「前からこんな感じだよ。……来てくれてあんがと」


 少し遅れて母さんと弟の(さとる)が入ってきた。


「やっほ~、うん。元気そうね」


「お兄ちゃん、大丈夫?」


 悟は俺を見るなり心配をしてくれる、優しい弟だ。

 お兄ちゃんは感動するよ……。


「元気だぞ~、悟は元気か?」


「もちろん!それとね、昨日高校受験だったんだよ~」


「そんな季節か!で、自信は?」


「もちろん、無い!」


「おいおい……」


 いつもこんなノリだから自信が無い事が本当なのかは分からなかった。


「じゃ、ボーリングにでも行くか」


 唐突な提案に戸惑いはするが、悪くないので乗っておこう。


「着替えて入り口に来いよ。待ってるから」


「りょーかい」


 三人は病室を出て、駐車場へ向かった。


 パパッと着替えて廊下に出た時にナースの人と会った。


「あら、浅木(あさぎ)くん。またお出かけ?」


「はい、今日は家族とボーリングに」


「いいわね~楽しんでくるのよ」


「はい、行ってきます」


 ナースさんと別れを告げて、家族が乗っている車に乗る。

 車の中では、親父の気に入っている音楽が流れて他愛も無い話が続いた。


 僕の家族は基本的にボーリングが上手い、僕を除いてだけど。

 それぞれ、使いやすいポンドの玉もって、投げる。

 母さんは真っすぐ、飛ばしてピンを弾く。

 親父は、カーブを巧みに使いこなす。

 (さとる)は、テクニックがどうとかではなく、勢いでどうにかするタイプだ。


 初球は親父と母さんがストライクをだし、悟はスペアだった。

 俺は1ピン残す結果となった。


 三人が僕に向かってドヤ顔を向けて来るので、先の尖っているシャーペンを握りしめるとみんな目を背けた。


 最終的には俺だって……。


 という意気込みは無残に散り、最終結果としては、


親父:230

母さん:241

悟:196

僕:106


だった。


残りの人生、家族とは絶対にボーリングにはいかない。

僕はそう誓った。

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